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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2006.2
  • 出版社: 宝島社
  • サイズ:20cm/375p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-7966-5079-2

紙の本

チーム・バチスタの栄光 (田口・白鳥シリーズ)

著者 海堂 尊 (著)

東城大学医学部付属病院は、米国の心臓専門病院から心臓移植の権威、桐生恭一を臓器制御外科助教授として招聘した。彼が構築した外科チームは、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術...

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チーム・バチスタの栄光 (田口・白鳥シリーズ)

税込 1,760 16pt

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商品説明

東城大学医学部付属病院は、米国の心臓専門病院から心臓移植の権威、桐生恭一を臓器制御外科助教授として招聘した。彼が構築した外科チームは、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門の、通称“チーム・バチスタ”として、成功率100%を誇り、その勇名を轟かせている。ところが、3例立て続けに術中死が発生。原因不明の術中死と、メディアの注目を集める手術が重なる事態に危機感を抱いた病院長・高階は、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者・田口公平に内部調査を依頼しようと動いていた。壊滅寸前の大学病院の現状。医療現場の危機的状況。そしてチーム・バチスタ・メンバーの相克と因縁。医療過誤か、殺人か。遺体は何を語るのか…。栄光のチーム・バチスタの裏側に隠されたもう一つの顔とは。第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。【「BOOK」データベースの商品解説】

【『このミステリーがすごい!』大賞(第4回)】医療過誤か殺人か、不定愁訴外来担当の万年講師と厚生労働省の変人役人が、患者の死の謎を追う。現役医師だからこそ描きうる医療現場のリアリティとコミカルな展開が魅力のミステリー。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

海堂 尊

略歴
〈海堂尊〉1961年千葉県生まれ。勤務医。

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評価内訳

紙の本

病院あるいは医者の世界というミステリー

2007/10/10 21:48

15人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

子供に東大医学部を目指させることになって、我が家では時ならぬ「医者の世界」ブームが起きている。そこでまず手にしたのが本書だ。さすが「このミス」大賞受賞作だけのことはある。ぐいぐい読者を引き込んでいくところはさすがだ。ただこの本は普通のミステリーとはちょっと違う。ミステリーとは基本的にまず事件が起きて犯人探しがはじまる。一体誰が犯人なのか。犯罪の手口は何なのか。どうやって被害者を加害者は殺したのか。そして犯人の動機は何なのか。これらを読者として探り当てるのがミステリーの醍醐味であるはずだ。しかし本書は違う。まず登場人物が極めて限定されている。この中に犯人は必ずいる。これだけ登場人物が限られていて、一体どうやって落ちにもっていくのか。途中から読み手の関心はこっちの方に移っていく。それでも読み手を飽きさせないのは、「犯罪の解き明かし」というよりも、舞台となっている大学病院そのもの、あるいはそこに蠢く医者達の世界そのものが一般人には無縁の大いなる未知の世界=ミステリーであるからだろう。そう、本書の最大の売りは医者の世界という舞台そのものにあるのだ。

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紙の本

このミス大賞の価値を上げた傑作。

2006/10/02 06:29

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る

作者の海堂尊は現役医師。
素晴らしい新人の出現を心から歓迎したいと思う。
このミス大賞新設4回目、ご存知のようにベストセラーとなった第1回の『四日間の奇蹟』はインパクトがあったのであるが、第2回、第3回とややその賞新設の意図にそぐわなかったというイメージがつきまとっていたのである。
みなさんもこんな面白いミステリーがあったのかと驚愕してほしい。
チーム・バチスタとは心臓移植の代替手術の専門チーム、アメリカ帰りの桐生を中心に次々と手術を成功させていたチーム・バチスタ。奇跡のような成功が続いていたそんな中、三例続けての術中死が発生してその原因を探るために主人公の田口が任命されるのである。
通常“医療ミステリー”と言えば、一般的にはとっつきにくいというイメージがかなり浸透しているものだが、白鳥が読者をこの作品にどっぷりとエスコートしてくれつまらない先入観を取り払ってくれるのである。
奥田英朗氏の伊良部センセイを彷彿させる強烈キャラ。
医療の専門用語が出てきて多少なりとも難解なのも事実であるが、白鳥の人となりが和らいだ気分にさせてくれるから安心して本書を手に取ってほしい。
主人公の万年講師で不定愁訴外来担当の田口の視点はやはり、読者レベルの等身大の人物でこれも良い。
いや、主人公が田口だから白鳥が生かされたと捉えるのが正解なんだろう。
田口の無欲さと白鳥のハチャメチャキャラとが見事にバランスが取れているのだ。
無論、彼ら2人だけではない。
登場人物すべてが魅力的でキャラがたっている。
たとえばダンディなイメージの漂う天才外科医・桐生。
女性読者は桐生・鳴海義兄弟の愛情にうっとりされたかもしれない。
それも本作を読む楽しみのひとつである。
たまに批判的なご意見の方も見受けれるのであるが、何年・何十冊書いても本作の領域を超えれない作品・作家が星の数ほどあることを肝に銘じて欲しい。
本作の成功例はやはり、白鳥の超個性的な変人キャラが大きいのであるが、そこに作者の類まれなアイデアを知らされたつもりである。
それは医者としてでなく厚生労働省の人物として登場させている点。
もし田口が白鳥のキャラだったらもっとつまらない作品に落ち着いていたはずだ。
そこに作者の現役医師としての矜持を感じるのである。
ミステリーとしての意外性を期待されている方はちょっと肩透かしを喰らうかもしれない。
逆にひねりが少ないから物語全体がリアルに感じてしまうのである。
それよりも病院内の人間模様や医療界全体を感知すべく作品なのであろう。
ひとことで言えばバランスの取れたエンターテイメント作品と言えよう。
近年稀に見る傑作と言っても過言ではないであろう。
嬉しいことにまもなく続編が発売される。
続編を楽しみにされている方の数は計り知れないはずだ。
日頃ほとんど大きな病院に行く機会がない私である。
本作を読み終えて医者の人間らしさと威厳との両方を肌で感じ取った次第である。
健康に産んでくれた両親に感謝したい気持ちも湧いて出てきた。
命を粗末にしてはいけない。
作者の真に伝えたかったことはそういうことである。
曲解でも深読みでもないつもりである。
是非未読のあなたにも確かめて欲しいなと思うのである。
活字中毒日記

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紙の本

最近の新人賞作品では白眉

2006/08/01 01:09

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:マリン - この投稿者のレビュー一覧を見る

第4回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作のこの作品。
新人賞を取った作品は大体読むようにしているけど「本当に新人の作品?」と驚いてしまった。満場一致で大賞受賞するのが理解できる。久しぶりに先が気になる本。新人とは思えないリーダビリティでした。
拡張型心筋症例の高難易度手術「バチスタ」。
天才外科医・桐生を中心としたチームはこの手術を30回連続で成功し「チーム・バチスタの奇跡」と呼ばれていた。
そんなチームが3回連続手術を失敗し、患者を術中死させてしまう。
執刀ミスなのか医療事故なのか、それとも殺人なのか。
調査を依頼されるのは、出世意欲のない万年講師の田口。
田口は不定愁訴外来の医師。
不定愁訴外来は患者の苦痛や悩みや訴えを聞いてやる所。
その性質と田口の名前から「愚痴外来」と陰で呼ばれている。
田口は持ち前の聞き取り能力を用いてチームメンバーをインタビューするが解決の糸口はつかめない。
そんなところへ調査の助っ人として厚生省から白鳥という男がやってくる。こんなストーリー。
この作品の魅力は選考委員たちが口をそろえているとおりキャラクター。主人公田口はもちろん、厚生省の役人とは思えないはちゃめちゃな白鳥。天才外科医の桐生も人間味に溢れているし、助手たちも個性的。普通こういうテーマでは悪く描かれる病院長も
こんな上司がいたらいいなあと思わせる人物。
特に白鳥はシリーズ化してほしい。それと会話には出てくるが登場しない白鳥の部下は次回作でぜひ見たい。
夢中になって読み終わり、最後に選評が載っていて
「あ、そういえば新人だった」と思い出したくらい
最近の新人賞作品では白眉。

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紙の本

キラ星のような小説界の新キャラ

2006/09/05 18:23

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

第4回(2005年)「このミステリーがすごい!」大賞受賞作「チーム・バチスタの崩壊」改題。
噂どおりおもしろかった!
米国帰りの桐生恭一は心臓外科助教授に招聘され、東城大学医学部臓器統御外科にやってきます。彼は肥大した心臓を切り取り小さく作り直す「左心室縮小形成術」通称「バチスタ手術」の第一人者。成功率60%のこの手術を100%成功させることができます。
そのチームも彼が選んだ最高のスタッフで構成。
ところが3例立て続けに失敗。心臓手術の失敗は患者の死亡を意味します。大学病院側としても、マスコミに大々的に取り上げられることの多い「チーム・バチスタ」なので、その原因を探りたい。
そこで高階病院長は、内科の、それも不定愁訴外来通称「愚痴外来」の田口公平に白羽の矢を立てます。
手術失敗の原因はたまたま連続した不運なのか、医療事故なのか、それとも悪意による行為——殺人なのか。
物語設定、人物造形ともにおもしろすぎます。医療関係のモチーフは素人にはわかりにくいのですが、「バチスタ手術」もなんとなくわかった気になるから不思議。
こうして田口の探索が始まるのですが、これが第一部「ネガ」。第二部「ポジ」になるとさらにおもしろさが加速。厚生労働省から白鳥圭輔という役人が出張ってきて、田口が暗礁に乗り上げたところをグリッとひっくり返します。
白鳥は見るからに東大卒キャリア官僚の典型ながら、その言動が常軌を逸していて、厚生労働省も手を焼いています。
田口の探索を「パッシヴ(受動的)・フェーズ調査」と呼び、自分は「アクティヴ(能動的)・フェーズ調査」をすると宣言するのですが、それはほとんど「アグレッシヴ(攻撃的)・フェーズ調査」。
チームメンバーを泣かせたり怒らせたり、暴力をふるわせたり。
でも白鳥のキャラクターは小説界の新たなキラ星。忘れられない。
しかも文章がうまい。場面転換、セリフ転換の一行空きのうまさにはハッとしました。
田口が看護師の大友直美に面接するシーン。彼女を追い詰めながらも、手術失敗の原因ではないと明らかにするこのシーンは、わずか9ページ足らずですが読ませます。
きっと海堂尊は短編もうまいはず。読んでみたい。

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紙の本

キャラクターの魅力と描き分けがすごい!

2008/02/06 06:13

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ざわ・・・ぶろぐ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 直感的印象は、読みやすい。
 考えるに、その主な要因は文章の構成。

 ひとつめは頁の数。
 364頁から成る単行本を大きく3つの部に分け、3つの部を更に小さな章に分けている。章の数は全部で21。各章の頁数は長いものでも40頁程度、ほどんどが20頁前後で、10頁に満たないものもある。

 ふたつめは書式。
 章毎に小見出しがつけられている。これは読者にやさしい配慮。細切れのエピソードは頭の中で整理しやすい。だからストーリーの筋がぶれにくい。また、ひとつひとつの段落が長くないことも読みやすさを助長している。地の文が饒舌すぎで読む気力を削がれることがなかった。会話で文がちょうどいいテンポに保たれていて、牛歩になることもなかった。


 読みやすさを語ってきたが、この『チーム・バチスタの栄光』が「このミステリーがすごい!大賞」に輝いたポイントはそこではない。ではどこかと言うとズバリ、キャラがたっていること、これに尽きる。巻末で選考委員のプロフェッショナル四氏が語っているので、簡潔に済ませよう。

 キャラクターの魅力と描き分けがすごいのだ。
 バチスタチームの7人、語り手の田口、探偵役の白鳥、病院長の高階。物語の本筋に大きく絡む、主要人物だけで10人。その他の登場人物も脇役でありながらどこか癖があり、印象に残る。モブにとどまらない。

 随所に見られる医療タームや、溌剌とした手術の描写など専門的な舞台設定も魅力なのだけれど、そのあたりの解説を含めた巻末の書評も楽しめる。


 このたび映画化されたが、どのような映像になっているのか、そちらも楽しみだ。

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紙の本

大学病院に息づく魅力的な人々

2006/03/16 21:56

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る

 東城大学病院の万年講師・田口はいきなり病院長に呼び出され、病院のエース「チーム・バチスタ」の術中死調査を依頼される。これは事故か、それとも殺人なのか?!
 『このミステリーがすごい!』大賞受賞作だが、実に完成度の高い作品。
 出世には縁がないが、心には正義の灯ともす主人公・田口には素直に好感が持てるし、食えない高崎病院長を始めとして脇役一人ひとりに至るまで味があるのだ。キャラ立ちのみに終わらず、プロットも見事である。前半・後半で聞き取りが繰り返されるのを単調と観る書評家もあるが、私は質問者により表れ出でるペルソナの変化に目をみはったので退屈は感じなかった。
 なによりすごいのが、大学病院に息づく魅力的な人々。かつては大学病院にいたことのある私から見ても大変にリアルだ(なるほど著者は現役の医師らしい!)。
 私が読書中感じた疑問は、現実に手術成功率100%ということはあり得ないのに、たとえ3例術死が続いたとしても即座に[事故か殺人か?]と調査に乗り出すものだろうか、という点。だが著者は、ここに漫画の世界から飛び出したかのようなエリート天才外科医・桐生を配することによって、読者の疑問を退けてみせる。
 あと真犯人の動機はやや抽象的に思われるかもしれないが、その世界に身をおいた者なら想像は出来る(許されることではないが)。
 ただ一つ欠点があるとすれば、田口の動物知識が不足していて比喩がやや不正確(例えば柴犬は猪狩りの猟犬にもなる犬なので、あの人のイメージにはしっくり来ない、etc.)なことが挙げられるが、たいしたキズではないだろう。名探偵役の白鳥はそれらしく癖のある憎めない困ったちゃんで、本作一作で使い捨てるには惜しいキャラ。再登場を期待したい!
p.s.白鳥の切り札でもあったアレについては柳原三佳著のノンフィクション「死因究明」が詳しい。

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脳というフィクション

2008/03/14 05:46

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:nanako17girls - この投稿者のレビュー一覧を見る

 最近のミステリー小説の中には「脳」をモチーフにしたものが多く見受けられる。その中でも代表的なのが「チーム・バチスタの栄光」なのではないのか?映画化もされ、大ヒットを飛ばしている本作には脳をめぐる奇妙なフィクショナル性が見受けられる。いや、脳そのものがテーマではない。しかし、脳外科というものに対する世間の反応が奇妙なのかもしれない。
 20世紀は戦争の時代であった。それは同時に科学の時代でもあった。科学が進歩することによって、人類も進化するものだと思っていた。それを代表するものが大阪万博の熱狂に繋がったのだろう。しかし、環境問題や超大国アメリカの衰退によって科学の力は万能ではないことが露呈されてしまった。それを象徴するのが「9・11」のテロ事件だろう。あれが新しい形の戦争であり、それは同時に信仰する宗教の問題でもあった。
 唯物論の時代は終わりを告げようとしてる。しかし、なぜか脳に対してはまだそれが有効だ。それが現実的にも解明困難なものだからであろう。おそらく、これから生き残るのは脳科学だけではないのか?それは統計学的な平均値という科学の最大の弱点を隠してくれるものだからだ。平均値というものに意味が無いのは偏差値教育を受けてきた人たちには実感できるであろう。偏差値などは大手予備校や塾の商品に過ぎないからだ。いくらいい偏差値を取ってみても社会に出ればそれはあまり関係ない。むしろ、KYなどに代表される、人格の尊厳が根本的にあるからだ。それは、ものすごくトラディショナルな価値観が若者文化に多大な影響を与えていることを意味する。
 「いい人生とは何か」という問いに対する答え探しは意味が無い。宗教論的答えが有効であるのは到底思えないが、今の脳ブームを見ると心配してしまう。むしろ身体論がマシな選択肢かもしれない。この狭い国で、のんびり生き残るためには。

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紙の本

期待以上におもしろい

2006/01/22 18:39

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブラウズ - この投稿者のレビュー一覧を見る

『このミス』大賞受賞作で、期待どおりのおもしろさ。年間を通してみても自分のベスト作品に入る作品だった。医療現場の生々しい描写にも驚いたが、心臓手術失敗の謎を追う二人の喰えないキャラクターがいい。
悲愴感漂う医療現場で、とぼけた味わいを醸し出す主人公と厚生労働省のエージェントの暴走ぶりが痛快だ。またそれを取り巻く人間描写が実にうまく描かれているし、事件の真相に最後まで引っ張られていくおもしろさ。素晴らしい作品になっている。

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紙の本

ええ、この小説があの壮大な、というか円環的なというかすべての話が繋がっている海堂ワールドの出発点になるなんて、もしかして海堂本人も思っていなかったりして。しかもです、キチンとミステリしながら人間が実によく書けている。もちろん、医学の世界も。売れるはずです、はい。

2010/03/20 18:28

4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

海堂 尊のデビュー作ですが、まだ4年しか経っていないんですねえ、海堂がデビューして。なんだか十年くらい経ったような気がするのは、着実に増えている海堂本の量と、この本だけでも既に25万部を売っているという実績(宝島社HPより)、そしてなによりバチスタ手術(学術的な正式名称「左心室縮小形成術」)という名前の認知度の高まりにあると思います。

ええ、2007年の私の『ジェネラル・ルージュの凱旋』のメモを読むとこの本、28万部売った、と本の宣伝にあると書いてあります。むむ、でも私が25万部の文字を宝島社のHPで見たのが2009年末ですよ、もしかして数値のところ、宝島社って更新してない? それって宣伝としてはマイナスだと思うんですけど、それとも私の勘違い?

それはさておき、私はこの本を読むまで、バチスタはER(Emergency Room :緊急救命室)のことだとばかり思っていましたし、そう読み替えても何となく読めてしまうところが怖いなあ、って思います。多分、多くの人はこのチームのことを、左心室縮小形成術限定のものだとは思っていないというか、気にせず読んでいる、そんな気がします。ま、私だけであればそれはそれ・・・

で、帯のことばですが

第4回『このミステリーがすごい!』大賞
2006年 大賞受賞作

医療過誤か殺人か、不定愁訴外来担当の万年講師と
厚生労働省の変人役人が患者の死の謎を追う。
現役医師だからこそ描きうる医療現場のリアリティとコミカルな展開。
最終選考委員が全員一致で即座に決定、本賞初の医学ミステリー。

となっています。なんで今頃になってこんなに有名な本を読むの? って聞かれれば、答えは一つ。読もうと思った時には騒がれすぎていて、なんで今更、と思ってしまったこと。だから私の海堂初体験は『ジェネラル・ルージュの凱旋』からで、その間に映画化されたせいで再び『チーム・バチスタの栄光』熱が盛り上がり、私は再び一歩引いて、その騒ぎが沈静化したので漸く手にすることになりました。

広く読まれた作品ですので、内容紹介はカバー折り返しの言葉をそのまま利用します。
            *
東城大学医学部付属病院は、米国の心臓専門病院から心
臓移植の権威、桐生恭一を臓器制御外科助教授として招
聘した。彼が構築した外科チームは、心臓移植の代替手術
であるバチスタ手術の専門の、通称“チーム・バチスタ”とし
て、成功率100%を誇り、その勇名を轟かせている。ところが、
3例立て続けに術中死が発生。原因不明の術中死と、メディ
アの注目を集める手術が重なる事態に危機感を抱いた病
院長・高階は、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来
責任者・田口公平に内部調査を依頼しようと動いていた。
壊滅寸前の大学病院の現状。医療現場の危機的状況。そ
してチーム・バチスタ・メンバーの相克と因縁。医療過誤か、
殺人か。遺体は何を語るのか……。
栄光のチーム・バチスタの裏側に隠されたもう一つの顔とは。
            *
です。その後の作品がどちらかというとミステリ色を薄くしながら、医学、人間ドラマとして完成度を高めていますが、さすが『このミステリーがすごい!』大賞受賞作、双方が極めて高いところで手を握った傑作となっています。いや、今は亡きロビン・クックの医学ものなんかより遥かに面白いし、医療現場の様子がよく分かる。売れて当然です。

ただし、その後の海堂本のありように決定的な影響を及ぼした赤津美和子の装画、松崎理の装幀は酷すぎます。無名の作家を売り出すのだから安価にしたい、それは分かります。でも、安価に見せる必然性はない。そういう意味で内容とのバランスが全然取れていません。もしかして松崎理は小説を読まずにデザインをした? なんて思います。社風もあるのでしょうが、その後、海堂本の多くがこのチープなデザインを受け継いでいくのです、いやはや勿体無い。しかもそれは文庫にも引き継がれ・・・

さて内容紹介ではなく登場人物をバチスタメンバーと、それ以外という二チームに分けて紹介してみましょう。

(チーム・バチスタのメンバー)
・桐生恭一:臓器制御外科助教授。米国の心臓専門病院から心臓移植の権威。42歳。

・垣谷雄次:第一助手。講師。49歳。胸部大動脈瘤バイパス手術の専門家。桐生チームの右腕。医局長。

・酒井利樹:第二助手。助手。30歳。志願してメンバーに。桐生を崇拝する。

・氷室貢一郎:麻酔医。講師。37歳。特殊麻酔における正確無比な判断。

・羽場貴之:臨床工学士。室長。53歳。チーム最年長。人工心肺のスペシャリスト。

・星野響子:看護師。24歳。チームの紅一点。二年目ながら手術機器を適切なタイミングで術者に渡す天賦の才能を持つ。

・鳴海涼:基礎病理学教室助教授。37歳。桐生の義弟。バチスタ手術で重要な術中診断を受け持つ。彼無くして、桐生の手術は成り立たないとも言われる。

(メンバー外)
・高階:東城大学医学部付属病院病院長。ゴンスケこと権太、元帝華大学第一外科教室助手で、彼の活躍は『ブラック・ペアン』で見ることが出来ます。

・田口公平:神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者。学生時代から気が弱い・・・。
 
・藤原看護師:60をちょっと過ぎた看護師で、退職予定だったが再任制度で不定愁訴外来の専任となる。外科病棟の看護師長だったこともある極めて優秀な看護師で、今も隠然たる政治力を持つ。

・兵藤勉:精神内科学教室助手。噂を流すことが楽しくてしかたのない男。

・白鳥圭輔:厚労省のはみ出し技官で、コードネームは火喰い鳥。当然、変わり者です。
 
となります。その後の話からは、メンバー外の人間のほうが重要です。特に高階、田口、藤原、白鳥の活躍は目を見張らせるものがあります。でも私としては星野響子ですね。若くても、その存在が手術の成否を左右してしまうようなセンスを持つ。実際の手術を担当するのではなく、補助だからできることなのでしょうが、でもいるんです、こういう神様に愛された人が必ず。

そういう意味では鳴海涼の存在も見逃せません。そして言えるのは、今の時代、物事の成否を決定付けるのはチームワークなんだよな、っていうことです。この話が、その後の海堂ワールド出発点となるわけですが、彼もまた星野のように神様に愛された人ではないか、って私は思います。最後に目次紹介。

第一部   ネガ            ゆりかご
第二部   ポジ            白い道
第三部   ホログラフ         幻想の城
    終章 さくら
  第四回『このミステリーがすごい!』大賞 選評

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紙の本

医療現場ミステリー最先端をゆく!

2006/03/28 11:20

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かったん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 不定愁訴外来(愚痴外来)の万年講師の田口医師とバチスタ手術のホープであり貴公子の桐生医師との医師としての正反対な人物像の比較と、奇妙な厚生労働省の役人である白鳥の登場は、この小説はコメディだったかしら・・・と思わせる内容です。
 しかし、一方で大学病院における権力闘争の喜劇も交えた内容に、リアリティを感じてもしまいます。
 この小説は、ストーリー展開がミステリーでありながら、現代医学の課題も提示しているという面白さもあります。
 日本における臓器移植を巡る今後の方向性をも指摘している小説だとも・・・。

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紙の本

新たな名コンビの誕生

2006/12/11 11:55

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:コーチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ホームズとワトソン、ポワロとヘイスティングス、明智小五郎と小林少年...天才探偵と、さほど頭の回転は速くないが有能な助手との二人三脚が定番のミステリー界に、新たな名コンビが生まれたようである。厚生労働省の役人白鳥圭輔と、窓際医師の田口公平だ。
 事件は、心臓外科手術の中でも特に困難を極めるバチスタ手術の現場で起きた。アメリカ帰りの天才外科医、桐生恭一が執刀をおこなったバチスタ手術がほぼ連続して3例失敗したのである。それまで100パーセントの成功率を誇った彼のチームが短い期間に集中して術死を経験したのはなぜか?手術の性質上、ある程度の術死はやむをえないことから、院内に調査委員会を召集するほどの重大性は認められなかった。そこで調査のための調査と称する任務のために呼ばれたのが、田口であった。彼が担当する科は不定愁訴外来・・患者の愚痴を聞くためだけに存在する診察室!こんな科が本当に存在するのかどうか眉唾ものだが、院内の権力争いや出世と無関係の世界の住人であった彼は、独自の調査を始める。そして4例目の術死をかいま見、それが偶然の連続ではないことを確信した直後、白鳥に遭遇する。そして調査はこの謎のお役人の指揮にゆだねられる...。
 概して楽しめる作品であった。高度に専門的な医学用語が、ふんだんに盛り込まれているものの、ストーリーを追う邪魔にはならない。テンポもよいし、構成もよくできている。結末そのものはさして意外ではないが、紆余曲折して最後までオチがわからない点は、なかなかの出来である。ただ、ミステリーにおいてはお約束ともいえる名探偵による種明かしもなく(白鳥は事件が片付くとさっさと姿を隠す)、事件の全容は結局最後まで明らかにされない(術死のどこまでが事故で、どこまでが犯罪か...)など、すっきりしない点があったのは残念だった。白鳥と田口の2人が基本的に似た性格や境遇(組織のアウトサイダー)であるというのも、登場人物のコントラストを失わせ、名コンビのインパクトを弱めている。さらに言わせてもらえば、全体的に文章が理屈っぽいのも気にかかるし、特に白鳥の能弁さはこの種のヒーローのイメージにはマイナスであろう。パッシブ・フェーズ、アクティブ・フェーズなどの術語も、聞き込み、突っ込みといえば済むのに...などと思ってしまうのは私だけだろうか?
 このように、いろいろ突っつけばあらが見えてくる本作品を、第一級のミステリ作品と呼ぶのにには躊躇するものの、現役の外科医で、しかも処女作である本作で「このミステリがすごい」大賞を受賞した新鋭のミステリー作家、海堂尊の登場には心から拍手を送りたいし、今後もすばらしい作品を世に送り出してほしいと願ってやまない。

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紙の本

手術の失敗にみせかけた殺人行為

2009/10/14 22:25

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る

チーム・バチスタの栄光 海堂尊(かいどうたける) 宝島社

 バチスタというのは心臓手術のことを指し、チームとは、その手術を行う医師たちと麻酔医、臨床工学士なる人、そして、看護師のグループを指します。
 非常に狭い世界のお話です。医学用語は読んでいてもわかりません。舞台は東城大学病院で、バチスタ手術を失敗した患者さんが、実は、チームの誰かに殺害されているのではないかというところから物語が始まります。
 その件を調査するのが、不定愁訴(ふていしゅうそ)外来を担当している田口医師、41歳ぐらいでしょうか、になるのです。彼の助っ人が厚生労働省の厄介者の職員という設定で、白鳥くんになります。
 不定愁訴というのは、検査をしても異常がないけれど、患者が不調を訴えるというような病名だったと思います。この物語全体が不定愁訴に包まれています。どこかしらおかしいのだけれど、グループの中の誰かが、患者を殺害しているのだけれど、証拠が見つかりません。
 わたし自身は血を見る手術には拒否感があり、病院の雰囲気も苦手で、ちょっと読むのに抵抗がありました。本をだいぶ前に買ったものの、家族が先に読んでいたので、今週になってようやく読めました。以前、家族がこの本の続編らしい「ジェネラル・ルージュの凱旋」試写会を見てきてよかったと言っていました。わたしは、本は読みますが映像は見ません。自分のイメージを壊されたくないからです。ところで、チーム・バチスタの花形医師が、桐生恭一(きりゅう)氏になります。
 100ページ、氷室麻酔医の話には真実味があります。それは、病院組織のなかだけではなくて、いずこの組織においてもある危うさです。無理・無駄・ムラをなくすために日本の組織は人員を削減しすぎているとか、十分な期間をかけて人材を育成するゆとりがなくなっています。そんなことから、他者のことはどうでもいいとなり、誰しも自分のことしか考えないようになっています。
 セリフが物語を引っ張る進め方の物語構成です。わがまま勝手な振る舞いをするのだけれど筋は通っている。そんな白鳥くんのような人物は現実社会にもいます。能力があっても、大半の人たちから嫌われるタイプです。水準が高い位置での「落ちこぼれ」です。
 描かれていることの一部は、引き出しの図を想像しました。たくさんの引き出しがある大きなケースがあります。ちいさな引き出しの中では大事件が発生しています。しかし、他の引き出しにいる人間たちは、当該事件勃発で困っている引き出しの人間を助けようとはしません。大変なことはわかっている。だけど、自力で解決してくれと言っています。全体の引き出しの人間たちで協力して助け合うなんてことはないのです。
 白鳥くんは、国の某部署の検査官のようだ。人を見たら泥棒と思え。心理学の手法による能動態と受動態の描写でしょうか。犯人の殺意の動機は何だろう。東城大学病院は自分自身の力で膿を出し切るしかありません。理論に溺れないでほしい。人間は感情の動物です。
 最後は、「人」なのかなあと感じました。肩書きと人格の高潔さは一致しません。人間を信じることはむずかしい。犯人に言いたいのは、そんな理由で人間を殺してほしくないし、殺人行為はどんな理由でも容認されない。
 第三部「ホログラフ」、現実にはそんなふうにはならない。闇で犯人を切って終わります。当該人物に容疑者とか犯人とかいう名称がつく前に処理します。最後の部分はくどかった。栄光には影があるものです。

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