紙の本
イマジネーションをかき立てられる一冊
2004/01/13 15:13
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pon-michael - この投稿者のレビュー一覧を見る
一人の男が家に帰ると、妻がリスと一緒にベッドに入っている。床に落ちた妻の服の上には木の実がいっぱい落ちている。/つらい一日を終えて家に帰り、バスルームに入ると、浴槽がカブで一杯になっている。暗澹たる思いでキッチンに向かうと、今度はキリンがエプロンを着てレンジの前に立っていて…。/一人の男がレンタルで熊を二頭借りる。「あんたたちどっちでもいいから俺とセックスしないかね」と熊に持ちかける男。持参した輪で遊ぶのを止めて、互いをちらっと見やる熊たち…。
この本の中では、動物たちもまた何ともユーモラスで重要な役割を占める。悪夢であればあるほど、その存在は滑稽であり、時に吹き出してしまうほどの可笑しさがある。
本書を読み終えた後、偶然にもアメリカ人の友人からPotter社から出版されている英語版「A Man Jumps Out of an Air-plane」を借りることとなった。その裏表紙にはこう書かれている。
「バリー・ユアグローは、ディビッド・リンチのシュールな日常とモーリス・センダックの月夜との間の何処かに横たわる、未知の世界を持つ作家」。
読まなきゃ損!の楽しい一冊である。
紙の本
悪夢のカタログ
2002/07/07 10:51
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あおい - この投稿者のレビュー一覧を見る
超短篇179本を収録した傑作集。
「賭けをした男が牛の体内にもぐり込む。もぐり込んでみて、結局そこに居座ることにする」(牛乳)
「二人の娘が大きな水槽に閉じこめられている。鍵を開けてやりたいと思うが、どこをどうしたらいいのかわからない」(水族館)
「私の父が魔法の絨毯に乗ってやってくる」(魔法の絨毯)
など、冒頭を読むだけでわくわくするが、これらがすべて文庫本で一〜二頁の分量の掌編として描かれているのである。作者はパフォーマンス・アートで名を挙げた人物なんだそうで、なるほど即興性に溢れたストーリーテリングは、とても透明な音楽を感じさせ、とても短い物語であるにもかかわらず、読後感はしっかりしていて、一気に通読するよりも、年代物の洋酒のように、一篇づつゆっくり楽しみたい気分にさせる。
紙の本
ストーリーよりもムードを楽しむ本
2003/06/16 12:02
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作含む前半は、一瞬の場面のみ描写する超短編がつづき、いささか退屈してしまった。夢のように、まさにヤマなし、オチなし、イミなしなのである。しかし、これが「自らの夢を題材にしない」ポリシーで書かれたことは、驚嘆に値する。なぜなら、或る精神疾患や、健常人でも夢の中に特徴的な妄想着想がこれでもかと描かれているからだ。
後半の「父の頭をかぶって」は、親と自分に焦点を絞った奇怪な物語が多く、そこそこ楽しめた。
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夢のコレクション。俺がmixiでやっているような夢日記のコレクション。ただそれだけなので、退屈。ちなみにユアグローは自分の夢をネタに書くことはないらしいので、これらは創作みたい。で、一旦挫折中。友達が「トイレに置くといい」と言っていたので、そうしようかと。
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借りました。一つ一つが半ページから2ページくらいの短いお話が詰まってます。短すぎて読みずらい(苦笑)。シュールというかブラックジョークというか。実際に見た夢を書いているのではないところが感心もするし疲れもする。中には優しいお話もいくつかあって、それだけ読みたい感じ(笑)
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放置プレイ型奇想小説その1。牛乳を飲むために牛の体内に潜ったり、飛行機から飛び降りたら犬の骨が落ちてきたり。記憶で書いているのでもしかしたら間違ってるかもだけど、でもきっとそんなに間違ってない。
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トイレに置くと最高のトイレタイムを過ごせます。すいません下品で。しかしトイレで本を読むのはほんとうに楽しいんだ。こんな発想があるんだ!と目から鱗、なんだか新しいインスピレーションが沸いてきそうな気がする素敵な悪夢がいっぱい。あんな短い行数でここまできちんとストーリーを展開できるのは相当実力がなくちゃ出来ないと思う。間違いなく真似が出来ません。ただぶっ通しで読み続けると頭がくらくらし始めるのでやはり大人しくトイレにおいておいたほうがいいのかもしれない。
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夢の話、超短編集。一日一話ずつ読んでも5ヶ月以上もつお得さ。けれども、本当に夢見に影響しそうな悪夢っぽさがこわくて一気に読みました。寝る前の読書にするには勇気が足りなかった。
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内容(「BOOK」データベースより)
一人の男が飛行機から飛び降りる。涙を流しながら、靴箱いっぱいのラブレターを空中に投げ捨て…・魚を先祖に持つ女の逸話・世界で最後の煙草を持った男が、ブロンド女からマッチを手に入れようと苦労した物語・サルタンのハーレムを警備していた私が、テントの中を覗き込んで見たものとは…などなど、あなたが昨夜見たかもしれない、リアルでたのしい悪夢、149本の超短編。
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理解しようと思ってはならない。筋を求めてはならない。常に夢には意味がなく、なにも掲示してはくれないのだから、そういう気持ちで読むべき。
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シュールで面白い短編集。「一人の男が飛行機から飛び降りる」はその中のほんの1編なので、タイトルにだけ期待すると裏切られた気分になると思う。物語が個性的なので好き嫌いが別れると思うけれど、あっさりと読めたしわたしは好きな本だ。
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テンポよく繰り出される非日常の世界観に、頭の中はぐるぐる。牛の体の中に入ったり、父親の頭をかぶったり、キスした娘は.....だったり!
きっとこの本の正しい読み方は、一日一編か二編ずつ読んでながーく楽しむくらいが丁度良いのでしょうが…。本読みの悲しい性!二日で読んだら、未だに後遺症でぐるぐるです。おかげで昨日は、変な夢を見た。
(知らない人の家で、父親と息子がいる。父親が私に「息子がゲームばかりして困る」と相談をもちかけてくる。息子16歳。「16歳ならそんなものですよ」と私は息子を弁護。息子が「ドラゴン●ールは好きか?」と尋ねてくる。答えに窮している間に、バスに乗り遅れる。が、後にバスに乗り遅れたのは夢だったと気付く。夢の中の夢……なんだこりゃ!)
好きだったのは「牛乳」「苺」「ピクニック」。共通しているのは、そこはかとない不安と悲しさ。忘れがたい余韻が残るのが、好きです。
一日一編か二編を読んでいる分には、一人でくすくす笑える感じ。
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短編小説だから、寝る前にひとつずつ読んでいこう。
などと思った私が、浅はかで、とんでもなく愚かでした。
悪夢のような、説明出来ないようなストーリー展開が、数ページで急に終わってしまうのは、怖くて仕方がなかった。
ホラーでもないのに、怖い。
寝る前にも読めず。移動中にも、お話自体の繋がりがなさすぎて読めず。
結局、部屋において、気が向いた時に読み進めました。
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シュールレアリスム絵画集のような本です。
ショート・ショートの悪夢の魅力が詰っています。
「一人の男が家に帰ると、妻がリスと一緒にベッドに入っている。…」
「バスの中で私は、牢獄が趣味だという男と知り合う。自作の独房を見せてくれるというので、私は男の家までついて行く。…なかに私の両親が入れられているのだ。…」
自動記述法みたいで悪夢です☆
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気鋭の小説家の方です。いろんなものを書いています。
「一人の男が飛行機から飛び降りる」いわゆるショートショートというより散文詩といった方がいいかもしれません。奇想の連続です。
かと思うと普通のショートショートもたくさん書いていたりします。残念なことに、そのほとんどは邦訳されていません。もったいないですね。