コメント・書評 |
いつまでも心に残る優しさと美しさ
チョビ
Oct 22, 2004 11:58:00 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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瀬戸内海が舞台の先生と生徒たちの物語といったら、まず思い出すのは壷井栄「二十四の瞳」だ。もともと伊集院静という作家を敬遠していて(もてる男は苦手なのだ)、それゆえ「パクリなのでは」と意地の悪い気持ちで読み始めたのだが、自分の浅薄さを反省させられた一冊だった。瀬戸内海を訪れたのは一度きりだが、そのとき目に焼き付いた風景の美しさを鮮やかによみがえらせるような描写力には感じ入った。そしてそれ以上に終始温かい視線で描かれる教師と子どもたちの人間模様が胸を打つ。無防備なまでの優しさにあふれた作品だったと思う。物語の運びは淡々としていて、結末などもかなりあっけない。いくらでも“お涙ちょうだい”的な展開にもっていけたであろう話を、あえて抑えた筆致で描いたところに逆に作者の思い入れの深さを感じた。 大沢在昌氏も解説で描いておられるが、機関車先生と呼ばれる吉岡誠吾の設定はある意味反則である。ありえないほど純粋な人物造形だ。でも、と思う。私たちが小説に真に求めているのはそういうものではないのだろうか。現実にはなかなか見つけられないような優しさや美しさが、せめて小説の中には存在していてほしい。 余談だが、講談社文庫のあとがきは大沢ファンにとっても必読。あの大沢在昌が児童文学者になりたいと思っていたなんて! かわいいじゃないか。大沢さんも伊集院さん同様、いかにももてるタイプという感じであまり好みではなかったのだが、ちょっと見直しました。 |
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