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沖縄「戦後」ゼロ年 (生活人新書)
著者 目取真 俊 (著)
戦後日本の「平和」は戦争では本土の捨て石に、その後は米軍基地の要石にされた沖縄の犠牲があってのもの。この差別の現実を変えない限り沖縄の戦後はゼロのまま。家族らの戦争体験を...
沖縄「戦後」ゼロ年 (生活人新書)
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商品説明
戦後日本の「平和」は戦争では本土の捨て石に、その後は米軍基地の要石にされた沖縄の犠牲があってのもの。この差別の現実を変えない限り沖縄の戦後はゼロのまま。家族らの戦争体験をたどり米軍による占領の歴史を見つめ直す。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
目取真 俊
- 略歴
- 〈目取真俊〉1960年沖縄県生まれ。琉球大学法文学部国文科卒業。「水滴」で芥川賞、九州芸術祭文学賞、「魂込め(まぶいぐみ)」で木山捷平賞、川端康成賞を受賞。評論に「沖縄/草の声・根の意志」他。
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全ての「日本人」は読め!
2005/10/10 10:03
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:24wacky - この投稿者のレビュー一覧を見る
来沖する以前の東京時代、私は環境運動などを主に社会運動の活動に熱中していた。ヒトとモノが溢れかえるその場所で、さらに時代はインターネットによる情報のやり取りを必須化させる。その中には国家に管理・操作されていない真に必要な情報があり、パソコンに向かいながら正気を保ちつつ、物事をグローバルに考える修練を積む、という利点があったのは事実だろう。
だが、そこでも「沖縄」は抜け落ちていた。
私は直観した、グローバルな問題、アメリカ〜中国〜日本〜沖縄〜etc の坩堝、それが沖縄である。そしてまた、東京生活という「繁栄」の裏面の沖縄問題、それに向かわずして何の解決があろうかと。
〜「戦後六十年」があたかも憲法九条があったが故に戦争を免れ、 日本が平和を保てた六十年であった、とまとめられてしまうこと の問題があります。憲法九条をターゲットとして改憲の動きが強 まっていることに対して、憲法九条の意義や大切さを強調するた めに、この六十年を「平和」な時代であった、と護憲派が強調し たりする。
〜「戦後」日本の経済成長によって生活が向上し、それが多くの
日本人に「平和」を実感させたと思いますが、その足下に踏みつ
けられていたのは何だったのか。そのことを忘れて、あるいは意
識的に無視して「平和」な時代としての「戦後六十年」を語るこ
とは欺瞞に満ちています。「平和憲法」と「日米安保条約」を共
存させ、在日米軍の存在によって「国防」予算を抑え、経済成長
を優先させる。そのような戦後日本のあり方は、沖縄に在日米軍
基地(専用施設)の七五パーセントを集中させること、つまり日
米安保体制の負担と矛盾を沖縄に押しつけることによって可能と
なったのです。(13〜14ページ)
この沖縄の常識が相変わらず日本の常識とならないのは、「日本人」の無関心による。「日本人」が無関心なのは、国家による教育も含めた情報管理が第一要因だろう。真の情報を隠すことと別の情報を意図的に流すこと。これによって平和運動などに携わる「意識のある」人たちでさえ沖縄を足下に踏みつけていることに気づかない。知らないからといって済まされないこともあるのだ。
「青い海青い空」の観光消費イメージ、「ちゅらさん」「ナビーの恋」に代表される暖かくおおらか(テーゲー?)という紋切り型の人物造形によって捏造される「癒しの島」。この垂れ流しによってさらに真に「そこにあること」は隠蔽される。
ヤマトンチューが沖縄を消費していることに対して沖縄から批判の声が上がっている。勝手なイメージを作り上げブームに乗って移住してきて好きなところだけつまみ食い、基地問題など暗い現実には見向きもしない身勝手さにいい加減にしろ、といっている。
自分達が、沖縄大好き、沖縄ファンで、沖縄びいきで、積極的
に沖縄に親しもうとしていることを肯定的にだけ見るのではなく
して、それが一種の暴力性を持っているのだということを反省し
ていかなければ、軋轢は解消しないですよ。基本的に、お互い立
っているスタンスが違うんだ、ということをですね。その違いは
簡単に融和したり、乗り越えたりできないはずなんです。
(171ページ)
私がここ沖縄で日常生活に使う「標準語」は明らかに暴力装置として働いている。communication が discommunication を絶えず誘発しているという事実。そしてまた、仮に私が「ウチナーグチ講座」にでも通って、「ウチナーグチ」を完璧にマスターしたとして、それだけで私は認められるなどと期待してはいけない。「簡単に融和したり、乗り越えたりできない」のだから。その二律背反の中で、尚ここに立つことの理論と実践。それがこの書に対する答えとして「あえて」これから続けていくよすがである。
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「沖縄」に気づいてこそ,初めて「平和」が語れる
2005/09/23 03:01
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
先週、「憲法を変えて戦争へ行こうという世の中にしないための18人の発言」に対する書評で、私は次のように書きました。
「これ(注:憲法第9条)があったおかげで日本は第二次世界大戦後60年間、他国の人を殺すことはありませんでした。日本が他国に軍隊でもって強権的な態度に出ることはありませんでした。」
しかし、認識に少し誤りがあったようです。
第二次世界大戦後、日本の軍隊(自衛隊)は、確かに直接は人を殺していません。しかし、アメリカの始めたイラクへの侵略戦争にはすでに自衛隊を“出兵”しています。さらには、朝鮮戦争・ベトナム戦争など第二次世界大戦後の戦争にはことごとく、日本の、沖縄の米軍基地からアメリカ軍が出撃し、多くの人を殺傷しています。
日本が戦争に限りなく近い国になってきていることに、日常的に気付いていないだけだったのです。
しかし、日本の中でも、常に戦争と隣り合わせで暮らさざるを得ない人がいます。戦争に気付かないふりさえさせてもらえないような、人がいます。本書で著者が訴える「沖縄」です。
日本がかつて犯した誤った戦争による、日本という国が背負わなければならない後遺症を、すべて背負わされてしまっているのが「沖縄」です。日本の戦後復興や経済成長という表の側面は、すべて「沖縄」への過度の負担という裏の側面があってこそなりたっていたのです。表の側面を明るく活発にしようとすればするほど、裏の側面には一層大きな負担がのしかかってきていたのです。
日米安保に依存し、それ以上の思考を停止させている能天気派にはもちろんのこと、現在の憲法に安住し現状維持を唱えてきた人々に対しても、きついイッパツをあびせかける強烈な書です。
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読みやすい文章だが、内容は濃い
2019/05/30 21:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
目取真俊の豊穣で密度の濃い小説と較べると、分かりやすく読みやすい文章になっている。目取真俊の違う面が見えた気がした。読みやすい文章だが、内容は濃い。目取真俊の思いが伝わってくる。