コメント・書評 |
絶対泣きません。
オレンジマリー
Jan 14, 2004 1:21:00 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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目に見える強さは弱さをカモフラージュする。本当は、弱い。 本書では悲観的になっている主人公が一筋の光を見出したり、本音を隠してきた主人公がそれをぶちまけたりするストーリーが目立ちました。目の前が真っ暗になっても、ほんの些細なことで光が射したりします。哀しみには終わりがあるし、逆に楽しみにも終わりがあります。そういう日常で自然的に知っていくことが巧みに文章化されている。だから共感もできる…。
文緒さんのすごいところは、一瞬にして起こったことの表現や、感情の揺れ、主人公以外の思いが意外であったり、しかもそれらを短編で巧妙に描いてしまえるところです。一編ごとにわくわくし、落ち込んで立ち直れる。とても感慨深い作品を生み出している。
私も泣かない方ですが、表では泣かないだけです。もちろん心では泣いたりしますし、強がっているだけで実際強いわけではありません。別に普段そういうことをじっくりと考えたりしないんですが、本書を読みながら考えてみました。一編読むごとに「ああ、分かるな」ってため息をもらしたりしました。もし、人間が100%本音で生活していったら世界は大混乱を極めるでしょう。建て前は現実を美しくしたりもしますから。また、物事を円滑に進行させるには譲歩だって必要です。それを、感情のままに口を開き、本音で生活したら実に騒々しいし、生きることにうんざりしてしまいそう。そんなことを考えました。
中でも酒屋に営業に回る話は唸って読んでしまった。人には都合ってものがあるし、自分の目に見えている世界が全てではないと再認識しました。こうだ、と思っても実際違ったことなんて数え切れないくらいあったし、方法を変えたら風景が違って見えたりしたこともありました。
本書は私にとって激励の一冊です。絶対泣かない、と歯を食いしばる元気も湧いてきました。 |
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