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円安vs円高
どちらの道を選択すべきか

円安vs円高(東洋経済新報社) 藤巻 健史著
宿輪 純一著
税込価格: ¥1,680 (本体 : ¥1,600)
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出版 : 東洋経済新報社
サイズ : 20cm / 227p
ISBN : 4-492-68121-3
発行年月 : 2003.11
利用対象 : 一般

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内容説明

日本経済復活に必要なのは円安か円高か? カリスマ・ディーラーとして名高い藤巻とエコノミストである宿輪が、日本の為替政策を一刀両断しながら、それぞれの経済再生案を熱く語る。

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コメント・書評

円高の幸運を享受しよう
佐伯洋一
Jan 27, 2008 3:32:03 AM
評価 ( マーク )
★★★★★

  最近、経済もなんも分らない無能なコメンテーターが「円高になったどうしよう」「株価は底値しらずでしょうね」などとまくし立てているが、バカもほどほどにしてほしい。これは単純に円高=株下落国益棄損という抽象的なイメージに従っただけで、頭で何も考えてない証拠だろう。
 本書は、円高=宿輪氏、円安=藤巻氏という対談形式でそのメリットデメリットを論じている。実にわかりやすい。しかし、藤巻氏さえ、円安は今だから必要なだけで、将来国が立ち直れば円高になるのが自然と言っている。結論からいえば、円高の方が「どちらかといえば」という留保付きながら国益にかなう。もっといえば、円安が極端に進行すれば国の危機となろう。それだけ国力が信用されてない証拠でもある。
 藤巻氏によればようするに、円高で国際競争力がなくなるから今は円安の方がいいというのが基本的な主張である。しかし、昨今の資源高の中、円が安く振れたらどうなるだろう。それこそ危機であることは自明である。そして、揮発油税で値下げが騒がれているが、今はまだ在庫を抱えているだろうが、石油売りの連中は円高が少なくとも3か月ほど続いた場合、円高メリットで少なくとも値上げの必要はないはずだし、値下げも可能になる。しかし、他の小麦製品などのメーカーは一斉に値上げに踏み切った。もちろん、値上げは理解できるが、コメンテーターから円高メリットのこの話を聞いたためしはない。古館からは毎晩溜息ばかりであるのは1500万人が知っていることだろう。
 さらに、円高は輸出企業に不利というのが公式になっているが、希少金属の値上げにより、加工貿易主体の日本にとって、相当収益を悪化させている側面を忘れてはいけない。例えば、有名な話だがシャープも、液晶に使う希少金属インジウムについて、円安に振れたおかげで値段が上がってしまい、調達に支障がでそうだったのだ。石油や天然ガスなども円高でメリットを受ける。小麦もトウモロコシも大豆も全部である。輸出立国である以上に、食糧輸入国である日本では、消費者の生活にとって怖いのはやはり円安であろう。一人当たりのGDPもあっという間に1位に戻る。今の18位というのは円安の影響がほとんどすべてである。ドル換算なのだから。
 資産価格押し上げによる景気回復についても、円高で金を呼び込みそれが資産に向かえば良い話であり、なにも藤巻氏のいうように円安に誘導する必要はない。通貨安の本質は国力の低下という行天豊雄元財務官の見解こそまさに正鵠を射ている。もちろんこれも程度問題であり、円高が進み過ぎれば輸出企業が逃げ出し、それこそ土地価格は下がるのは藤巻氏の言う通りだろう。
 完全に納得できるのは、両者共通の主張である日本の金融政策の脆弱さである。目立った政策は円高阻止くらいなもので、長期的展望はほとんど絶無である。
 それにしても、これだけの実績を持つ二人をして経済政策の何が正しいかは意見が分かれる。みんな日本経済なりの実力を発揮するという目標は一緒なのにである。私だってもちろん本書を読んでも分らない。が、50年後になんとメキシコにGDPで並ばれるなどと馬鹿にされている日本にとって自国通貨が強い方がいいのは間違いないだろう。心配せずとも円安は遠からず起きてくるだろう残念ながら。そのとき、円高という幸運をバカにしていた連中はどんなコメントをするつもりだろうか。
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