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愛と幻想のファシズム  上  講談社文庫

愛と幻想のファシズム(講談社) 村上 龍著
税込価格: ¥770 (本体 : ¥733)
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出版 : 講談社
サイズ : 15cm / 503p
ISBN : 4-06-184739-2
発行年月 : 1990.8
利用対象 : 一般

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コメント・書評

村上龍のフットワーク
くにたち蟄居日記
Feb 18, 2007 11:11:56 AM
評価 ( マーク )
★★★★★

 村上龍の諸作の中でも意欲作という意味では屈指の作品。


 僕は村上龍の最高傑作は「コインロッカーベイビーズ」だと思っている。同作が発表されてから 既に20年以上経っている。つまり僕としては この20年間 村上龍は それを超える作品が出せていないと判断していることになる。


 そんな中で 本作は惜しいといえば惜しい。


 村上龍の身上の一つは 野球、映画、テニス、ゴルフ等への広範囲な好奇心にあると思う。実際 村上は実に軽快なフットワークで いろいろなものに挑戦してきている。実際 本をかく前は 美大生であったわけだし その前はバリストを行う佐世保の高校生だった。本を書いた後も 映画監督をやるなど 要は 中々騒がしいお方である。これは誉めているのだが。
 その村上が経済とテロに注目して作り上げた近未来の日本を舞台にした小説が本作だ。


 経済とテロという題材で読ませる村上の筆は大変なものである。かような題材を扱った小説としては 嚆矢の部類に入ると思う。今読んでいても先見性はあるし 面白い。


 但し 幾分か「詰め」が甘いような印象をどうしても感じてしまう。小説がSFになってしまい 「絵空事」という範疇に かすかに入ってしまっている部分があるからだ。「コインロッカーベイビーズ」もSFながらも最後まで圧倒的な現実感を失わなかった点との差があるのだと思う。


 しかし 面白い。村上龍のフットワークの軽さは 僕らの財産の一つでもあるのだ。
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