紙の本
映画のあとに。
2015/08/08 23:47
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投稿者:夜メガネ - この投稿者のレビュー一覧を見る
原作のある映像作品は、興味を持った場合は原作は映画のあとに読むようにしています。
強烈な幻滅を避ける最良の手段、と思っているので。
今回もその順番が吉と出た良作。
アカデミー賞から興味をそそられていたもの、日本での上映にまだ1年の時差があった頃で、
受賞作をタイムラグ数ヶ月で見られるようになったのは、ここ数年の事。
エマ・ストーンは好きな女優だけど、映画のスキーターは妙に「キレイすぎる」。
それがひっかかって、原作を読むならキャラもチェックしたいポイントでした。
…アタリでした。 なぜ彼女が"スキーター"なのかも説明されているし、
ハマリ役だった俳優さんはそのままに出てきます。上巻は登場人物が多いですが、
映画を観ていれば結びつくかと思います。
>アメリカ南部って、どんなイメージ?
その答えがまるで変わり、そして豊富になる価値ある作品。
男性社会を舞台にした人種差別を題材とした作品は多いですが、
守るべきもの(=子供、家庭、親戚、友人)が多すぎる彼女たちの冒したリスクたるや、
スキーターにも読者にも理解し難いものだと思い知りました。
その無知を知る事が、大事だったのではと読後に思えます。
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上下巻、一気に読み終えた。そもそも映画の公開を心待ちにしていたのだが、原作者と監督には交流があって、そもそも二人とも南部出身、ヘルプに育てられており、本書の出版と映画化ついて強い意志を共有していた、、、みたいなエピソードをどこかで聞いて、日本公開までまだ時間がかかるから先に読んでおこうかな、みたいな。
結論、すばらしかったです。ひどい状況の中でも、家政婦として働く中で生じる、メイドと雇い主の間の心の通い合いや、家族のような愛情は、宝石のように美しい。そんな絆も知っていながら(だからこそ?)、断絶の溝を思い知らされたときのショックは大きく、深く傷付く。無知や無自覚、知ろうとしない事の罪深さ。自尊心の大切さ。
人種だけでなく、あらゆる対立や差別が世界中にまだ多い訳ですが、どうしたら私たちは「ただの人間同士」とだけ思えるようになるのか。何がそのシンプルな考えを阻害しているのか。どうすればその壁を乗り越えられるのか。深く考え続けていきたいと思わされます。
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アメリカ南部ミシシッピ州、白人と黒人の差別がしっかりある時代。
アフリカの貧しい子供には援助の手を差し伸べようとしながら、身近に暮らす黒人は差別するという当時の社会を家政婦として生活の糧を得ているエイビリーンと彼女たち黒人の話を本にしようとするスキーターを中心にしたお話。
昔見た、「カラーパープル」(?)という題名の黒人の差別を主題にしたビデオを思い出した。
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まだ、アメリカでの黒人差別の強い時代を黒人のヘルプからみた白人と黒人の関係、白人の生活、白人からみたその時代が描かれてあり、面白いと言うか考えさせられる本でした。これから黒人と白人が紡ぐ物語がどうなっていくか気になるところ•••
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映画化もされたベストセラー本。大変読み応えがあり、面白かったです。地元ミシシッピ州ジャクソンを離れ大学に通っていた作家志望の女性スキーターと、スキーターの高校時代の友達(地元を出ずに結婚・出産)、それぞれの家族の元で働いている黒人女性ヘルプ(メイドさん)を巡る物語です。主人公のスキーターは、幸せとはズバリ家柄の良い白人男性に求められて結婚し家庭を築きヘルプを雇う、というような周囲の価値観になじめず、母親との確執、世代間のギャップ、地元ジャクソンに対して感じる愛着と閉鎖的な価値観に対する違和感、違和感をまったく覚えることなく良かれと思って差別し続ける人々への不信感などに翻弄され、変わり者と思われても自分の心に正直に生きようとする不器用者。理想を追い求め紹介者もなしに一流出版社に履歴書を送り、返答を待つような世間知らずですが、かつて自分もそうだった、という編集者の目に止まり、個人的なアドバイス、と断られた上でとにかくまずは書く仕事を見つけなさい、そして書きたいテーマを見つけなさい、と言われて地元の新聞社のお掃除相談コラムの仕事につきます。自分で掃除したことなどない白人女性のスキーターは、高校時代の友人のひとりエリザベスのヘルプであるエイビリーンに頼んで掃除のコツを教えてもらいながら、なんとかかんとかコラムの仕事をこなしてゆきます。スキーターは自分を育ててくれた大好きだったヘルプ、コンスタンティンの消息を知りたいのですが、どうやらスキーターの母親との間に何かあったらしく、くわしい事情がわかりません。エイビリーンならば、、、と相談してみても、事情を知っていることは認めても、白人のレディに自分からは言えない、自分が話すべき事柄ではない、と、断られてしまいます。スキーターは正直だけれども必ずしもいつも聡明なわけでもないので、無意識のうちに自分も差別的なふるまいや言動をしていたり、人々や物事を見たままに捉えていたりもするのですが、エイビリーンや周囲の人に助けられながら、だんだんと意識が開かれてゆきます。そして自分が本当に興味があって書きたいテーマは、ヘルプの側から見たジャクソンのありのままである、それはタブーに触れることだけれど、どうしてもそのテーマをインタビュー本としてまとめたいと思うようになりエイビリーンに打ち明けるのですが、、、。お話はスキーターと、スキーターの友人エリザベスのヘルプであるエイビリーン、エイビリーンの親友で口の悪いミニーの3人の目線から順番に語られるので、同じことが違う立場の人からしたらどういう風に捉えられるのか、ということがわかって、とても読みやすいです。映画も見てみたいと思いました。いろいろな切り口があるので、繰り返し読むと、そのたびに違った感想を持ちそうな本です。
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「ミシシッピー・バーニング」と
同時代・同地域の物語であるにもかかわらず、
白いレディと(黒い)ヘルプを中心に据えることにより、
リアルでいきいきとした日常感がありありと浮かび上がる。
副題である「心がつなぐストーリー」に強く惹かれた。
じんわりと心を打つ素晴らしい作品を読めたことに感謝。
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原作を早く読みたいがために封切りから間もなく映画館に行きました。映画を見てから原作を読む主義なもので…。
アメリカの暗部、人種問題。いくらでもシリアスに、社会問題として描くことはできると思いますが、この作品はあえてユーモアと女性らしい明るさを持って扱っています。都市部ではキング牧師が行進を行おうとしている時代に、ジャクソン郡では区別と称した差別がまかり通っている。黒人メイド「ヘルプ」のトイレは屋外に設置するべき、なんて法案を真面目に議会に提出しようとするくらいです。気にくわないヘルプには泥棒の汚名を着せたり、怪我をした学生を病院の前に置き去りにしたり、人間扱いすらされないこともある。全ての人がヘルプをひどく扱っているわけではありません。不当な暴力を受けた家族がいるからと有給をとらせてくれたり、家族の一員として扱ってくれたり。ただそれをインタビューとして読んだとき違和感を感じるんです。彼女たちは当たり前の扱いを受けてるのに良い話になっちゃうのっておかしくない?と。コンスタンティンを実の母のように愛するスキーターからして、心からありがとうと伝えたことはないとやっと気づく。それくらい、当たり前のこととして差別は存在していた。作中で出来上がる「ヘルプ」という本は決して積極的な問題提起はしません。ただ読んだ人が何を感じるか、どう思うか。それが町を変えていくのです。スキーターは親友たちから無視されるようになり、ヘルプたちは身の危険におびえ、それでもインタビューは進んでいくし、彼女たちはこの町を心底嫌いはしない。人間は愛情も憎しみも持っている。キリスト教の教えのように憎しみを捨てて愛することなんてできないけれど、それでも前を向いて進んでいかないといけないし、赦しがあるならばその先にしか得られない。ただのハッピーエンドではなく、受難の道を進めと言われているようなラストですがやはり暗くはなりません。「ヘルプ」を作った自信と、過程で得た強さがあるから。
映画、小説、それぞれのよさがあり、それぞれに楽しめます。シーリア好きな人は小説の方がいいかも。
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主観がチャプター毎に入れ替わって、
スキーター/エイビリーン/ミニーそれぞれの一人称で 描写されていきます。
読み進むにつれて、
3人それぞれの心の機微が 少しづく積みあがるように分り、
それに比例してストーリーの面白さが増していきます。
早く下巻を手にしたい!と思う一方で、
スキーター以外の白人キャラクターによる一人称描写が無いため、
どうしても被差別民寄りというか、バイアスがかっている懸念がどうしても残ります。
ともすると「差別者は悪」の一辺倒になりきって、時代背景や因果、要因、
それからきっとあるであろう差別者の苦悩など、この辺りが置き去りになってる感も。
兎に角 下巻に期待!
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1960年代、差別が色濃く残るアメリカ南部を舞台に、白人女性とその家で働く黒人メイド(「ヘルプ」)の心の交流を描く。
当時、南部では白人の中・上流家庭の主婦は家事一切を黒人ヘルプに任せていた。表向きは奴隷ではなくなったものの、明らかな蔑視はそこにあった。だがヘルプたちに育てられた子ども達にとっては、ヘルプのぬくもりはまた、厳としてそこにあるものでもあった。
そんな時代の白人家庭で働く黒人の視点から見た世界を、現代に生きる白人の著者が描いた、というところが本作の際だった特徴だろう。
全米では1130万部のミリオンセラー。映画化もされ、複数の賞を受賞している。
大学を出て、故郷ミシシッピに帰り、鬱々とした毎日を送る白人女性スキーター。愛し育てた雇い主の子ども達がやがては差別する側に回ることを知っており、一方で自分の息子を事故で亡くした痛手から立ち直っていない黒人ヘルプ、エイビリーン。激しい気性とはっきりものを言う性格から何度も勤め先を代わり、家に帰ればDVの夫が待っている、やはり黒人ヘルプであるミニー。
この3人の視点が代わる代わる出てきて物語を紡いでいく。
物書きに憧れるスキーターが、「ヘルプ」の物語を書いたらどうだろうか、と思いついたことから、3人の運命が動き出す。
アマゾンでは非常に評価が高いようであり、また確かにおもしろくは読んだのだが、読み終わってみると釈然としない思いも残る。
デリケートな問題であり、そこに生きていない外国人である自分には多分、理解しきれないこともあるのだろう。この作品が素晴らしいと感じる思いと、いや、ちょっとどうなんだろうと感じる思いとどちらもある。
ちょうど上下巻に分かれているので、下巻では個人的にどう思ったか、もう少し書いてみる。
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映画が好きで原作本を読むのを楽しみにしていたけれど期待通り。映画よりディテールも描かれていて読み応えがある。
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話の内容は60年代のアメリカ南部の白人と黒人の人種差別の問題という日本人にはいまひとつピンとこないテーマ、しかも重いテーマだが、軽い口調とウィットがきいていて一気にひきこまれた。
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映画の原作。
映画観てないけど、なんか気になったので読んでみる。
読みやすい。各々の語りがこう感情がダイレクトに伝わってきて
ぐんぐん読める。
ヘルプ、とゆー呼び方自体知らなかった。
同じ空間にいるのに全く違う世界で生きている。
大切に育てた子が自分たちを見下すようになる。
確かにその痛みはどれほどのものだろうか。
怒り?哀しみ?虚無感?
自分たちの生活の一部となっている人たちに対する仕打ちに
なんだそれ、と思うけれど、
なんとゆーか、それが間違っているんじゃないか、とか
傷つけているんじゃないか、とか、
全く思いもつかない社会だったんだろうなあっと。
自分たちは間違っていない、正しい、と思っている人間がどれほど
怖ろしいか、しみじみ。
そしてそれはきっとふつーのどこにでもいる人たちなのだ。
さて、彼女たちの心のうちに積もり積もったもの。
一度吐き出してしまえば、もう止めることはできないのだろう。
しかし、簡単にそれを押しつぶすものがあるのもきっと現実だった。
彼女たちの声が誰に届くのか、
凝り固まった社会に変化を呼び込むことができるのか、
びくびく、どくどき、わくわくしながら下巻に向かう。
そうゆう差別、とゆーのを実際にうけたことはないのだけれど、
日本人はその対象たりえたのだ。
同じバスに乗れない、同じレストランで食事できない。
明確な線引きによって生まれるのはどうしようもない上と下の関係で。
他者より有利でいたい、強くありたい、
そーゆー願望はともすると、あっという間に自分を埋め尽くす。
だから怖い。
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うーん、世の中にはついこの間まで、そして今でも無知と誤解で満ち溢れているのね。そして人間はとても残酷になれる生き者で、人間だけが食べる目的以外に殺す。
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人種差別を描いた作品は過去に読んだり観たりしたことがあります。
テーマがテーマだけに重くて、観ていてとても辛くなったことを覚えています。
この物語は、重くなりがちなテーマをユーモアを交えながら描いていて、途中からは頁をめくる指が止まりませんでした。
ミニーの毒舌ぶりがくすっと笑わせてくれます。
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アメリカの黒人問題をメイドの立場から視点を変えつつ語っている。切実な命懸けともいえる聞き取りの中に、抑圧されながらも生き生きと日々を過ごすエイビリーンやミニーのたくましさやユーモアが輝いている。