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強襲部隊
米最強スペシャル・フォースの戦闘記録

強襲部隊(早川書房) マーク・ボウデン著
伏見 威蕃訳
税込価格: ¥2,310 (本体 : ¥2,200)
出版 : 早川書房
サイズ : 20cm / 418p
ISBN : 4-15-208256-9
発行年月 : 1999.12
利用対象 : 一般

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内容説明

93年10月3日、内戦が続くソマリアの首都モガディシュにアメリカ軍特殊部隊が空挺降下した。彼らの任務は武装組織の最高幹部を拉致すること。国際政治の一大転換点となった秘密作戦の全貌を再現し、戦場の実態を活写する。

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コメント・書評

ロクでもない現実の、ロクでもない戦争
伊藤計劃
Jan 29, 2002 11:14:00 PM
評価 ( マーク )
★★★★★

 人はどんな事柄からもやたらと教訓を引き出そうとする。戦争ならばなおさらだ。「地球よりも重い」ところの命が大盤振る舞いでドカドカ消費され、金もインフラも壮大に失われる。湾岸戦争で石油の利権云々ゆーおめでたいアメリカ陰謀論者もいたけれど、現代の戦争のコストは、はっきりいってそんなもんではとーてー見合わないほど巨大なものにふくれあがっている(とくにアメリカ式の戦争のコストは)。現代の戦争は支配とか利権とかでは埋め合わされない、ムチャクチャ効率の悪いソリューションだ。
 というわけで、アメリカがソマリアに介入したとき、それは多分、本当に善意からだったんだろう。ある種の無神経さがあったとしても、ソマリアはアメリカの「利権」にとってなーんの意味もない、ただの地図の場所にすぎなかったわけだもん。飢えてる人々がいる、虐げられている人々がいる。そしてアメリカはやってきた。俺達がなんとかしてやる。悪い指導者を打倒し、この乾いた大地に平和の二文字を打ち立ててやる。

 そしてアメリカ兵が死んだ。損耗18パーセント。損耗3分の1で敗北と言われる現代戦の基準から言えば、こいつはムチャクチャ高い数字だ。なんてたって5人に1人が死んだってことだから。

 この本はその戦いの記録だ。ベトナムより後の戦闘では最大の損害を出した、アメリカ軍のある戦闘の記録だ。

 なんてたって陸軍はレンジャーにデルタ、海軍はSEAL、海兵からリーコンと、映画でもお馴染みのアメリカの特殊部隊だけが99人投入されたのだ。作戦が1時間で終わると考えても決してごう慢とは誹れないだろう。実際、彼らはカウントされてる数字で500人(本当は1000人近くともいわれる)のソマリア人を殺したんだから、キルレシオからいえば勝利といってもおかしくない。
 でも彼らは負けた。

 彼らは一昼夜にわたって、モガディシュの中心部に釘付けにされ、各部族のミリシアはおろか一般人からもタコ殴りにされることになった。瞬殺みたいな作戦だったから夜間装備なんて想定していなかったし、食料も水もない。まわりじゅうみんな撃ってくるから、こちらとしても子供だろーが女だろーが撃ちまくるしかない。

 そして、膨大な数の屍が築かれた。

 この闘いはロクでもない。意味もなく、教訓もない。それでもあえて教訓を探すとするなら、熱いヤカンには触るな、とか、悲惨な国が悲惨なのは、彼らが悪い指導者に虐げられているからではなく、国民自身が心の底から平和を望んでいないからだ、という身も蓋もないこれまたロクでもない教訓でしかない。

 自分の身を守るために、女性を、子供を撃たねばならなかったアメリカの若者たち。自分の家族や家を奪われたソマリアの人々。もっとよい方法があったはずだ。それをいうのは簡単だと思う。アメリカは傲慢だったのだろうか。そうかもしれない。じゃあ国連は傲慢じゃなかったのかな? そもそも当のソマリア自身がなんとかしようという努力を充分にはらってたのかな。多分違う。こいつは、どうにもならない現実の、どうにもならなかった善意の話だ。貧乏な学生のためにパンにバターをいれてやったら、そのパンを学生は設計図の消しゴム代わりに使っていたため、設計図が滅茶苦茶になった、っていうO・ヘンリの話がある。じゃあアメリカは何もしない方がよかったの? そうじゃない。アメリカが何もしなくても、国内ではバッタバッタと人が死んでた。じゃあアメリカはいいことをしたの。もちろん違う。彼がやったのは余計なお世話でジェノサイドに転がり落ちた不様な失敗だ。

 答えはない。こいつは現実の物語だ。映画がどんなできなのかは知らない(まだ)。でもこいつは読んだ方がいい。現実の命のやり取りの物語だ。
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