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対岸の彼女
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コメント・書評 |
セピア色だけど鮮明な記憶。
オレンジマリー
Jun 14, 2007 3:13:31 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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角田光代が直木賞を受賞したのはいつの事だっただろうか。 私は読書生活の上でこだわっている事が一つある。直木賞受賞作を読破していくということだ。あれほど有名で、大きな賞を受賞するのだ、そこには読者の心を突くような、動かすようなことがあるはずである。なんて勝手に思っているのだ。 兄がまだ、ニューヨークに居た頃に一緒に見た「情熱大陸」という番組で、角田光代が取材を受けていたのを見てから、本書を手にした。彼女のポリシーに感心したからだ。もうあの番組を見たのはだいぶ前の事なので内容はうろ覚えだが、格好良いという印象を持ったことを覚えている。そんな彼女が紡ぎ上げた作品だ。とても楽しみに読み始めた。 主なキャラクターは二人で、一人は変わった会社の社長で、一人は一般的な家庭の娘を持つ主婦。二人のストーリーが交互に進行していく。女社長と言っても飾らない、こざっぱりとした人で、家事の毎日で刺激のない日々に少々嫌気が差してきた主婦の興味をそそる。だけど、一緒に仕事をしていく上で、その女社長の過去には苦い事情があると知る。 中高生の時代というのは、概してそういうものではないだろうか。ちょっと普通(この場合の普通は周囲の人間を示す)よりも仲の良い男子同士や女子同士を「同性愛」と称してからかう。普通よりも兄弟姉妹や父親母親を慕っていれば、ブラザーコンプレックスやシスターコンプレックス、マザー・ファザーコンプレックスとレッテルを貼る。元々、こうして人をとあるグループに分けて見るというのは、大人社会の事だ。個性を長所としてとらえるのではなく、摘み取ってしまうケースも多々ある。 だけどこの女社長のケースは、根も葉もない事が周囲に知れて、両親を落胆させ、ニュースにもなった。事情を知らない人々が大げさに騒ぐ。 そして女社長はパートとして面接を受けに来た主婦を、以前の自分の姿と重ねて見えてしまう。人と巧くコミュニケーションが取れない、人と関わる事を得手としない、そういう性格。それらを克服しての、女社長の性格である。 明るく人当たりの良い人程、過去に辛い思いをしていたりすることがある。辛い経験は人を柔軟にしたり、優しくしたりする。経験の分だけ理解できる範囲が広がっていくからだ。 そんなふうに、本書を手にした事で人の在り方であったり、大人の心情であったり、過去の経験だったり、思い起こすきっかけとなった。とても有意義な、一冊だ。 |
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