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最後の息子  文春文庫

最後の息子(文芸春秋) 吉田 修一著
税込価格: ¥530 (本体 : ¥505)
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出版 : 文芸春秋
サイズ : 16cm / 245p
ISBN : 4-16-766501-8
発行年月 : 2002.8
利用対象 : 一般

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内容説明

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コメント・書評

新しい世界との出逢い。
オレンジマリー
Sep 4, 2006 2:18:36 AM
評価 ( マーク )
★★★

 最初に、登場人物の呼び名がニックネームであることに私にとって新鮮味があった。特に閻魔ちゃんについては、私はてっきり「女性」だと思っていたんだけど…実は。
 吉田修一は、芥川賞受賞者だっていう知識しかなかった。高校時代の世界史教師の趣味が読書で、誰かオススメの作家はいますか、という私の問いに対しての答えが、吉田修一だった。
 本書は、その先生が交換留学する生徒たちの付き添いでアメリカを訪れ、ついでに行うことになったNY市内見学で、NY在住の私を訪ねてくださった時に手土産として頂いた。
 読み始めてまもなく、今までに感じた事のない雰囲気を本書から感じ取り、多少戸惑った場面もあったが徐々に慣れた。初盤では気付かなかったけれど後に主人公と閻魔ちゃんが付き合っていると記されていて、ただの同居人としか思っていなかった私には衝撃的だった。同性愛をちらほら匂わすストーリーだが、深刻なものではなく、一つのストーリーとして見事に紡ぎあげられている。
 閻魔ちゃんは、いわゆるオカマだが「彼女」の「女」としての感情が終盤で弾ける。変わり行く時代の流れをとらえた、彼女なりの「姑」に対しての個人的な意見には、はっとするものがある。私はまだ未婚なので姑という人がどういうふうに映るのか、どういう付き合いになるのか分からないが、きっと同性である限り、摩擦は起こるだろうなと思う。
 主人公が閻魔ちゃんに愛されるために明かさない秘密が詩を書くことであったり、愛されることを計算しての振る舞いが興味深かった。他者にとっては「そんなこと相手が知ったって、相手の気持ちが冷めることない」ってことでも、当の本人には重大なことだったりする。そしてそういうことを上塗りしていくために、自分の心に正直になれない。だから、すがる閻魔ちゃんに対してひどい仕打ちをしてしまったり、さらに悪い偶然が重なって閻魔ちゃんは出血してしまったりして…痛々しいシーンもあった。愛されるために、嫌われたくないから冷たく突っぱねたりする。
 短編だけれども、その短いストーリー上では人間らしい感情が浮き沈みしている。そして最後の、主人公の「お腹が空いています」の言葉の裏には色々な感情が渦巻いているだろうなと、そう思った。
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