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- カテゴリ:一般
- 発売日:2007/11/30
- 出版社: 文藝春秋
- サイズ:20cm/340p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-16-369770-3
紙の本
その数学が戦略を決める
未来のワインの値段を決め、症状から病気を予測し、最適の結婚相手まで決める「絶対計算」とは? エール大学の気鋭の計量経済学者が、専門家にとってかわる「兆単位のデータ計算」に...
その数学が戦略を決める
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商品説明
未来のワインの値段を決め、症状から病気を予測し、最適の結婚相手まで決める「絶対計算」とは? エール大学の気鋭の計量経済学者が、専門家にとってかわる「兆単位のデータ計算」について、わかりやすく解説する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
イアン・エアーズ
- 略歴
- 〈イアン・エアーズ〉エール大学教授。経営学部と法学部の両方に籍を持つ。
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紙の本
時代は変わった、そしてさらに変わって行くだろうと感じられる本
2009/01/16 06:37
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なむげ - この投稿者のレビュー一覧を見る
梅田望夫さんのWEB進化論を読んだ時、タイトル同様の印象を受けました。
この本ではWEBやコンピュータの進歩により、集められた膨大なデータを分析して、それがこれまでの人間の「経験」やその経験を根拠にした「勘」などが吹き飛ばされている実例を紹介し、またそれらがどのような分野で活かされているかも紹介している大変興味深い本。
私は人間の「感情」というものも、遺伝子や経験によりプログラムをされたものの反応でしかないと考えている人間なので、それを一段と納得させれくれる本でもありました。
ある人が明日買い物に行く確率、そこで服を買う確率も天気予報程度の制度で予想される日も確実に近づいていると思いました。
ホンマ時代は変わったなぁ。
紙の本
大量データ解析は万能なのか?
2008/01/27 19:46
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:k-kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
大量データを解析しその結果を経営戦略に結びつけること。この実用例は、すでに日本のあちこちのコンビニで見られる。POSを活用して商品のデータ管理を徹底する。そして売れ筋・死に筋の商品をきちんと分析し棚の回転率を上げ在庫を減らす。品揃えの戦略こそコンビニの生命線だといえる。本書の中心テーマは、大量データ解析――「絶対計算」と呼んでいる――が、今やあらゆる分野で意志決定に活用されているということ。企業は絶対計算(データマイニングとも)を駆使して収益に結びつく要因を掘り出し、競合他社をうち負かそうと苦闘している。
絶対計算の企業活動への適用例が豊富にとり上げられている。例えば、レンタカー会社は、クレジットカードの返済実績の低い人にはサービスを拒否するそうだ。データマイニングの結果から返済実績の低い人は事故も起こしやすいからだという。このような大量データ解析が行き着くところ、個人情報が思わぬ形で悪用されたり、人種差別につながるリスクだってあり得る。データ分析に全面的に依拠することの危うさを、著者は指摘することを忘れてはいない。
絶対計算を支えている統計技法は回帰分析と無作為抽出テストの2つ。回帰分析は、実績データを使い、一つの変数に他の因子がどのように影響するかを計算する統計手法。回帰分析は大量の実績データを前提とするが、無作為抽出テストはリアルタイムで必要データをつくり出す方式である。テストを行う前に仮説を立て、その結果を大量データによって検証するのだ。無作為抽出技法の普及は、インターネットによって大きな母集団を確保するのが容易になったからだと言える。
一方で、人間(それぞれの分野の専門家)は、コンピュータによる絶対計算(回帰分析や無作為抽出テスト)から導かれた方程式よりも優れた結果を出せるのだろうか?という疑問がある。人間とコンピュータを対話させるのが最高の方式かもしれない。ただ、人間はシステムに優越感をもち自信過剰なので、コンピュータの予測を無視して誤った思いこみにしがみついてしまうことがある。著者の見解は――両者の意見が分かれたら、最終判断はコンピュータの統計予測に任せるのが良いと、冷静である。
人間に残された最も重要な役割は、統計分析にどの変数を入れるかを、知恵をしぼり直感を使って推測すること――仮説立案である。どんな因子が何を引き起こすかについての仮説を組み立てること。コンピュータは回帰式を使って、そこに因果関係があるかを試しその影響の大きさを教えてくれる。
それにしても、”絶対計算”という訳語が気になる。回帰分析や無作為テストをひっくるめての概念としては違和感がある。原著ではどう表現されているいるのだろう。
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紙の本
お奨め。ただし、キーワードの訳が不適切ではないか。
2008/03/20 19:50
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たまらー - この投稿者のレビュー一覧を見る
現実はそこまで進んでいるのか――。これが一言での感想。
大部なので、まずは、各章の「まとめ」を読んで、興味のある箇所から読むことを勧める。具体的なエピソードが豊富なので、つい引き込まれる。訳も――次の一点がひっかかったのを除けば――読みやすかった。
頻出するキーワードが「絶対計算」。しかし、この訳語では意味不明。調べてみたら原語はSuper Crunchingだった。すごいnumber crunch(数値計算)という意味だろう。そもそもsuperは相対的な比較のなかで位置づけられる形容詞だ。絶対という意味はない。Superに絶対の語を充てるのはいかがか。「巨大計算」とか「超強力計算」、「究極計算」などの訳語ならわかる。せいぜい「超絶計算」位までが原語の意味の許容範囲内ではないか。
紙の本
いずれ計算機が仮説を立てるようになるまでの戦略
2008/01/27 12:48
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kc1027 - この投稿者のレビュー一覧を見る
全てを数値化し、定量的に世界を「絶対計算」する流れは今後ますます
普通のことになっていき、留まることはなさそうだ。そんな世界では、
身体化された知性をもとに「専門家」を名乗る人々は、ひとりの計算者に
なってしまう。本書はそう語る。
人間の時代が終わるかもしれない。この本を読み終えた直後の感想だ。
膨大なデータを元にした絶対計算は、人間の感覚では把握しきれない
結論を導き出す。いやいや直感というものの力はまだまだ捨てたもの
ではないし、絶対計算が迷える魂を救えるわけがないじゃないか、
という意見も当然あるだろう。自分もその意見に与したい。
人間はあれこれ迷い、日々をさまよう。そんな人間が統治する世界は
「世界の側から見たら」不安定でどうしょうもない。絶対計算によって
極限までリスクを考慮した定量的な意思決定の方が、世界をうまく統治
できるのかもしれないし、よりよい理解が得られるのかもしれない。
混迷する2008年の初頭で、その可能性を否定することは、
もうナンセンスと言ってもいいのではないだろうか。
来るべき薄ら寒い未来を予感しながら、アメリカ大統領予備選挙を見ると、
絶対計算の抵抗勢力となるような情緒的な人間たちが、楽しそうに騒いで
いる。ダボスでは、環境問題対策のための絶対計算が各国の覇権争いに
用いられている。そして絶対計算をするための仮説はまだ大半は人間が
立てている。その仮説は多分に定性的で愚かしかったりもするのだろう。
いずれ計算機が仮説を立てるようになったら、役目を譲ればいい。
それまでは、自分の身体と真摯に付き合って、絶対計算すべき仮説の
精度を高めるために、歩いて歩いて歩いて、感覚を突き詰めるまでだ。
計算で答えを当てるより、感覚を突き詰める方が、自分には面白い。
紙の本
いつの間にか世界は変わっていた
2008/02/17 21:47
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふるふる - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んでまず思ったのは、目には見えないところで世界は変わっていたということだ。出荷される前のワインの品質やプロ野球選手の本当の実力などは大量のデータを分析すればわかってしまう。先日のNHKの番組でもレッドソックスが日本の岡島投手と契約する時にそれが利用されたことを紹介していた。さらに、学校の教師の教育方にもアメリカでは利用され始めているとのこと。おどろいた。専門家は抵抗するだろうとは思う。コンピューターとインターネットの発達は18世紀の産業革命に匹敵する社会の変化をもたらすことが、はっきりとわかった。
翻訳も読みやすくされており、訳者解説も非常におもしろかった。
紙の本
インパクトを重視した構成
2009/01/22 20:40
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
Amazonのオススメやgoogleの検索候補など、これまでに入力された膨大な(テラバイトクラスの)データに基づき(リアルタイムで)定量分析を行い予測する手法を絶対計算と称し、専門家などによる分析よりも、高い予測精度を示すことを紹介している。はじめにロバート・パーカーを引き合いに出し、絶対計算がワインの品質をごく初期の段階で正確に予測できることを紹介するなど、インパクトを重視した構成になっている。また、最後に登場する標準偏差とベイズ理論は簡易だけれど日常生活に役立ちそう。
ただ、紹介されている絶対計算の解析事例は、本書のいう絶対計算というよりも、Excelレベルで解析可能な定量分析がほとんどである気がする。どのレベルから絶対計算と呼ぶかにも依るが、冒頭の定義から考えると正直な表現方法ではない気がする。個人的には好ましくない。
さらに、絶対計算という訳語にも違和感を覚える。解説にあるような、大量データ解析では味気ないと思ったのかもしれない。しかし、"絶対"とは何か不変の基準に対する評価(絶対零度など)を指すので、そのような基準のない今回のケースではあまり適さないと思う。