コメント・書評 |
残酷さと優しさの共存
チョビ
Sep 26, 2004 2:45:00 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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伊坂幸太郎という作家は、いろんな意味で不思議な存在だ。伊坂作品を読んだ人とであれば1時間でも2時間でも語り合える気がするのに、未読の相手に対しては「こうだからいいんだ」と説得するための言葉を思いつかない。「とにかく読んで」と熱意によって相手の心を動かすしかないのだ。この小説のあらすじを伝えるにしても、ものすごく長い説明になるか、さもなければ「カカシが死ぬ話だ」と一言で済ませるかのどちらかしかないような気がするし。 「オーデュボンの祈り」はデビュー作。作家はデビュー作を超える作品を書けないとはよく言われることだが、伊坂さんは一作ごとに前作をしのぐものを書かれている稀な作家の一人ではないだろうか。それでもあえて、この小説が特に優れている点を挙げるとすれば、出てくるのが脇役に至るまですべて(悪役を含めて)印象的なキャラクターばかりだということかと思う。伊坂さんの人物造形の素晴らしさはいまさら言うまでもないのだが、どの登場人物も忘れ得ぬ印象を残す。ひとりとして“端役”と感じられないくらいだ。 伊坂作品においては、悪役はもうほんとうに感じが悪く、理不尽な暴力が描かれることも多い。それでも読み終えて心に残るのは、その作品に存在する限りない優しさである。「とにかく読んで」いただければと思う。 |
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