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日暮らし
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コメント・書評 |
その日暮らし。
オレンジマリー
Jun 14, 2007 3:56:25 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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前々から、宮部みゆきの時代小説には定評があるのを知っていた。そして本書が手元にふとしたきっかけでやってきて、いよいよ味わう事ができると心が弾んだ。 まずは、時代背景であったり、その時代に沿った言葉遣いが際立った。江戸、今は東京と呼ばれていて、賑わっている場所で起きた、色々な事件。個人的には前半よりも後半の方が感情が盛り上がったり落ち込んだりと忙しかったように思う。とりわけ印象が残った事件は、大商家の主人の愛人の身に起こった事件だ。彼女が住まっていた屋敷に棲む、子盗り鬼。そこに住み込みで女中をしていたお六にまつわる物語。登場してゆく人々や起こる事柄が、根をたどっていくと繋がっていたりして、まるでほつれにほつれた糸が見る見る解れていくような構成である。 印象的だった、だけど私にとって新しかった言葉は「悋気」である。今も昔も、悋気というのは人から平常心を奪うものなのである。悋気が根っこになって起こる事件なんて、数え切れないくらい存在していることだろう。それはもう、世界中で。 本書には、複雑な家庭が登場するが、そういった家庭には他者には到底理解し得ないような事情が複雑に絡み合っていることが多い。だけど、きっかけは些細であったりする。早めに対処しておけば、そこまでこんがらがることもなかっただろうに…というような事情だ。本書にも、そんなケースが登場してくる。 特に子盗り鬼の話は、自習の時間に読んでいたが、あまりの面白さに夢中になっていた。手に汗握り、緊迫した雰囲気が私に漂っていたのだろう、クラスメイトたちが私にそんなにその本は面白いのかと訊いてきた。軽く説明すると、翻訳書があれば、是非読んでみたいと言っていた。 子盗り鬼の話に出てくる孫八という男は、いわゆるストーカーである。尋常でない執着心でお六を追い回し、全ての事を自分に都合の良いように解釈し、紙面で展開される物語に背筋が凍った。描写があまりに具体的で、生きているからだ。 途中で抱いた疑問は順序良くするすると解決していくので、読んでいる経過を心から楽しめた。 ミステリー作家の大御所、宮部みゆき、素晴らしい時代小説を世に出してくれる。これを機に、彼女の他の時代小説にも手を伸ばしていきたいと思う。 |
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