紙の本
システムの生む偽りのリアリティーが私達を欺き幸福から隔離する。
2001/02/13 06:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:白石 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、ワールドワイドなベストセラー『日本/権力構造の謎』を書いたジャーナリスト。
前作同様、本書においても、官僚組織と経済団体、業界団体から農協、警察、マスコミ、暴力団まで含めた<システム>によって生み出され、私達の心を覆っている「偽りのリアリティー」を剥がしていくのだが、前作よりもよりダイレクトに「市民(シチズン)」の意識に目覚め、行動せよと呼びかけてくる。
投稿元:
レビューを見る
すべての謎が解けたと言ってもいい。今までおかしいぞ、と感じてきていることの謎がやっと解けたような気がしてうれしかった。まあ、これを読んだからといって何もかもうまく行くわけではない。これから何をしていくかが問題となる。今まで日本人はずっとだまされてきている、だましているのは東大卒の官僚どもだ。こいつらのやりたい放題で、一般庶民が割りを食いつづけている。例えて言うなら、江戸幕府と農民、決して忍者武芸長は昔の話ではないのだ。今はその搾取のしかたがより巧妙になってきているというだけの話。もう日本には未来がないようにさえ思われる。読みつづけながらも、ああ、あのときのあれもそうだった、今のこの状態もそうなのか、などと考えつつだったので結構読み終えるのに時間がかかった。もう遅すぎるのか?
投稿元:
レビューを見る
普通に生活して「当たり前」だと思っていた事も、外国の方からの視線で見ると理不尽な事だらけなんですね。
あらためて目が覚める思いです。
投稿元:
レビューを見る
生まれてから何の疑問も抱かずにただ日本の制度に慣れきっている私は、この本を読んで日本という国の特異性を始めて知りました。
長年日本に住んでいる外国人によって書かれた、切れ味鋭く核心をついた官僚国家日本を批判する良書。
私たち日本人は生まれてから死ぬまで「日本」を支えて生きているのか、いやむしろ「日本」に搾取され続けて生きているのか。社会人の方も、学生の方も一読の価値あり。
投稿元:
レビューを見る
日本という国 それを外国、外の識者が分析した本。
官僚に偽りの現実を見せられ、本来政治を動かすはずの「市民」が縛られている。
報道も、政治かもそれを打倒出来ない。いや、するつもりもない。
古くからのシステムは革新を嫌う。長い間権力を握り硬直した官僚システムを続ける事は不幸を呼ぶ。
いまさら市民が官僚システムを変える程の外圧になりえるのかは疑問。
所詮、マスコミしだいで世論は変わる。ネット、テレビ・・情報化社会。
偽りの現実が華々しくあれば人は信じてしまうもの。
不満が溜まり、爆発する日はいつになるだろうか。
その日が訪れて初めて日本は変われるのだろう。
key word 説明責任(アカウンタビリティ) 人を動かす立場にある人は果たすべきだ。官僚、政治家、大学教授、上司。
投稿元:
レビューを見る
「日本では、制度と思想、またはマスコミを通して、組織的に偽りの情報が流されている」
「日本は官僚独裁主義国」
投稿元:
レビューを見る
日本の社会は知るものと知らざるものに分けられている。社会のヒエラルキーの上位と下位を分断しているものは単に知識の量である。知識の少ない個人は、社会的に上位にある者から、より簡単にコントロールされやすい。
権力の上位にいる人間は自分のその既得権益を守ろうとする。だから官僚は自分達に都合のよい法案を通そうとするし、権力者はメディアを使って自分達に都合のよい情報を流す。そうやって生み出されるのが「偽りのリアリティ」である。偽りのリアリティは大多数の人にはもっともらしく見えるが、実際には真実をとらえていない。
また、日本の国家権力の中枢は官僚であり、日本は官僚独裁主義と言っていい。
さらに、日本の政治機構は、アカウンタビリティという概念が欠如している。実際に私達は、中枢権力たる官僚が、どのような意図でどのような仕事をしたのかがほとんど知らされることがない。
これらのことからら日本の民主主義はまだ実現していないことになる。日本で民主主義はその可能性にとどまっている。
日本の市場は、強く政治化されているという点において、資本主義もまた完全に行なわれているとは言い難い。企業は儲けよりも市場占有率を占めるための、系列化により一部の大企業はつぶれないようになっている。
投稿元:
レビューを見る
日本国民必読の書ですよ。日本社会というものがいかに管理されたものであるか、日本国民はいかにして日本的価値観に洗脳されてきたのか、考えてみると恐ろしいことです。
これを入門書としつつ、ウォルフレン氏の本は他にも読んでみたいものがたくさんあります。脱洗脳しなくては。
投稿元:
レビューを見る
94年の毎日新聞社刊行の同著の「決定版」として新潮社OH文庫より刊行。しかし、出版社が新潮社というのは何かの諧謔か?
投稿元:
レビューを見る
総理大臣がコロコロ変わっても、自民党から民主党への政権交代が起きても、一般市民の日常生活には全く影響がないのはなぜなのだろうか。そしてそのことを我々自身がさして疑問に思わないことはなぜなのだろうか。その答えはこの本に余すことなく書いてある。
自分たちがいきているこの世界で何が起きているのかを知ることこそ、他者からの支配を免れる最大の武器になるのだ。
投稿元:
レビューを見る
途中までは単なる官僚批判のものかと思っていたが、官僚自身は自分たちの行動についてそれが国益に繋がると思っている、と述べられていてそういった類のものではないのかなというのが印象。
・日本は社会が政治化している
・官僚に説明責任がない
などの理由から、日本人には市民として行動してもそれに対する相手が存在していない。
しかし結局日本人は市民として行動しないといけない、と思った。そしてそれには、まだまだ知識が必要だと思った。
投稿元:
レビューを見る
…こんなに過激な邦題にしなくてもよかったのでは?というのはさておき、「偽りのリアリティ」でsugarcoatされた日本という国の仕組みを丁寧に暴いている。日本を好きでいたい気持ちは変わらず。今の日本国民に本当に必要なのは、精神安定剤代わりの無知で盲目的な「愛国心」や「日本ってこんなにすごい国!」を示す心温まる個々のエピソードではなく、この国の実態をできるだけ正確に把握し、行動を起こす勇気だと本書を読んで考えた。
…しかし、17年前に既に正に今起こっている官僚の小沢氏への総攻撃を予測していたのには驚いた。
投稿元:
レビューを見る
日本人のしょうがない症候群の指摘については、今もなお有効。
しかし批判対象を官僚にした理由の裏付けが薄い感じがした。批判対象は変わっても結局批判意識の連鎖は断ち切れない気がした。
投稿元:
レビューを見る
在日歴が40年以上を超える著者が日本社会の裏側に鋭くメスを入れる。普段生活しているだけでは、意識する事のない日本の権力構造と企業の癒着の構図、そして日本の中での市民社会の不在等について論じられている。読んでみて、あまりにも自分が意識している「日本」とかけ離れていたので途中から「ホントかよ」と思う事も多かったが、それは自分の知識のなさに起因しているのかもしれない。もう一度読んだらより良く理解できそう。
投稿元:
レビューを見る
良質な日本人論。日本で生まれ育つと見えにくい点をオランダ人の著者が鋭く突っ込んでいます。官僚独裁主義が日本の問題点であるとしてきします。バブル経済の原因も官僚主義によるものと考えています。日本の中流階級は政治的にまったく機能しておらず日本人独特の「しかたない」とすぐにあきらめる態度が問題を解決しない惰性の道をつくりだす原因になっていると看破しています。また部落開放同盟の脅しの問題など、勇気のない日本人には書けない内容まで書いています。外国人の著者から日本人は自国を愛し、勇気を持って問題解決にあたれろ暖かい励ましをもらいました。20年前の本だけどよい本です。