コメント・書評 |
幻想とユーモア
Leon
Feb 14, 2006 12:19:54 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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多数の作品に幻想性とユーモアが溢れている。 前者に関してはこれまでも散発的に紹介されてきたし、後者については「魔法の国の旅人」(早川文庫)でジョーキンズ氏の壮大な法螺話に触れることが出来るが、一見すると同じ作家の作品のようには見えないのではないだろうか。 しかし、本書に収録されている一連の作品を続けて読むと、幻想性とユーモアの両面は、ダンセイニの中に相反することなく存在していたことが判る。 また、彼が生み出した作品は、後の作家達に大なり小なり影響が見られる場合があるが、「宝石屋サンゴブリンド、並びに彼を見舞った凶運にまつわる悲惨な物語」の主人公サンゴブリンドは、彼を現代小説風のキャラクターとして考えると、一つの作品が自然と想起される。 「宝石屋」とは言うものの、サンゴブリンドが商うのは盗品であり、売り物は自ら調達している。 つまりは盗賊である。 彼の元に新たに舞い込んだのは「マウン・ガセ・リンの神殿におわす蜘蛛神像フロ・フロの膝に載っているダイア」の入手。 サンゴブリンドは陳列台の下から愛剣<鼠>を取り出し、一人夜の闇に紛れて神殿へ向かう・・・ フリッツ・ライバーの「ファファード&グレイマウザー」を読んだことのある人ならばサンゴブリンドの愛剣<鼠>や蜘蛛神像との戦いの場面に既視感めいたものを覚えずにはいられないだろう。 ライバーはキャラクターだけではなく、異世界ネーウォンを創造するにあたって「異教の神々」についてもダンセイニから影響を受けたようだ。 本書に収録された「チュー・ブとシューミッシュ」という卑小な神々同士の喧嘩騒動は、「瓶のイセク」という、その卑小さにおいては他に類を見ないライバーの創作神のベースになっているように思えるし、更に言えば、ダンセイニからの直接的なものなかライバーからの間接的なものなのかは不明ながら、テリー・プラチェットの「ディスクワールド」に登場する亀の姿形となった神「オム」にも同じようなユーモアが見て取れる。 なるほど、ことユーモアという点においては現代においてもダンセイニに引けを取らない作家・作品があるようだが、幻想性という点に関してはダンセイニを越えるものはなかなか見当たらない。 特異な世界を読者に馴染ませるために多くの文章を必要とするというのは、他ジャンルよりも長編化する傾向のある最近のファンタジーを書く人々の言い訳だろう。 ダンセイニは当初の1ページ目から有無を言わさず読者を幻想世界に放り込む。 |
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