紙の本
印刷所の音・においまで感じさせる、職人芸への賛歌
2003/08/09 21:39
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投稿者:てんとう虫号 - この投稿者のレビュー一覧を見る
印刷に恋した著者が印刷に恋している職人さんたちを訪ね歩く探検記。丹念に書き込まれたイラストもあいまって、印刷所の音やにおいまで閉じ込めてしまったようなルポだ。
私たちが日々手にする印刷物の工程には、さまざまな職人さんがいて、技を追求している。「若い頃はね、きれいな女の人を見なさいって言われましたヨ」「夕焼け見ても、ああ、こんな色はだせないなあって思っちゃって」。こんな素晴らしい職人気質も、誰でもどこでもそこそこのプリントができてしまう昨今では、失われていってしまうのかと思うと切ない。読者まで印刷に恋させられてしまう本だ。これを読んだ後は、本や広告だけでなく、世界を見る眼がちょっと変わってしまう。
紙の本
印刷のことが色々わかる一冊
2002/07/27 22:25
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投稿者:ビンゴ - この投稿者のレビュー一覧を見る
普段、あまり馴染みのない印刷について書かれた一冊。実際、作者が現場に足を運んだルポのような内容なので、マニアックな部分もあるけれど、現場だから分かる裏話のようなものも収録されていて面白かった。あと、イラストがついているので楽しく読めました。本がどうやって生まれるのか知りたい人にもお勧め。
紙の本
活字狂、活字中毒を自称する人は手に取ってほしい!
2002/03/04 15:42
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投稿者:たけたけっ - この投稿者のレビュー一覧を見る
100円均一の本屋があちこちにでき、手軽に安価で本を手にすることができる昨今。すばり、活字が「消費」されていると言ってもいいほどだ。印刷されていることが当たり前。かすれているとは何ごとだと。一冊の本をある作家が書き上げる。校正に校正を重ね、赤があちこちに入る。それから、印刷に入る。印刷されなければ、誰のもとへも届かない。本屋にも並ばない。
「印刷に恋して」は、さすが活字好きな筑摩書房の松田さんだけあって、活字に対する気持ちが伝わってくる一冊だ。
活版印刷では、実際に現場へ印刷したい原稿を書いて向かい、活字を拾い、活版印刷を肌で味わっている。続いて手動写植。オフセット、グラビア。現場で見るだけでなく、触ってみる。ここが「印刷に恋して」の読みどころだ。内澤旬子さんの機械の細かい、説明ぎっしりのイラストも、読みどころ、眺めどころのひとつ。実物を触るかのようだ。想像が沸く。
自分の読んでいる活字がこうして出来ているんだ。このことは是非、「私、読書大好き」「俺、活字中毒なのよ」という人に読んでほしい。そして、この先活字が行く先のことも。ひとつのものが完成するまでには、どこかに「技」が隠れている。このことがわかってもらえる1冊なのではないだろうか。
紙の本
実は誰も知らなかった
2002/03/25 12:30
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投稿者:大島なえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
日頃、出版の仕事をしている編集者でも印刷の詳しいシステムは意外に余知らない。それも活版印刷の機械がどんなものかなんて興味はあるが見ることが出来るのは、ほんの一部の人だけ。
本書は一枚の手書き原稿が、どうやって活字になり印刷されるかをイラストつきで教えてくれる。いつか自分の書いた原稿が印刷されるある日を楽しく予想させてくれる。そんな思いを持つ人には必携の書。
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90年代に劇的に変わった印刷業界。版下作業からDTPへの移行へ…私はほんの数時期版下作業を経験した世代なのですがやっぱり原点っていいですね。本当に印刷に恋しちゃいます。
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学ぶことの多い本だ。順番は逆になるが著者による「本に恋して」を先に読んでいる。なので、少々読んでいて気持ちはずれるのだが、技術に関する愛情についてはこちらの方が上である。印刷はすごいのだ。
興味深いのはこの本が書かれたタイミングがまさに時代が変わろうとしているところで、この本の後、印刷については恐ろしい速度でデジタルに動いていった。その間の事情を伝えてくれる希有な本である。
「本に恋して」が割と今の話に終始しているのだが、こちらはそうはいかない。印刷は今もどんどん変化しているけれど、過去を見ても突然の大きな技術革新の連続なのだ。その中で見れば、最近の変化についての話だ。
とはいえ、ここから学べることは多い。物作りの考え方、技術との兼ね合い、そうした事象の現場に立ち会った人々の話がこの本には満載されている。他の分野であろうとこれは参考になる。いい本だと思う。精進したいと思う。いい本だ。
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工場見学してもいまいちよく分からなかったけど、これは分かりやすい。印刷ってすごい! 技術革新の連続だ。妹尾河童っぽいイラスト図解も素敵。
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本が好きなので、活字や製本にも興味を持っている。
でも、これまで読んだ解説は、辞書的な説明のもので、たしかに要を得て簡潔なのだろうが、ちっとも頭に入らなかった。
本書は、印刷(活版印刷、オフセット、電算写植などなど)の工場、現場で技術者や職人さんの話から、それがどんな技なのかを解説している。
その点で、非常に読みやすく、格段に理解しやすかった。
個人的には図版がある本は、視線の動きの方向を撹乱させられる。
邪魔臭くてキライなのだが、本書の内澤さんのイラストは、理解の助けになった。
著者の松田哲夫さんは、長年筑摩書房の編集者として活躍した人。
そんな「ベテラン編集者」でも、印刷の現場については、知らないこと、分からないことがあるということにも、新鮮な驚きを感じた。
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印刷所に見学に行きたくなる。
紙やインキの匂い、機械の音、立ち働く人の雰囲気、モノが出来ていく工程。
これが書かれた時点とは、また大きく変わっているのだろうな。現時点ではどうなっているのか、また書いてもらいたい。
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おもしろかった。そして現場の様子はもこの本が書かれた頃から、さらに変化している。新しい技術と旧い技術の狭間で、愛着とメリット、デメリットをないまぜに一番いい方法を選び取る。それってけっこう刺激的なことだ。何かが失われるということは、より良いものが出てきたと手放しで喜ぶものもあれば、あくまで選択肢が増えたに過ぎないこともある。メディアづくりの現場は10年後、また大きく変わっているのだろうなぁ。
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DTP以前の印刷業界がざっとわかる本。
仕事で使うCTP、PS版についてはかろうじて理解できた程度。
電子ブックについても後半、少し触れられている。
活版好きにはおススメの本ではある。
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本作りのことがわかってよいが、如何せん2000年くらいのフィルムからDTPへの移行期の話で、今役立つないようではない。
ただ、ここら辺の話をできるベテランは退職している会社が多いし、知っておいて損はない。懐かしみたい人にはうってつけかも。
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2010/6/22 予約 6/29 借りる。7/11〜12 一気に読み終わる。
印刷の仕組みって知らないことだらけ。その一端がこの本でわかった。
インタビューや体験、心のこもったイラストレーション。 いい本です。
この本の取材と執筆がされた1996年〜2001年の間でも、印刷業界、技術の変化は大きいが、
2010年の現在は、それからどれだけ変わったことか。
本書の最後に電子ブックについても述べられている。
先日発売された iPadと合わせて いろんなことを考えます。
☆ pasoboのバインダー(本棚)の星のつけ方を変えました。(ほとんど活用していないので)
単純に 「いいなぁ、他の人にも読んで欲しい」と思ったら、五つ星にしました。
内容 :
活字から写植、DTP、電子本へ−。印刷と出版は、どこへ行こうとしているのか?
名編集者が、活版、手動写植、オフセット、グラビアなど、印刷の現場をルポルタージュ。
『季刊 本とコンピュータ』連載。
著者 : 松田 哲夫
1947年東京生まれ。編集者。筑摩書房専務取締役。
編集者として「ちくま文学の森」、赤瀬川原平「老人力」などヒット作を手がける。
著書に「編集狂時代」など。
イラストレーション : 内澤 (中沢)洵子
八ケ岳山麓で、自分で造ったログハウスに暮らし、アウトドアの旅を続ける作家。著書に「東方見便録」「犬連れバックパッカー」「シェルパ斉藤のワンバーナー簡単クッキング」「アジア路地裏紀行他」など多数。
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本が生まれる。印刷所で作られる。内澤さんのイラストの「細かさ」に目をしばしばさせながら、ひょっとしたらもう失われているのかもしれない「印刷」の初めから終わりまでを堪能できる。
これを「本」にしようとした松田さんは「ねっ、この本いいでしょ。本当にありがとう。」って編集者が、印刷屋さんにお礼をいいに行きたくなる「時代」にオマージュを捧げたかったんじゃないかって思った。内澤さんも「いい仕事」しているしね。
BookCoverChallengeで書いたのをブログに載せました。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202005140000/
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「文字」から「書体」ではなく「印刷」の方へ行ってみた。
面白いんだけど、マニアック!ひー!それにアタクシ、機械にゃめっぽう弱いもんで、イラストだけじゃ辛いなあ…写真満載の「図説」とかないかなあ。
更に活字組版=活版って理解してたのに、「活版組版」なる単語が頻出したりすると「??」。
ま、活字組版→手動写植→電算写植→DTPの流れは辛うじて分かったところで良しとしたい。