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紙の本
格差社会の結末 富裕層の傲慢・貧困層の怠慢 (SB新書)
著者 中野 雅至 (著)
「格差」は政策が生み出した人工的なものか、グローバリズムに身を任せた自然な結果か。格差が容認される社会から一転、多くの国民が格差に憤りを感じる日は訪れるのか。元キャリア官...
格差社会の結末 富裕層の傲慢・貧困層の怠慢 (SB新書)
格差社会の結末
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商品説明
「格差」は政策が生み出した人工的なものか、グローバリズムに身を任せた自然な結果か。格差が容認される社会から一転、多くの国民が格差に憤りを感じる日は訪れるのか。元キャリア官僚による近未来社会のシミュレーション。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
中野 雅至
- 略歴
- 〈中野雅至〉1964年奈良県生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業。厚生労働省大臣官房国際課課長補佐等を経て、兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科助教授。著書に「はめられた公務員」など。
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紙の本
富裕層には相応の負担を、貧困層には抜け出す努力を
2007/05/01 00:22
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
いまや「格差問題」は政治の最重要課題の一つであり、国民の関心も高い。本書で扱っている格差は「所得(賃金)格差」である。成果主義による正社員間の賃金格差や、正社員と非正社員との格差、(フリーターやニートと正社員などの)若年層の格差などの存在が指摘されている。また公共事業の大幅カットで地域間格差も拡大した。その原因として自由競争、規制緩和、実力主義などの導入が挙げられる。
日本政府は多くを市場に委ねる「市場(原理)主義」政策をとり、「小さな政府」を目指した。その結果、企業はリストラを進め、景気は回復に向かっている。その一方で労働者の労働条件が切り下がり、不安定な雇用も広がった。企業の責任は重い。
親の格差が子供の教育環境にも影響すると言われ、格差が固定化することを心配する声も多い。サブタイトルの「富裕層の傲慢・貧困層の怠慢」というのは格差の両極にいる両者の態度がそうあり続けた場合は、日本国民の多くは格差を容認できなくなるだろう、ということを意味する。富裕層には格差是正のためにそれ相応の負担が求められ、貧困層はそこから抜け出す努力が求められる。しかし富裕層の負担や貧困層の努力にも限界があり、格差是正のためには富裕層・中間層・貧困層を問わず個人、政府、企業の三者が「各自なりの一定の義務を負う」社会となる必要があると著者は言う。
不平等な労働環境にある若年層や女性を救うためにも、若年者の能力開発、子育てしやすい環境の整備が求められている(ワークフェア)。
本書の中で著者は格差是正策を提案しているが、その中でも大胆なものは以下のような企業の負担を求めている点だ。
1つは「非正社員を使えないようにする、派遣法の廃止で不安定な雇用をなくす」というもので、もう1つは「非正社員の解雇規制を強化」というものだが、2つ目は実現性は低いとして、もう1つ別の「非正社員の労働条件の改善(同一労働同一賃金、社会保険、雇用保険の充実)」というオランダモデルを掲げる。しかしそのためには、正社員と労働組合の覚悟が必要である。非正社員の待遇改善の身代わりに「自分達の労働条件の低下」を受け入れるということだ。社会をよくしていきたいのなら、個々人が他人事ではなく自分の問題として捉えることが求められる。
最終章で「信頼(トラスト)」という言葉が出てくる。トラストは社会インフラだと言う。そのトラストが揺らいでいることが今の日本が抱える様々な問題の根っこにあるのではないかと。「お互いが信頼できない社会は瓦解する、相互に支え合う意味がない」のだそうだ。まずは地域という身近なところからしかトラストの再生はできないだろうとも言っている。