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ABCDJ
とびきりの友情について語ろう
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コメント・書評 |
きれいごとを書き続ける意味
つきこ
Mar 10, 2008 11:38:27 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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ボブ・グリーン。 その名に魅惑の響きを感じるあなたは恐らくもう若くはない。 「アメリカン・ビート」に「チーズバーガーズ」。80年代半ば日本の書店をも席巻したアメリカの人気コラムニストがとびきりの友情を引っさげて再び登場した。アレン、ボブ、チャック、ダン、ジャック。彼のコラムでもお馴染みの親友五人組ABCDJがジャックの死病をきっかけに再び集い、彼が最後の日を迎えるまでを、中西部の風景とともに感動的に描きます。
―泣きながら読んだ。―今すぐ一番の親友に電話しなきゃ。帯にはお涙頂戴の美辞麗句が並びます。死にゆく友人を常に励まし、慰め、共にある。のみならず、彼がどんなに素晴らしい人物であったか、友情だったか、縷々書き連ねます。素晴らしいきれいごと、美しい友情物語です。けれど長年彼のきれいごとに魅せられてきた者として、グリーンが自分達の美しい友情をみせびらかすためだけにこんな物語を書くわけがない。そう思うのです。
犠牲となった少女の最期の姿を描くことで、快楽殺人を続ける殺人者を思いとどまらせようとした。文盲の男性が文字を覚え、これが文明だと思うんですよと呟かせる。(うろ覚えなのでちょっと嘘かも)そんな作風の彼のコラムは叙情的に過ぎると、後年はいじられキャラになってしまった。世知辛い世の中になったことを、身をもって知ったことでしょう。彼が美しい光景として描き出した多くのものは、その当時でも相当死に瀕していたことを後年知りました。けれど美しい絵を描く人がいなければ、美しい景色があったことさえ忘れられてしまう。美しい絵が、残酷な現実より生きる糧となることだってある。
グリーンは平明に簡潔に、世の中の割り切れなさを描きます。そうしてかつては確かにあったもの。彼の親友が体現していた、失われつつある良き市民の姿、良き市民ではあっても輝けないまま終わる姿を本に留めます。 それは”輝けない良き市民”が残すものは決して小さくはないのだと謳い上げ、ジャックから受け取った友情を彼一人に留めることなく、もっと大きな遺産として次代に伝えるかのようです。受け取った何かをあたうかぎり大きなものにして返す。そんな人と人との関係性が途切れることなく続く世こそ親友の願うものだろう。解釈は色々です。ですが、過去の、現在の、様々なエピソードはそう言いたげです。
芸風と切って捨てることもできるでしょう。が、もう四半世紀以上彼はきれいごとを書き続けてきました。覚悟の伴わないきれいごとにはもううんざりしている身には、その年月の重みが大きな意味を伴ってくるのです。稀代のペテン師でも構わない。彼には一生この路線を貫いて欲しい。
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