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紙の本
電子書籍の時代は本当に来るのか (ちくま新書)
著者 歌田 明弘 (著)
日本でもいよいよ電子書籍の時代が始まると騒がれている。果たして、紙のメディアは生き残れるのか? グーグル、アップル、アマゾンらの最新の動向と、それに対峙する日本の出版社・...
電子書籍の時代は本当に来るのか (ちくま新書)
電子書籍の時代は本当に来るのか
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商品説明
日本でもいよいよ電子書籍の時代が始まると騒がれている。果たして、紙のメディアは生き残れるのか? グーグル、アップル、アマゾンらの最新の動向と、それに対峙する日本の出版社・新聞社の試みを分析する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
歌田 明弘
- 略歴
- 〈歌田明弘〉1958年生まれ。東京大学文学部卒業。『現代思想』編集部、『ユリイカ』編集長などを経て、執筆活動。メディア論や現代社会論を主なフィールドとする。著書に「本の未来はどうなるか」など。
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紙の本
電子書籍に関する問題点や Web との微妙な関係
2010/11/26 00:44
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
電子書籍に関するさまざまな話題とくに問題点を解説している. 日本における過去の電子書籍の失敗,iPad における検閲の問題,グーグルがまきおこしたさわぎなどなど.
最後の章ではなかなか有料化できない Web と電子書籍との微妙な関係が分析されている. だが,その関係が今後どうなっていくかは著者にもわからない.
紙の本
前代未聞の連載ブックレビュー
2012/04/04 13:44
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koo± - この投稿者のレビュー一覧を見る
●第1夜:前代未聞の連載ブックレビュー
「です・ます調」レビュー100本ノック。31本目。
引き続き、電子書籍の話題です。
前回紹介した「iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏」西田 宗千佳。とりわけ「日本を巻き込む電子書籍戦争」の部分を更に濃く突き詰めているのが本著です。
電子書籍大国アメリカ。Apple、Amazon、Google、各社の思想とアプローチを機軸に内容は展開します。それと対峙する電子書籍後進国日本の出版社・新聞社・図書館。それらを照らし合わせることで、電子書籍の今をとても明確に伝えています。おもわず目を皿にして食いついてしまいました。
かなりGoogle寄りの書籍ですね。あと全編通じて懐疑的な視点。そこは深い考察につながる利点であるかと存じます。
電子書籍時代に読書家や書評ブロガーができること・すべきこと。この話題は最近の僕の中での重要なテーマのひとつです。言いたいことは山とある。すこし長くなりそうなので、毎回論点を絞りつつ連載形式で取り上げていきたいと思います。
AppleとAmazonに関しては前回の記事で色々書きました。内容が重複するので、今回はGoogleならびに日本の事情についてを中心に紹介しますね。
(つづく)
●第2夜:Googleの図書館プロジェクト
「です・ます調」レビュー100本ノック。32本目。
<ロングテールは夢の島>
一冊一冊では儲からない膨大な既刊本の山は、やり方しだいでお金に換えることができる。そうしたことに気付き実践したのがGoogleでした。
以前紹介した「ウェブ進化論 (ちくま新書)」梅田 望夫に書かれていたロングテールの理念ですね。本の前文横断検索はAmazonが先駆け。後追いの立場ですが、GoogleBooksとして追撃します。
世界中の情報を整理し、アクセスできる環境を。そんな理念からGoogleは図書館の本をまるごと電子化し始めました。図書館の本の80%は絶版本。このような絶版本を手始めに、書籍全般、さらには新聞雑誌まで手中に収めようと試みたのです。
米著作権法の認めるフェア・ユース(公正利用)の範囲内でのアプローチと主張。技術革新をどう受け入れるか、法律論よりも文化的要素の面で重要になってきます。それはやがて米作家協会との訴訟問題へと発展。結果、Googleは和解金を支払い、表面上は敗北を喫します。
しかし、本当の意味で敗北したのはどちらでしょうか? といったことが本著で解説されています。かなりのGoogle目線ですね。その後、幾多もの訴訟と和解を繰り返し、現在もモメている最中だそうです。
Googleと出版・著作権者団体のthe Association of American Publishers(AAP)とAuthors Guildの3社は合意に至ったそうですが、他の権利者団体や図書館の団体、さらにMicrosoftやAmazonなどのライバルが猛反発しています。まあ当然でしょう。夢のロングテール島は運命を握る宝島ですから。黙って見過ごすわけにはいきません。
フランスやドイツ、そして日本といった非英語圏の動向も気になるところです。次回は日本に絡めた話を書き進めたいと思います。
●第3夜:さよなら日本語
「です・ます調」レビュー100本ノック。33本目。
<世界から日本語が消える>
世界中の書籍を手中に収めようとするGoogleBooksの猛威。その勢いは日本にまで迫ります。黒船襲来に硬直化する日本の出版業界。著作権所有者は反発し、和解案を跳ね付け、黒船を撃退したのです。
アメリカの電子化の波に乗らない日本の選択。それは日本で発売されている現役本がアメリカで手に入らない状況を生み出します。すなわち「米国内で市販されていない書籍」として絶版本あつかいになり、アメリカの法整備の元、日本に無許可で電子出版化されてしまうといったカラクリめいた懸念も孕んでいるのです。
日本にはフェアユースの条項はありません。ともあれ、日本の本はGoogleBooksの検索対象から除外されることとなりました。この事実は何を示唆するのでしょうか? 実はここに著者が最も危惧する点があります。
ネット検索にヒットしない日本語の書籍。世界中の叡知を求める人々から日本語を読む機会を奪い、日本の書籍が世界から取り残され淘汰されます。結果、英語圏との情報格差が生じ、世界から日本語が消滅してしまいます。そうやって日本社会全体の衰退という大きなツケを払わせられるのです。
<フランス、ドイツ図書館の国家プロジェクト>
非英語圏であるフランス、ドイツもGoogleBooksとは対立しています。しかし日本とは随分と論点が異なるようです。
国会図書館が大々的な書籍の電子化を国家規模のプロジェクトとしています。目先の利権に目くじらを立てる日本とはえらい違いですね、ちっさ。このように先ず国が率先して行い予算を捻出。それを民間が受託しシェアするのがフェアなやり方では? と僕も感じています。税金はこういうところにガシガシ投じてほしいもんです。まあ何らかの仕分けは必要ですが。ひいては電子化のインフラに伴い図書館民営化という選択肢も浮上してきます。その話題は後ほど。
私たち日本の図書館はどう考えているのでしょうか? 次回はそこに触れていきます。
●第4夜:日本の電子図書館構想
「です・ます調」レビュー100本ノック。34本目。
<国会図書館館長、長尾真氏の構想>
実は日本でも図書館の電子化は水面下で進行しています。ホッ。国会図書館館長の長尾真氏はこの件に関してとても積極的な方で、2009年から2011年の2年間で、過去のものと併せると約210万冊の資料のデジタル化を実現しました。
前回に書いた「世界から日本語が消える」という危惧感がここにつながってきます。本質的な意味での電子化すなわちデジタルアーカイブすなわち日本文化の伝承には、寛容の精神が必要不可欠となってくるのです。
<バカとコピペは使いよう>
寛容といえば長尾さんのコピペに関する考察が興味深いです。部品として先人の書いたことや、研究成果などをうまく持ち込んで、自分の言いたいことや表現に組み込む。その行為は編集工学的つまり編集能力が問われると示唆しています。
ようするにバカとコピペは使いようってことですかね? こうした人間の持つ編集能力すなわち知能を図書館構想に照らし合わせてインタビューは締めくくられます。
やはり電子書籍時代到来の鍵を握るのは知の貯蔵庫である図書館なのだな、と実感させられます。