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悪人

悪人(朝日新聞社) 吉田 修一著
税込価格: ¥1,890 (本体 : ¥1,800)
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出版 : 朝日新聞社
サイズ : 20cm / 420p
ISBN : 978-4-02-250272-8
発行年月 : 2007.4
利用対象 : 一般

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内容説明

【毎日出版文化賞(第61回)】【大佛次郎賞(第34回)】幸せになりたかった。ただそれだけを願っていた…。保険外交員を殺害した男と、彼に出会った女。加害者と被害者、それぞれの家族たち。群像劇は、逃亡劇から純愛劇へ。悪人とはいったい誰なのか。『朝日新聞』連載を単行本化。

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コメント・書評

善人なほもて往生をとぐ、いはんや悪人をや
つきこ
Apr 26, 2008 12:33:54 AM
評価 ( マーク )
★★★

寂しいとはそういうことなのだろうが、誰かに何かをして欲しい登場人物がいっぱいで、どうしてそんなに寂しいのだろうと本当に寂しく思う。何かをして欲しい人がいっぱいのなか、明確にその期待に応えた人物がたどる運命がとても哀しい。本書は出会い系サイトがきっかけで起こる殺人を描いた群像劇。多数の人の証言から浮かび上がる、家族もあり、仕事もあり、決して周囲と断絶しているとも言えないにもかかわらず、堕ちてゆく人の姿がやるせない。

読了後、誰もが善と悪とに思いを馳せるようなこの物語、「悪人」という題名がとても意味深だ。この小説には悪人が登場しないという評を読んだが、そうだろうか。自分を省みることも高めることもなく他人を頼み、あげくに全ては誰かのせいで他人を奈落の底に突き落とすのは、環境だけの罪なのだろうか。普通の人なのだろうか。そこに手放しの共感は抱けない。けれど個人ではどうしようもないことがあることも知っている。そんな時、誰でも簡単お手軽コミュニケーションツールやシステムが、広い世界ではなくより深い孤独への入口となり得ることを本書は教えてくれる。

極限の形をとらなければ、何ものも知ることができない。そんな人たちを描いたこの作品に、感動と呼ぶにはもっと納まりの悪い、釈然としない気持ちでいっぱいになる。大きなカタルシスに浸るだけでなく、胸に爪を立てるような後味の悪さこそを、良さと評価したい。
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