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ファースト・プライオリティー  角川文庫

ファースト・プライオリティー(角川書店) 山本 文緒著
税込価格: ¥540 (本体 : ¥514)
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出版 : 角川書店
サイズ : 15cm / 317p
ISBN : 4-04-197012-1
発行年月 : 2005.6
利用対象 : 一般

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コメント・書評

あなたのファースト・プライオリティは何ですか?
オレンジマリー
Jan 8, 2006 4:31:37 AM
評価 ( マーク )
★★★★★

 読みたい、読みたいと本書が刊行されて以来思い続け、なんとなくこんな時期にまで延期になってしまっていた。大好きな山本文緒、ということで、楽しめる確信があった。また小気味いい文体で、さっくりとした印象の本なのだろう、と思っていた。そして、やっぱり予想通り、とても軽快な、それでいて時折重みがのしかかり、最後はスパッと終わっている短編が連なった一冊だった。
 本書に登場する主要な女性はみんな、31歳である。
 31歳、ファースト・プライオリティは一体何なんだろう?
 結婚、仕事、恋愛、家庭、夢…挙げてみたら限がない。十人十色で、人それぞれ一番大切な、優先したいものがあるのだ。
 山本文緒の文章で驚かされるのは、一般的に「ちょっとおかしい人」をあたかも自然に、無理なく描いているところだ。例えばストーカー。ストーカーされて恐怖心を抱いている側ではなく、ストーカーしている側の視点で、気がつくと相手が自分を「恐れている」という表現の仕方が非常に巧みなのだ。本書の中でも、自分の息子に対する愛情が深く、一見とても幸福な家庭に思えるが、実はその息子はそういう母親の感情や言動に嫌気が差していた、という覆りが面白い。でも考えてみたらそういうことってよく起こることで、無意識に誰かに不快感を与えているっていうのは本当に恐ろしいことだな、としみじみと思っていた。
 読んでみると、自分と被る女性がいると思う。全てが一致するわけではないけれど、そういう性質を自分が持っていると気づくかもしれない。想像上の登場人物などではなく、きっと人間が普通に持っている性質の一部がちゃんと登場人物に生きている。
 リアリティが確かに在って、とても身近に感じるのが著者の小説の特徴と言えると思う。手の届きそうな、そんなストーリーだ。
 山本文緒の小説を手にして気がついたことなんてざらにある。ああ、だからあの時あんな事が起きたんだ、なんて不意に得心がいったりしてしまう。そういう楽しさがあるから、読まずにはいられない。
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