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夏光
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コメント・書評 |
誰かに教えたくなる作品集です
さあちゃん
Jan 21, 2008 9:38:44 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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何の先入観もなく何気なく手に取った本が思いがけない感動を与えてくれる・・・これが本好きな人間にとって一つの理想ではなかろうか。私にとってそんな感動を与えてくれた一冊である。 表題作「夏光」舞台は瀬戸内の漁村らしい。家族と別れて一人だけ伯母の元に疎開している少年哲彦。露骨ではないがそれでも疎開先の従兄弟達とは微妙に差別されている。いつかこの村をでて汽車に乗り母親に会いに行きたい。そんな夢を語れるのは親友の喬史だけである。喬史の顔の左半分には墨をぶちまけたような真っ黒で大きな痣がある。喬史がまだ母親のお腹の中にいた頃空腹に耐えきれなかった母親が浜にうちあがったスナメリの肉を食べてしまったための祟りだと村人はひどく嫌っている。母親は喬史を産むとすぐに亡くなり父親は兵役を拒否したため憲兵に連れていかれて行方知れずとなり天涯孤独の身である。そんな二人は同級生達に酷く虐められる。喬史は痣のせいで哲彦は疎開児童ということで。村人達かいくら嫌っていても哲彦は喬史が大好きだった。あんなに疎まれていても喬史は決して卑屈にならない。逃げない。姿勢がよくてかっこいい。どうして喬史のいいところを見ないのだろうと悔しくなる。でも確かに喬史の痣の中の左目には何か秘密があるようだと哲彦は思う。時折青白い光がよぎるのだ。喬史はあの目でどんな世界を見ているのだろう・・・そんなある日浜にまたしてもスナメリが打ち上げられる。不吉だと怯える村人達。そしてついに二人は・・・ 最後のページを捲った時ああそうかとこの表題作の意味がストンと心に落ちてくる。全部で6編の短編集だが前半はめ・くち・みみ後半はは・みみ・はなといった顔の部位にちなんだ作品集である。また前半の3つは戦前後半は現代の話と構成も凝っている。どちらかといえばホラーっぽい話ばかりであるのだが作者が描き出す光の鮮やかさと空気の清冽さがちっとも怖さを感じさせない。目でみえるものとは違うもう一つの美しい世界を描き出している。私達の向こうにある世界。貴方も是非覗いて見て欲しい。 |
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