紙の本
ほろっといい話。
2001/10/10 15:11
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投稿者:TGW - この投稿者のレビュー一覧を見る
各所にこだわりがあるのに特別簡潔な文体で書かれる宮城谷氏の短編集。ここに所収される5編の短編はいずれも春秋期以前の中国を舞台としている。当時の人々がまさに息づいているような臨場感を持ち、最後にほろっとさせるような珠玉の傑作選。5つの別なストーリーが、連続しているように読めるつくりになっているのもよい。
紙の本
文字の原点ここにあり。
2015/12/18 21:50
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作は文字をつくった王、商の高宗武丁。
太古中国では言葉のない者に王の資格はなかった。武丁は苦難のすえ文字を創造する。
漢字を大切にする宮城谷さんの原点がここにあるような気がしました。
紙の本
淡々と書かれている中にも重厚な話
2002/05/28 08:54
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投稿者:あき - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代中国の物語が5作収まっている短編集です。「なんて綺麗な言葉なんだろう」というのが、最初の感想です。久しぶりに、こんなに日本語が綺麗な本を読んだような気がします。
内容ですが、実に重厚。けれど、あっさりとしています。「あっさりと」いうよりも「淡々と」という方がしっくりくるかもしれません。読み手に感情移入をさせるような文章の書き方ではなく、どちらかというと一歩引かせるような書き方をしているように思います。その実、書かれている事は結構重いのですが、一歩引かせているような書き方がじつに良い具合に、話をサラサラと進めているのではないかと感じました。いわゆる、訓話的なイメージがありますが、押し付けがましくないところが心地よかったです。
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宮城谷さんの作品はどれも毅然としていると思う。読みながら背筋が伸びるというか、真摯な気持になるというか。単語一つとっても書こうとする時代にその言葉がどういう意味を持って使われていたのかを調べた上で書いているとどこかで見た気がするけど、そのせいかなと思う。この作品はその「漢字」の素を得た王の話から始まっていて、時代劇のような幻想小説のような雰囲気を味わうことができる。まるで、中国の広大な台地に抱かれているみたいな小説。読後感大満足で☆+1。
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短編集。タイトルになっている物語は、文字を作った王の話。どれも長編とは違った面白さがあります。詳しくはまた…。
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初めての宮城谷小説がこれだった。古代の、聾唖の青年の話…というだけでも想像を絶するが、文明の礎そのものをつくりだしたそのひとを、こんなふうに書き上げる発想に素直に感服した。他、宮城谷氏の大好きな美女にまつわる短編(夏姫や、笑わない后として有名な褒娰)も魅力的。妖異記の史官はそのまま作者の姿と重なるようにも思えた。
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なぜ沈黙なのか。上手くしゃべれなかったからです。王の跡を継がなくてはならないのに、言葉に障害をもってしまっていた。王としてやっていけるのか・・・そこで、文字が発明される。というのが、表題作。宮城谷さんの話はどれをとってもすばらしい。かっこいい話です。
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言葉を話せない王の冒険。古代文明が始めて、「記録する」という概念を打ち出した瞬間を小説化した作品なんてそうそうないんじゃなかろうか。
なにしろ殷の時代だから「ホントかよ…」と思う部分もあるが、それにしても宮城谷の空想の力が立派に補っていると思う。
文字の開発。…うーん、いまのロケット打ち上げくらいのどえらい事業だったんだろうなあ。。。
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か、かっこいいー!と思わず握りこぶし。魅力的な短編集。中国乱世のさまざまな王朝が舞台です。知将同士の駆け引き、権謀術数による国盗り合戦にウキウキ。難しいこと抜きで、ファンタジーを読むような感覚で楽しめました。男たちにもドキドキでしたが、登場する美女がまたツボでさらにドキドキしました。
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商・周・晋の時代の5話を集めた短編集。
沈黙の王では,商王の小乙の子である昭が言葉をしゃべれない障害を持つものの,そこから甲骨文字を編纂するといったエピソードが語られています。
地中の火では、夏王朝を一度倒した寒浞(かんさく)の話です。夏王朝は夏王傑の時に商の湯王に倒されたが、一回、5代の相が王の時にで滅んでいる。しかし、夏の遺臣である伯靡(はくび)と夏王・相の遺児である少康に寒浞は攻められて滅んでいるので、夏王朝は一応、続いたものとして史記が綴られている。
妖異記と豊饒の門では周王朝末期の幽王の時代だ。傾国の美女・褒娰(ほうじ)も登場する。王朝が滅亡するときは、いつも外圧で滅びるというより、内から滅んでいくものだということが良く分かる。
鳳凰の冠では、これまた、傾国の美女・夏姫が登場する。主人公は叔向だ。この時代は、妟子、子産など春秋戦国時代の賢臣が活躍する一番面白い時代だ。この時代の宮城谷氏の小説はどれをとってもすばらしい。
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短編集はすべておすすめ!というわけではないのだけど(単に軽快より重厚を嗜好するからだと思う)これはおすすめ。短い中にも宮城谷作品らしい視点の新鮮さと余韻がある。甲骨文字の始まりは素朴で不思議な古代中国で、本当におこったかのような不思議すぎず現実すぎない物語に仕上がっている。歴史に名高い悪女を、原因がそえだけということはありえない(と考えていると想像する)、もっと複合的な視点で国の盛衰を見つめることで、切なく描いていると思う。最後の作品は他の春秋時代を描いた作品を読んでからの方が楽しめそう。
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再読中。
読み終わりました。鄭の桓公・武公の話、いろんな本で出てくるけど、何度読んでも面白い。それから、夏姫春秋の続編の叔向の話も面白い。長編もいいけど、短編集もかなり好きです。
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0303
純粋に、素直に面白いと思った1冊。
一番興味を持ったのは鳳凰の冠。
叔向について詳しく調べたいなと思った。
0715再読中
0726読了
やっぱり2回目でも鳳凰の冠が好き。
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名言集ファンタジーであります。
妖艶な美女が魅力的。
「偉大な学問の師とは
この広大な天地であるということが
わかってくるのです。」
この言葉に強く共感した。
そして、一番身近な天地自然は
わが身、わが心だとも思った。
次は夏姫春秋を読んで
そしたら重耳を読む予定。
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日本からの飛行機の中で読了。
古代中国の話なんだけど、古代まで話がいくと幻想的になる。
それこそ妖怪が棲んでいそうな。
宮城谷全部読んでみるのもいいかもな。