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催眠  小学館文庫
Hypnosis

催眠(小学館) 松岡 圭祐著
税込価格: ¥650 (本体 : ¥619)
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出版 : 小学館
サイズ : 16cm / 509p
ISBN : 4-09-403251-7
発行年月 : 1999.5
利用対象 : 一般

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コメント・書評

催眠?
オレンジマリー
Nov 6, 2005 1:02:24 AM
評価 ( マーク )


 催眠、と聞いて、何を連想するだろうか?
 ちゃんとした専門知識を持ち合わせていない人がほとんどの世の中では、本書に登場する数々のキャラクターと同じ意見を持つのではないだろうか。催眠術にかけられる、意のままに操られるから怖い、などなど。そしてもちろん、私もそう想像する無数の人の中の一人であった。
 嵯峨がカウンセラーとして、とある占い師に目をつけて、多重人格の疑いを持つ。私は以前、多重人格者の話をテレビで観た覚えがあった。だから嵯峨が言っていたことにはすんなりと賛同できたのだ。そしてそう疑いを持った理由も、きちんとした根拠が語られている。
 朝比奈や倉石、実相寺の視点でも物事を見て語っているので、偏った読み方はしないで済んだ。個人的にはこういう系の本は苦手なのだ。主人公だけの視点から読む本を多々楽しんできた私なので、言ってしまえば不慣れで少々浅はかな読書をしてきたのではないかと、自分のことながら思っている。でも近頃、ミステリーに手を伸ばし始めてからちらほらとこういう語り方の本を手にしている。いいではないか!と単純明快な感想を、持っている。
 物語の中盤で大きな横領疑惑が占い師である入江にかかる。その響きは私にとってなぜだか、なんとなく「2億円事件」と似ていた。未だ解決されていない、誰もが知っている奇妙な事件。どんな手法で実行したのかは仮説こそあれど、仮説のままで真実は闇に葬られた。そう、本書に出てくる横領事件の裏にも、私が想像できないでいる何かがあるに違いない、と踏んでいた。最終的に、その事件は解決するのだけど、真実はやはり私が想像していたものとは違っていた。読者の意表を突く。
 精神病を患う多くのきっかけは、家族愛の不十分さにあったりするのは結構耳にする。とりわけ幼い子たちは親の言動ひとつで尋常でない影響を与えられ、成長していく。入江もまた、寂しい思いをして成長してきた。親の注意が必要だったというのに、満足な注意を向けられずに。本書は、現代の深刻な問題も兼ねて、読者の誤った催眠に対しての知識を修正してくれる。
 友人が何人か、松岡ワールドにはまって出られないでいるのだが、共感です。豊富な知識を基に、奥が深い物語を紡いでいる。催眠には続編があるので、書店へ足を運んだときには買い求めようと思っている。
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