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ナイト・ウォッチ
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コメント・書評 |
光と闇の密約
Leon
Dec 18, 2005 8:39:34 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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普通の人々には気付かれること無く、しかし遥か昔から活動している二つの勢力がある。 魔術師、治療師、預言者、変身術師、ヴァンパイア、etc... 超常的な能力や寿命を持つ彼ら「異人」は、光と闇とに分かれて反目し、何千年もの間に亘って人間界を巻き込んだ戦いを繰り返してきたが、半世紀ほど前に画期的な条約が締結された。 人間が進んだ科学力を持つに至った二十世紀後半、戦争の破壊力が地球的規模にまで拡大することは、光と闇双方の異人達にとっても避けなければならない至上の命題となったのだ。 光と闇のバランスを維持するため、異人による人間社会への干渉禁止を誓った条約からは、双方の勢力を監視しあう組織が生まれた。 主人公のアントンは、「ナイト・ウォッチ」モスクワ支局の一員で、闇の異人達の行動を監視するため、彼らの主な活動時間帯である夜間に仕事を行う。 これまで事務方として働いてきたアントンだったが、支局のボスに命じられて捜査活動の適性確認を兼ねたモスクワ市街のパトロールに赴くのだが・・・ 光と闇、善と悪の対立構造が背景となっているファンタジー作品は多いが、本書のそれは安易な二元論ではない。 例えば、善の守護者であるはずのナイト・ウォッチはヴァンパイア達に許可証を発行している。 「条約」を実効のあるものとして保つため、一定の範囲内でヴァンパイアが人間を襲うことを合法化しているというわけだ。 それは果たして「善」と言えるのか? 生存のために人間の血を必要とするヴァンパイアは、ビーフ・ステーキに喰らいつく人間に較べてどの程度「悪」なのか? 連邦崩壊前後のロシア情勢に連動したストーリーと、モラル問題に揺れ動くアントンの様子に強く引き込まれた。 ナイト・ウォッチを率いるボリスは千年以上もの経験を積んだ異人「偉大なる魔術師」であり、これに対抗するデイ・ウォッチの首魁サヴロンもまた同様。 遠い未来まで見通す能力を持った二人の偉大なる魔術師は、「条約」に縛られながらも常に水面下での頭脳戦を繰り広げているのだが、チェスや将棋にも似て差し手を見ていてもその帰結するところを予測するのは困難であり、推理小説的な愉しみも得られる。 異人達がその能力を最大限に発揮する「薄闇」は、現実世界と重なった複数の層から成っており、能力の高い異人ほどより深い層に入り込めるのだが、深い層ほどに現実世界や浅い層に比して活動能力が上がるという設定がユニークだ。 例え低い層であっても、そこで活動する異人にとって現実世界は時間が停止しているも同じなのだが、更に深い層に居る異人には浅い層にいる異人の動きはやはり停止したように見えるのだ。 この「薄闇」に関わる設定は、異人同士の歴然とした力量の差となって現れるため、登場異人物達を特徴付ける効果を生み出している。 また、細かい章立てをせずに3つのエピソードとした構成は絶妙のスピード感を醸し出し、著者の職業作家としての高い技量を感じさせる。 |
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