紙の本
本当に評価して欲しい人はひとりだけ
2015/09/14 16:13
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
二宮咲子はIT業界に勤めるキャリア志向の女性だった。しかし、そんな彼女を穏やかに支えてくれていた御厨俊夫を、仕事のイライラをぶつける様に叩きだしたことで、その後の一年は今までなぜ頑張っていたのか分からなくなってしまった。
後輩の上田理菜は、女としての努力を怠けているように見える咲子を叱咤し、合コンなども設定してくれるのだが、いまいちその気になれない。そんなある日、理菜に無理やり連れて行かれた占い師に、一週間以内に出会うチャンスを捕まえないと一生独身と言われショックを受ける。さらに、それに追い打ちをかけるように、元彼の御厨が、夫婦!で、自分と同じ結婚式に招待されているというのだ。
そんな彼女を慰めてくれるのは、街で偶然手に入れた望遠鏡と、それで覗く、貧乏アパートに住む青年だ。そんな縁で交流することになった青年・大島瑞樹に励まされ、そして自分の本当の気持ちを自覚させられていく。
理菜の紹介で会う年下の男、及川部長が持って来たお見合い相手の御曹司・友引達彦。止まっていた流れを動き出させるような、怒涛の一週間が始まる。そしてその結末は…。
失ってから始めて、それがどんなに大切だったか分かるという、よく言われる様な教訓を、仕事では優秀でも女としては上手く自分を出せない、二十代最後の女性を主人公として描いている。
個人的には、咲子や理菜の、ミス・ブースカと呼ばれる存在に対する扱いはあまりにも酷過ぎる様に感じる。彼女自身が何か嫌がらせをしたわけでもないのに、明らかに見下したような扱いをしているのだ。それは、彼女たちがバカにする浜本拓が取っている態度と同質のものではないのか?つまり彼女たちが浜本に抱く感情は、同族嫌悪であるように思える。もっとも、おそらくはミズ・ブースカに、知らないうちに彼女は助けられているわけだけれど。
ところでこの作品、女性と男性の立場を入れ替えたら、特に面白みのない作品になるであろうところが面白い。家庭のために働くとか、昭和の男性像そのものの気がする。でもそれを性別を変えて描くことで現代にマッチした作品になるとしたら、社会はどれだけ同じことを無自覚に繰り返しているのだろう?
あと、同じことを男がやったら、単なる犯罪になり下がるところは忌々しい。やっていることはストーカーでも、相手が嫌がっていなかったら犯罪にならないのだから、立証が難しいのもむべなるかな。
第18回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞受賞作品。
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ハッピーエンド。良いお話だった。
うん、こういう話も悪くない。
でもなんか御厨よりも瑞樹の方が目立ってて、御厨が少し可哀想に思った(笑)。
幸せの形ってなんだろうって、そんなお話。
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『東京すみっこごはん』の作者による初期の作品。こういった女性が恋に仕事に必死になる姿は美しい。それにしても高学歴、高収入で良い所に住む女性がうまくいかなくて…というのは一種の幻想的にも思えるし、あるあるの対象でもある。たまに猛烈に読みたくなる頑張る人の物語は、なぜか癒される。
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人間関係に疲れている29歳の女性がどことなく過ごす日常に対して不満を持ち始める所から話が始まる。独身女性としての悩みがガンガンと同僚から告げられつつも、自分の今までの生き方を簡単には変えられないという一種の諦めを持ちながら日々を過ごしていく。ある日、同僚から彼と結婚する話をされ、社内で結婚せずに残っているのはお局ポジションの人と自分だけの二人になってしまう。さらには部長からも何か疲れてきているんではないか?と問われる・・・
正直な感覚としてひどく我が儘に見えているが、こういう揺れ動きが話を作っていくのは確か。一途と言えばそうではあるが、一方的に依存しているように見える、最終的に主題が瑞樹に移ってきて最終的には届かなかった元カップルの願望を人を変えて叶えた事になったので、その過去に同じパターンで別れた二人と比べると救われている気持ちになる。タイトルにあるような状況が本編でも構成されていたという事になるが、時間としてはしっかりと1週間の間という制約もあって出会った人間関係とかは中々にはちゃめちゃである。
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「月だけが、私のしていることを見おろしていた。」を読了。
3月頭に刊行されたメディアワークス文庫の1冊。電撃のメディアワークス文庫賞の受賞作だとか。というわけで、中身もメディアワークス文庫が狙っているちょっと上の年齢層向け。
ちなみに自分はなんか表紙の絵が好きだったので買ってしまった。表紙買い。ちなみに本編にイラストは一枚もない!
ストーリー的には1年前に彼氏と別れた29歳独身の咲子が、占い師に「一週間以内に次の相手みつけないと一生独身」という宣告をされて・・・・というお話。
30前後の独り身の孤独感な描写がリアルで楽しいので、似たような環境の人は楽しめるのか、悲しめるのか?
恋愛小説なのかと思って読んでいたんだけど、いや、大枠は恋愛なのか。まぁネタバレ回避で細かくは書かないようにしょう。
デビュー作?なので、ベテラン作家さんが書いたような完璧な構成ではないと感じるけども、それもまた良し。読後感も良いので、作者の次作にも期待しよう。
追記:
メディアワークス文庫のサイト「書き下ろし小説」コーナーで、本作のスピンオフ的な話が読めるんだけど、この部分まで含めて「月だけが、私のしていることを見おろしていた。」という作品だね。
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作家となった人の処女作を読みたくて購読。咲子の心境や他の文章も丁寧に綴られていて大事に書き上げたんだなぁという印象。ストーリー自体は王道なものだけど、うまくまとまっていてやっぱり王道っていいなと思うことができた。いろんなことに迷ってしまうけれど、結局は自分の心が全てわかっているというところ、完璧な友引を理屈ではない部分で受け入れなかったところが共感できた。自分の気持ちに正直になれるということはとても気持ちのよいものだ。難しいけれど。
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主人公の考えには「分かる!」を連発。
等身大の小説として共感しただけに、最後の展開は個人的に少し残念な感じがしたかも。
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タイトルやモチーフが良かっただけに、文章力と結末にがっかり。
客観的に見たら、仕事で疲れちゃたイタい女の人の話。
途中まで感情移入しかけてただけに、読後感の不快さは割増。
まぁ、このモチーフに感情移入って、自分のイタさもかなり…w
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H24*05*13*Sun 読破
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ほあ〜
--あらすじ--
月だけが、私のしていることを見おろしていた。
私の心を暖めてくれるひとつの灯り――
高学歴、高年齢、高層マンション住まいの3K女・二宮咲子は、元彼の御厨に未練たらたらの日々を送っていた。
週末の友人の結婚式で御厨と奥さんに再会することを悩む咲子は、占い師に一週間で出会いがないと一生独身と宣言されてしまい……。
そんな彼女には、誰にも言えない楽しみがあった。
それは、年下青年の住むぼろアパートを中古の天体望遠鏡で覗くこと。
今の彼女の心を暖めてくれるのは、
月夜に望遠鏡を通して知り合った青年・瑞樹との交流しかなくて――。
第18回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉受賞作。
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最初の文はいつも読む感じのとなんか違うくて、
読みにくいと思いながら読んでいたのですが、
だんだん慣れるものなので、
心配は無用でした。
内容はほんと、
びっくりするくらい伏線を引くのが上手です。
「あらまぁ、こんなことまで伏線に…」とな感じでした。
友引さんの件はなんだか、
あっさりしすぎてて、
なんか あへ〜 って感じでした。
その辺意外は思っていたよりも面白かったです。
でも もう少し年を重ねてから読み返したほうが、
絶対いいと思うような、
少し大人なお話でした。
以上、
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一人はつらい、きつい、寂しい。
誰かと繋がりたい。
話したい、ふれあいたい、心を交わしたい。
その思いが重なった。
そして、繋がったんだと思うよ。
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タイトルからあんま期待してなかったけど、
ちゃんと続きが気になる!
最後もいやみなくファンタジーでまとめてて
なかなか文章力のあるラノベ。
満足♪
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今、同時に読み進めているものが
ひとつひとつの単元のような形になっている本なので、
少しずつ読んでいるため
気晴らしにと手にとりました。
タイトルとあらすじでネットで購入しました。
装丁と中の絵のおかげで
本当にマンガを読んでいるようでした。
仕事に生きて、
ちゃんとお給料をもらって、
30にさしかかって、
マンションを購入。
彼氏は一年前に出て行った。
そんな29歳咲子に舞い込む恋のはなし。
一週間以内に運命の出会いがないと、一生独身と占い師に宣告され。
恋を呼ぶのか、呼び寄せるのか。
そして咲子には人に言えない秘密があった。
マンションの個室にひとり。ひとりぼっち。
望遠鏡で向こうの世界をのぞくこと。
その先には、おんぼろアパートに住んでいる青年。
いつしか彼と繋がり交流し、
自分の気持ちに整理をつけていく。
彼に会えるのも、
恋を思うのも、
運命を手繰り寄せるのも、
月夜のこと。
と、ストーリーの骨組みはなんだか素敵なんですが
確かに途中から展開は見えてくるし
この人あっさりこれで終わりなのか~と可哀そうになる場面も。苦笑
全体的に登場人物があっさりしてます。
なので伏線やバックグラウンドは、そこまで重視されてません。
少女マンガを読んでる気持ちで。苦笑
だけど、
ヤッホーは素敵でした。
ところどころわかるな~って描写も。
会社いやいや病なんて、正に。笑
行きたくないよ、ドロドロ人間になりそうだもん。
だけど、人の気持ちなんて一言や一人の人間で変わるもんなんだなあ。
そこまででなくても、
必ず少しは元気になっちゃうんだよなあ。たぶん。
「じゃあその気持ちはなんなの」
「割り算の余りみたいなものです」
そうそう、
余ることってあるんだよー。そうなの。本当。
とか思いながら読んでました。
厳しい目よりも、
少し息抜きとか気晴らしに読むことをおすすめしますっ
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粗筋を見て購入。何か私の生活とはかけ離れたなような世界。是迄主人公が女性でも感情移入で来た話は沢山あったが、何故か此の本の主人公には感情移入があまり出来なかった。しかし、楽しめた話でもある。
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90年代の年齢層高めの少女漫画みたいな話だった。
都会のキャリア系OLが主人公にしてはセンスの古さを端々に感じた。
ストーリーは優等生的でつまらない。
読書の楽しみは特に無かったなぁ。
モチーフは素敵だと思ったんだがな。
あと席次表確定は早くても一週間前な気が。
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一人で生きていける女の子って強くなんかない。一人で大丈夫なわけがなくって、むしろ自分が心許せる人にいっぱい甘やかしてほしい。でも、大事な人に素直になれずに、一人でもんもんとしてる…そんな女の子の「運命の一週間」(怒涛の一週間でもあるけれど)のお話。
最後はちょっとご都合主義かなぁ、という気がしたので、星は三つ。
でも、咲子にとっては一番良い形で決着したので、読み終わりはほっこりできます。悪い人、嫌な人が出てこないので、そういう意味でも安心して読める本です。