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穴  講談社文庫

穴(講談社) ルイス・サッカー著
幸田 敦子訳
税込価格: ¥620 (本体 : ¥590)
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出版 : 講談社
サイズ : 15cm / 339p
ISBN : 4-06-275587-4
発行年月 : 2006.12
利用対象 : 一般

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内容説明

【ボストングローブ・ホーンブック賞(1999年度)】【全米図書賞(1998年度)】【ニューベリー賞(1999年)】

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コメント・書評

呆れるほど緻密な構成
久我忍
Mar 9, 2008 8:40:05 AM
評価 ( マーク )
★★★★

  子供向けなのかな、と思って読むといい意味で裏切られる作品。

 空から降ってきたスニーカーのせいで無実の罪を着せられた少年、スタンリーは、グリーン・レイク・キャンプという名の、少年強制施設へと入ることになる。
 見渡す限りに続く焼けた大地。緑のないグリーン・レイクにて彼を待ち受けていたのは、毎日一つ──直径1.5メートル。深さ1.5メートルの穴を掘るという過酷な労働だった。
 穴を掘るのは何のためか? それは人格形成と、根性を養うためであるらしい。にもかかわらず、『何か珍しいものや面白いものが出たら必ず報告するように』という言葉が、穴掘り作業が何かを見つけるための作業であることを示唆している。
 本書ではキャンプにて穴を掘り続ける主人公スタンリーの日々と中心に、その他幾つかのエピソードが断片的に語られていく。
 例えば110年前のグリーン・レイク──街にただ一人の教師キャサリン・バーロウと、たまねぎ売りのサムの恋。
 雨が降らなくなった街で生まれた、西部で心底恐れられることになる一人の無法者。
 大金持ちだったスタンリーの祖父が身ぐるみをはがされ、荒地に置き去りにされた後、無事に助け出されたときに発した言葉。
 穴を掘り続けるスタンリーとは全く関係ないようなエピソードの数々は、やがて奇跡のような瞬間へと集束していく。
 息を呑む、という表現があるが本作品のラスト近くでまさにそれを体験した気がする。
 断片的なエピソードたちが最後にはきっちりと一枚の絵に、それも無駄なところが全くない完成度の高い絵に仕上がる構成の緻密さからも、この作品を『子供向け』であると言うことは出来ない。むしろ子供に喜ばれるような要素を持ちながらも、多くの年代の人々が気持ちよく読める作品だと言えるだろう。

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