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MOMENT
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本多 孝好著
税込価格:
¥1,680
(本体 : ¥1,600)
出版 : 集英社
サイズ : 20cm / 317p
ISBN : 4-08-774604-6
発行年月 : 2002.8
利用対象 : 一般
出荷可能時間:
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コメント・書評 |
とても静かに、体温が上がる。
オレンジマリー
Dec 3, 2003 5:49:00 PM
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評価 ( ★マーク )
★★★★★
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しゃらくせぇ。 なんとなく老人のこの台詞が繰り返し思い出される。触れる機会が極端に少ない言葉だからでしょうか、ツボにはまったようです。 本多氏特有の空気、言い回し、冗談。相変わらず秀逸です。
死を前にした人にだけ伝わる必殺仕事人伝説。願い事を一つだけ叶えてくれる黒衣をまとった人物がいる。それを背負った一人の大学生、灰色の作業服を着た掃除夫…。設定も架空っぽくて、幼い頃に見たアニメのヒーローを思い返す。幼馴染の森野や患者たちとのやりとりも笑える場面はあるし、しんみりしている中にもホットな部分があってとっつきやすい。 ちょっとした人間の仕種、癖、そういったものを巧みに表現するのは極めて難しい。どこかで不自然になり、無理が出てしまう。しかし本多氏は見事にやってのける。 たとえばふとした時に目に入る物。無意識に視野に入る物。本書では老人との会話のシーンで、テレビでやっている子供向けのアニメに登場する女の子の身形、時折登場する献立表(夕食はマスの塩焼き、里芋と椎茸の煮物、キュウリとキャベツの味噌汁。朝はロールパンにフルーツヨーグルト、インゲンとトマトのサラダ。お茶。容態が悪化しそうな献立ですね)。とても具体的なので非常に想像し易く、主人公が願いを叶える時に請求するお金も中途半端で面白い。 一番ぞくっとしたのは最初の「FACE」だ。素直に読み進めていくと最後の最後で待ち受けるどんでん返しに驚く。ミステリーの醍醐味だろう。 本書はちょうど、波のようだ。細波が押し寄せ、引き、また押し寄せる。そしてクライマックスで津波が押し寄せる。うまく波に乗れれば大きな達成感と爽快感に包まれる。なんと言っても読後感が素晴らしい。 人間の魅力と醜態が巧妙に描かれていて、鋭利な刃で切りつけるような展開には敬服です。 結局必殺仕事人の正体が暴かれないまま終わる、というのも心地よい余韻になる。私はどちらかと言えば真犯人が分かったり、解き明かされたりする方が好きなのですが、本多氏の文章は病み付きにさせるものがあります。これからもずっと、心より楽しみに新刊を待ちたいと思います。序章からクライマックスまで、気が抜けない作品でした。最後まで手放せない、一生手放したくない一冊に数えられます。 |
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