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最高の子  講談社文庫
牛小屋と僕と大統領

最高の子(講談社) ゲイリー・シュミット著
上野 元美訳
税込価格: ¥650 (本体 : ¥619)
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出版 : 講談社
サイズ : 15cm / 249p
ISBN : 4-06-275533-5
発行年月 : 2006.10
利用対象 : 一般

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コメント・書評

子どもは周りから受け入れられて育つと、世界中が愛であふれていることを知る
つきこ
Feb 24, 2008 9:41:38 PM
評価 ( マーク )
★★★★

大人だって誰かから褒められたら嬉しい。大してカッコいいわけでも何ができるわけでもない、14歳のちっぽけな町に住む少年にとって賞賛の言葉は宝物となった。これは”子どもは周りから受け入れられて育つと世界中が愛であふれていることを知る”物語。

64頭の牛の世話とクロスカントリーの練習に忙しい平凡な少年・クーパー。祖父と二人、ニューハンプシャーの酪農夫らしくつましく心穏やかに暮らしていた。だが祖父の急死後、彼の前に大統領予備選出馬を表明している上院議員が現れ、彼は政争に巻き込まれ……というYA本です。

舞台であるニューハンプシャー州のモットーはLive free or die 自由に生きよ、死からずんば死ね。 無骨ながらも激しい州民気質で知られます。そして日本の零細米作農家と同じくアメリカの零細酪農家もまた厳しい状況にある。それらを念頭に置いて読み進むと、物語がより奥深いものとなります。

主人公クーパーのニューハンプシャー人らしい健気さが胸を打ちます。最愛の祖父急死後も、なんとか祖父の残した牧場を切り盛りしていこうと頑張ります。しかし彼はまだあまりにも幼い。彼の努力を嘲笑うかのような困難に次々と見舞われます。彼は祖父からしっかりと愛情を受け取っていたにもかかわらず、伸し掛かる現実を前に愛情は萎みゆくばかり。彼が萎みゆく愛情を再び取り戻すまでを、何のために愛情を注がれていたのかを知るまでを描きます。

”周りから受け入れられて育ち世界中が愛であふれていることを知った”そんな子どもは、長じた後も自己の利益のために他者、特に小さきものを生贄にする、この物語の悪役のような真似は決してしないものだ。
子どもを食いものにしてはいけない。それは蛸が自分の足を食うようなものだ。YA本であっても、大統領選やその卑劣なやり口を絡めたこと。さらにはその先に待つ政策までも考えると、大人にとっても教訓を含んだ物語となって、今そのツケを払わされていると感じる大人の胸にも響きます。

そして周囲に大人らしい大人なんて見たことない。誰も自分に最高なんて言ってくれない。そう思う子どものためにこんな本がある。そばにはいないかもしれない。でもどこかにはいる。そんな気持ちを繋ぐもの。本の役目とは本来そういうものだったはずだ。
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