コメント・書評 |
物から見た私。
オレンジマリー
Jan 8, 2004 11:54:00 AM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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宮部みゆきさんの本を、以前から読みたいと思っていたけれど借りたり買ったり、たまってしまった本をなんとか読んでしまおうと思っても忙しく、年末この本に手を伸ばし、ようやく昨日読み終えた。書評を投稿するのは実に久しぶりで、何を書こうか伝えようか熟考している。
まず、本書を読み始めて間もなく、語り手が財布である事に驚いた。ふと頭の片隅に過ったのが夏目漱石の「我輩は猫である」だった。 物、動物、人間以外の『何か』から見た自分。意思があるのかどうかは知らないが、もしそれらが心を持っていたならば私はどう思われているだろう。そんなことを考えたこともないので、不思議な心持で読み進めていった。
ある殺人事件を、いろんな人の持つ財布から語った作品だ。持ち主を尊敬していたり可愛がっていたり、また友人のように慕っていたり。財布の育ちや口調も自然のように感じたし、宮部さんの作品に引き込まれた。財布というのは大概、懐に入っていたり鞄に入っていたり、それ自体が外気に触れることは少ない。当然、見て語る、のではなく聞いて語っている。耳を澄まして持ち主が何を話しているのか、感覚でどう行動しているのかを読者に伝えている。自分の目にアイマスクをして、財布の立場を経験している感覚になった。 サスペンスにおいて、最初に疑われる者は犯人ではないというパターンが多い。それは本書も同じだろうと思っていたのに。途中で目を丸くした。 大々的にマスコミに取り上げられている二人の背後に潜む、もう一人の存在など考えもしなかった。三人いたとは…。結末が予想できなかった。ページを捲る指が先を急いでいた。 人以外の物の視点で語るというのは難しいです。自分はその物の立場になって考えることが難しいからだ。それに加えて口調や生い立ちを見事に表現し、性格も巧みに表した。宮部さん、すごいです。 これを機に、宮部さんの他の作品も読んでみたいと素直に思いました。時代物も書いているようなので、近々購入しようと思っています。 今年も、新たな素晴らしい才能を持った作家を発見できたら良いと思います。自分が触れたことのない、まだ視野に入っていない作家は限が無いくらい存在しますが、一人でも多く触れられたらと思います。 |
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