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星々の舟

星々の舟(文芸春秋) 村山 由佳著
税込価格: ¥1,680 (本体 : ¥1,600)
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出版 : 文芸春秋
サイズ : 20cm / 389p
ISBN : 4-16-321650-2
発行年月 : 2003.3
利用対象 : 一般

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内容説明

【直木賞(129(2003上半期))】禁断の恋に悩む兄妹、他人の男ばかり好きになる末っ子、居場所を探す団塊世代の長兄、そして父は戦争の傷痕を抱いて−。愛とは、家族とはなにか。こころふるえる感動の物語。

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コメント・書評

舟に乗って、どこへ行く?
オレンジマリー
Nov 18, 2003 10:06:00 AM
評価 ( マーク )
★★★★

 読み始めに思った事。村山さんにしてはシビアな話だなあ…。
 一つの家族の一人一人の視点から語られる、短編集みたいな作りだ。兄妹と知らずに愛し合ってしまった二人、相手のいる人ばかりを好きになる人、戦争を生き抜いた人、家政婦から後妻に迎えられた人、団魂世代の人。
 霞んだ世界のように淡々と、ストーリーは流れる。空気が濃くて、咽てしまうような、思わず目を伏せてしまうような…。

 中でも一番添って読めたのは貢の娘、聡美の話だ。ものすごく可愛くて賢くて人気がある親友。微かだが確かに在る劣等感。身に覚えがある。クラスの男子から「お前引き立て役だ」とか「よく並べるな」とか、そういう事を言われた経験もある。私は悔しくて、見返してやろうって前向きになったけれど、それで本気で悩んで立ち止まる人だってたくさんいるだろう。言葉っていうのは、当たり前に使用しているが本当はもっと慎重に使うべきものだと思う。言霊、言葉の暴力、そう言うように言の葉には魂がこもる。だから人を慰める事も、陥れる事も、もっと大胆に言えば殺す事だって可能だ。肉体的な痛みよりも精神的な痛みの方が計り知れない。目に見える傷と違って外側からは見えない分、厄介でもある。肉体的な傷は医者の手と時間によってそれなりに回復するが、精神的な傷というのは治癒したかどうかさえ確認できない。
 本書では父親である重之の言葉で深く傷ついた娘、戦時中の慰安婦の言葉で救われていた重之、何か「言葉」に重点を置いているような箇所がありました。言葉は慎重に選んで使わなくては、そう思います。
 戦時中の話は沖縄に修学旅行で行った時に聞いたり、祖父から聞いたり、両親の実家の近所にあるお寺に住むお年寄りから聞いたりして少ないながらも知識がある。映画で観たシーンがそのままインプットされているので、悲惨で残酷で痛々しく苦々しいイメージが強いが、その時代を生きた人はみんな言います。「平和であること、それが一番幸せ」願わくは、争いのない世界。困難を極めることであろうとも、その努力はしていきたいですね。
 学生運動と言えば、浅間山荘を意識する。私が生まれる前のことなので一体何が原因でどういった事件なのか知識は浅いが、かなり大きな出来事として心に刻まれている。そう、例えば「三億円事件」と同等なイメージ。
 久々に過去の出来事に思いを馳せました。私が生まれてから起きた出来事と比べ、本書に書かれている出来事は重みがないが、それでもちゃんと知っておきたい事だと思いました。
 舟に乗って、どこへ向かうのだろう。読み終えてふと、そんなことを考えた。
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