コメント・書評 |
アフリカの深い色彩を。
オレンジマリー
Jun 25, 2004 11:09:00 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★★
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久しぶりに村山由佳の本を読んだ。最近色々なジャンルに手を伸ばしているので、以前読んでいた作家の本はほとんどご無沙汰である。
まだアフリカに行った事はない。というよりも、正直興味がなかった。うっすらと「行ってみたい」とは思っていても、ヨーロッパほど強く惹かれる事もなく、アジアみたいに身近に感じられる事もなかった。サバンナのイメージしかなかったし砂漠やマサイ族とか、ちょっとした事しか知らない。 主人公の多岐川飛鳥が染色家だという設定も気になっていた一つの点だ。写真家や画家、建築家と比べてはるかに遠く、馴染みのない職業だからだろうか…。 小学生の頃、一度だけ授業で布を染めたことがあった。布のところどころを輪ゴムでしばり、青や赤の液体に浸す。取り出して輪ゴムを取ると、不思議な模様ができていた。そのことを読みながら思い出した。 この本を読んでまず思った事は、色彩が本当に豊かだということ。聞いたこともない色がいくつも登場するし、たまに神秘的な名前の色が出て来た。私は風景や音や流れを感じることができる本が好きなので、本書はとても馴染めた。 ベルリンの壁の崩壊。私は当時小学生で、記憶の片隅に残っているテレビ画面がよみがえる。何も分からなかった私はただ、周りで騒ぐ大人たちに混ざってテレビを見た。ハンマーを持ったたくさんの人たち、何十年ぶりかに再会した人たちの抱擁、崩れた壁を飛び越えて行く人々…。一つの国を東西に分けてしまった厚く冷たい壁。それが崩れた瞬間、何も知らない私でも言い知れぬ感動が身体を突き抜けたのを覚えている。中学に入ってから、あの壁がベルリンの壁であることを知った。その歴史的瞬間に、飛鳥と一馬は出会った。 色々な動物の性質や生活がイメージできて、心から楽しめた。そして縄張り争いや野生の厳しさの描写を通して人間はその世界からはずれてしまっている事を再認識した。自分自身人間で、狩猟や漁をして暮らしているわけではなく、電気を使い、食材はスーパーで買って食べているのでこんなことを言うと矛盾しているが、ちょっとずるい気がした。それでも、青い空の下で自然の元に暮らし、衣服をまとわず生活している人間もいる。 友達が去年、モロッコに行った感想はこうだった。空気が澄み切っているから砂漠と空の境界線がはっきりしてて、本当に空が抜けるように青かった。 夕焼けを染めるのは至難の業だが飛鳥には頑張って欲しいと思う。村山由佳の本はいつも、乳白色のような痛みが残る。アフリカの色彩の深さに、落ちていきそうだった。 |
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