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- カテゴリ:一般
- 発売日:2012/01/18
- 出版社: 新潮社
- サイズ:20cm/236p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-10-439708-2
読割 50
紙の本
ヒトラーのウィーン
著者 中島 義道 (著)
美しき都ウィーンは、ヒトラーのグロテスクな怨念をどのように醸成していったのか。ウィーンと関係の深い哲学者が、「怪物」の青年期をさまざまな視角から追う。【「TRC MARC...
ヒトラーのウィーン
ヒトラーのウィーン
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商品説明
美しき都ウィーンは、ヒトラーのグロテスクな怨念をどのように醸成していったのか。ウィーンと関係の深い哲学者が、「怪物」の青年期をさまざまな視角から追う。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
中島 義道
- 略歴
- 〈中島義道〉1946年生まれ。ウィーン大学基礎総合学部哲学科修了。哲学博士。専攻は時間論、自我論。著書に「カントの人間学」「ウィーン愛憎」など。
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紙の本
ヒトラーは いつから怪物へと変身したのか
2012/02/15 08:03
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:k-kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヒトラーが、若き日にウィーンで建築家を目指していたことは、よく知られている。そのウィーン時代は、資料も少なくよく知られていない。ウィーンにおけるヒトラーの痕跡はきれいに消し去られているようでもある。
著書はしつこくヒトラーの足跡をたどり青春像をあぶり出している。あくまでもアドルフ・ヒトラーという個人に関心があるようだ。本書には等身大のヒトラーが描かれている。著者の姿勢にはどこか共感すら感じるのは、行間に自身の体験が書き込まれているからであろう。
ヒトラーのウィーン時代は、17歳から22歳までの5年3ヶ月にわたる。建築学に対する興味がどんどん膨らんだという。朝早くから夜遅くまで名所から名所へと奔走したらしい。しかし、ヒトラーはウィーン造形アカデミーの受験に二度失敗する。同郷の親友は既にアカデミーに合格し音楽家への道を歩み出していたのに。ヒトラーは二度までも失敗したことに屈辱的な思いをいだき絶望したであろう。
ウィーンから負け犬のように退散してミュンヘンに着いた1年後に、第1次世界大戦が勃発する。ヒトラーは銃を取り4年後に帰還する。ここから、ヒトラーの人生は、急カーブを描いて上昇し続ける。1934年8月には総統兼宰相として全権力を掌握する。少年時代・青年時代を通じて、まったくの落ちこぼれで、後の成功の片鱗も示さなかった男が、あっという間に最高権力者にまで上りつめる。
ヒトラーの率いるナチスドイツは、1938年3月、国境を越えオーストリア国内に入る。十万人のウィーン市民が眼を輝かせ歓喜に酔いしれ英雄の凱旋を迎入れる。ヒトラーが新宮殿のバルコニーに現れるや否や、雷鳴のような大歓声が湧き上がった。
――ヒトラーはウィーンに勝ったのか?ウィーン凱旋から7年後に、ベルリンの地下壕でヒトラーの夢は完全に潰えたのだ。