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紙の本
不朽の名著か、それとも単なる博士論文なのか:「権力の予期理論」とは何だったのか?
2004/10/28 16:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とみ〜M - この投稿者のレビュー一覧を見る
言わずと知れた、宮台真司の処女作にして、東大博士号取得論文。
社会学論文としての価値ではなく、ここでは書物としての価値を検討したい。
まず、凄いところ:
・権力を論理的に記述しつくしたところ
一貫した視点により、相互行為から社会的権力、組織内権力、そして国家権力と権力を記述しつくした。その論理構成は舌を巻く。今では、論理思考やツリー上のロジックシステムに関する書物が書店をにぎわす、日本国内のロジック志向は強まるばかり。だが、当時はどうか。90年前後の学界論文でも、かなり粗雑な論理構成によるものが多い、「印象批評」と言わざる得ないものが相当出回っていた。その中で、宮台は論理構成は巧みだ。無駄なく、論理的に記述されており、説得的言説を構築している。
変なところ:
ゲーム理論が対抗理論として登場しているが、その批判のポイントが内在的批判としてかなり入り込んで記述されており、その章が異常な位置付けを示す。むろん、当時の権力理論論争に踏み込めば、社会科学へのゲーム理論の本格導入時期であることがわかる。だが、かなり異質な印象を感じざるを得ない。
(この点については、再度ゲーム理論側からの回答と共に考えざるを得ない)
感想:
この本への最大の批判は、「権力が記述されているが、説明はされていない」というものだろう(これは、当時の言説をCHECKしてのはなし)。確かに、「ふむふむ、確かにこんな場合には、こんな風に権力は働くのか」と思いながら読める。だが、「何で、そこに権力があるのか?」には答えてくれない。「先生と生徒」⇒確かに権力関係はある、だが「なぜ、そこに権力が産まれるのか?」については、この書物は教えてくれない。
これは記述主義という「禁欲」から来るものだろうが、書物としてみたときに「権力の生成論」を欲求してしまう。つまり、ある種の「欲求不満」状態がオトヅレル。それがこの本を、「単なる秀才の博士論文化」する。
学問的には間違いなく、日本の社会科学の何らかの到達点である。最近の本屋の社会学の棚を見ても、「博士論文」としての凄みには欠ける。
紙の本
目次
2003/06/11 11:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:勁草書房 - この投稿者のレビュー一覧を見る
目次
序章 社会理論が権力概念を要求する理由
第1章 権力の概念規定
1 概念設定の方向性
2 権力の体験構造
3 権力の一般的定義
4 権力の基本契機
5 反実仮想と動機設定
第2章 権力類型と機能
1 予期と現実の乖離
2 権力者の意図と自覚
3 権力の効用類型
4 期待形成的権力
5 時間対策としての威嚇化
第3章 記述形式の展開
1 予期理論的権力のゲーム理論的記述
2 権力ゲームの蓋然性
3 最も標準的な権力ゲーム
4 反復交番ゲームと非意図的権力
5 一回非交番ゲームと相互的権力
第4章 権力の人称類型
1 奪人称的権力
2 準社会的権力と社会的権力
3 社会的権力概念の伝統
4 汎人称的権力
5 社会的—奪人称的権力
第5章 権力の連鎖形式
1 権力反射と主題自由化の諸戦略
2 権力連鎖と連鎖形成戦略
3 権力の公式性と源泉の所在
4 権力/権限/影響力
5 物理的実力の政治化と国家権力
注
あとがき
言及した文献
事項索引