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太陽の塔  新潮文庫

太陽の塔(新潮社) 森見 登美彦著
税込価格: ¥420 (本体 : ¥400)
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出版 : 新潮社
サイズ : 16cm / 237p
ISBN : 4-10-129051-2
発行年月 : 2006.6
利用対象 : 一般

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内容説明

【日本ファンタジーノベル大賞(第15回)】

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コメント・書評

ひねくれものたちの青春小説
久我忍
Dec 16, 2007 10:44:55 PM
評価 ( マーク )
★★★★

  太陽の塔を見たのはもう何年も前になる。
 当時同じ仕事をしていた友人と、やはり仕事の関係で向かった大阪で、初めてあの独特のフォルムを見たとき、
「かっこいー!」
 と声を上げて駆け出した友人のことを思い出して、そしてこの本を読んでみようと思った。


 主人公である「私」は交際していた当時から続けていた「水尾さん研究」を、彼女に袖にされてからも根気よく続け、その成果は14のレポート(原稿用紙に換算して240枚)を完成させるに至った。だがその後も彼の研究は続く。
 ふられてから1年近く彼女をつけまわす姿は明らかにストーカーだが、主人公はそれを「水尾さん研究」のためであると言い訳をしつつ、けれど恐らく、自分の行為が客観的に言えば「ストーカー行為」であるということを理解している。要はひねくれているのだ。主人公がひねくれているならば当然彼の独白で綴られる地の文も半端でなくひねくれている。そして主人公をとりまく周囲の仲間たちも、主人公と同じように水尾さんをストーカーする男もひねくれている。


 12月に入り街を浸食していくクリスマスに怯えつつ徹底抗戦の構えを見せ、夢玉を開いてみては「夢をなくしてしまった」と嘆き、他の大学生たちが送る「享楽的な生活」を嫌悪し、けれど時折、かつてはそんな幸福を求めた自分たちがあったことをふと思い出す。


 しかし、時には型にはまった幸せも良いと、我々は呟いたこともあったのではないか。


 主人公の独白があまりにひねくれているが故に、唐突とも思えるタイミングで挿入されるそんな一文がひどく寂しさを感じさせる。
 馬鹿馬鹿しくも続く日常。近づくクリスマス。水尾さんをストーカーする男との不器用な交流。ひねくれた主人公はそれらを乗り越えて、ひねくれたままではあるが幾つかの、それまではどうしても認められなかったものたちを認められるようになる。要は、ひねくれた大学生の青春小説というヤツなのかもしれない。

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