紙の本
東京電力・政府の醜い対応がよくわかります。
2012/01/24 23:30
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:想 定内 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日隅一雄氏、木野龍逸氏お二人のフリージャーナリストが東電・政府会見に出席して見聞きしたり、取材して得たものをテーマ別にまとめた書である。
東京電力、政府関係者、官僚たちの嘘、捏造した情報を改めさせることにも努力している。
SPEEDIの情報がなぜ生かされなかったのか、今も原因と責任は誰にあるのかはっきりしていない。この問題などにも追求していたのは、この二人はじめフリーランスのジャーナリストがほとんどである。広告主である東京電力に強く追求できない大手マスコミ。信用できる情報は何なのか。原発事故に関しては自分で情報を調べていかないと、新聞やテレビの情報操作に騙されることになる。会見で話されていた重要なことでも、翌日の新聞、テレビでは報道されない、報道されても小さな扱いであることが多々起きていた。インターネット中継を見ていたため、自分で体験したことである。
この本に書かれている会見の模様は今でもインターネット(ustream)に動画として残っており、確認することもできる。
首相が収束宣言をした時点でも福島原発からは6000万ベクレルの放射性物質が放出され続けていました。このレビューを書きだす前には7000万ベクレルに増えたとニュースをみました。枝野氏の「直ちに影響はない」発言も訂正されました。今の政府、東京電力信用できません。
反原発に賛成の人、少しでも疑問がある方にはおすすめできる一冊です。
紙の本
本当に「直ちに影響はない」のか?
2012/01/26 10:35
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:書評王子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「直ちに影響はない」「直ちに影響はない」と言い続けた政府。
その言葉を受けて、移動しなかった福島県民。
福島県のみならず、東京でまで高濃度の放射能が検出されているという現状。
現在、とりあえずこういった状況にとどまっているが、この状況で安全なのか?
なぜこのような状況にとどまったのか?
原発事故後の政府、東電、保安院の会見を系列を追って並べ、
誰がどの発言をしたか、という流れをフリーランスのジャーナリストだからこそ、
隠すところなく書いた重要な本です。
今も重要ですが、これから先、何十年にわたり責任の所在を追求するのに、
必要になる本になるはずです。
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記録としては、貴重かと。
ただし、あと少しで読了というところで、著者の一人がアノ団体に係わっているということがわかり、一気に読む気が失せたが、何とか読了。
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フリージャーナリストによる政府・東電の批判本。正義の味方っぷりがすごい。twitterで見ていた限り,フリージャーナリスト達の大騒ぎはまったくもって有害無益と感じたが,書籍にするとそういうボロは不可視化されるのね…。文章で食っているだけあって,よくできている。他の情報をシャットアウトしてこの本だけ読んだら,著者たちの言うことは正論で,フリージャーナリストは無謬,政府・東電はとんでもない組織だということになるんだろう。
批判が当っている点もあるが,ちと責任を追及しすぎでないものねだりになってる感は否めない。定量的な議論は都合のいいところだけ登場。「海に意図的に放射性物質を流し汚染することは、生活も環境も破壊する最も避けねばならないことである。それにもかかわらず…」p.117 …ではどうしろと?
書名の通り,記者会見の模様が綴られる個所が多いが,そこを読むと田中龍作氏,上杉隆氏,岩上安身氏などが実に有益な質問をして,政府や東電は返答に窮しているという雰囲気が伝わってくる。彼らが危険デマを振りまいてきたことは微塵も感じられない。
懺悔的記載を(ちょっとは)期待してたのだがほとんどなかった。わずかに,園田政務官が処理済みの汚染水を飲んだ件について,「飲む前に止めようという議論があった。しかし…その場に飲むように迫っていた中心的なフリージャーナリストがいなかったため、止めることができなかった。」p.164 とあるのと,排除されたフリージャーナリストについてのフォローができなかったことを反省しているくらい。一冊の本なので,一貫性がないといけないということなんだろうけど。正義の人の話って眉に唾をつけて聞かないといけない。
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「戦後の黒塗り教科書かよっ!」と突っ込んだのは、監督官庁である
経済産業省の要請によって東京電力が「事故時運転操作手順書」
を提出した時である。
その大部分は黒く塗られ、読み取るべきものが読み取れなかった。
監督官庁に対してもこんなふざけた態度を取る東京電力である。
その記者会見では、多くの隠蔽・ごまかしが行われていた。
本書は、東京電力単独の記者会見から政府との統合記者会までに
出席し続けた弁護士とフリージャーナリストの著者ふたりが、その
でたらめさを検証している。
情報を開示しない東京電力側と、会見に出席した記者とのやり取りも
再現されており、いかにいい加減な戯言ばかりが述べられたかが
分かる。
先日、東京都の副知事である猪瀬直樹が東京電力に対して電気料金
値上げの根拠を示すよう迫った。その回答書を提出したが、猪瀬副知事
はこれを突き返した。
曰く「私が望んだ回答がここにはない」
本書でも、記者たちが、被災者が、国民が求めることに口を閉ざした
記者会見の模様が検証されている。こんな東京電力に対し、政府は
公的資金の導入を決定したどころか、追加支援をも認めた。
何度でも言う。「想定外の津波」が原因で今回の事故が起こった訳では
ない。東北電力の女川原発が9.1mの津波を想定していたのに対し、
想定を見直さず対策を怠って来た東京電力が招いた企業犯罪である。
現在、「原発国民投票」を呼び掛けている人たちがいる。ならば、こんな
企業に公的資金と言う名の税金を湯水のように投入することにも国民
投票が必要なのではないか。
繰り返し言う。減資もせず、メインバンクに債権放棄もさせず、税金が
使われるこの不可解。東京電力は責任の所在を明確にせよ。
尚、本書ではジャーナリズ側の反省点も述べられている。良書である。
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記者会見で「質問すること」がいかに大事か。「隠していること/隠そうとしていることをいかに引き出すか」がいっぱいつまった本。
とかく「陰謀説」に乗りたがる風潮というもの(そういう心理状態から無意識でデマに乗ってしまうこと)があなか、本書はそういったことに陥らないようタンタンと記録に徹しているのがいい。
記録として残って欲しい本。
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二人の著者が、原発事故以来ずっと東電、政府の記者会見を追いかけていて、そこで見聞きしたおかしな事、また、記者会見で伏せられたこと、いつのまにやら変わってしまったことなどを追求している。
これを読むと、大手マスメディアの追求の甘さを感ずる。フリーのジャーナリストという限界の中で、系統的に追求していくといろんなことがわかるというお手本のような本だ。
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昨年(2011)3月に起きた東日本大震災は津波の被害をもたらしましたが、特に日本の方向性を変えてしまうほどの衝撃を与えたのは、福島原発の爆発ではないでしょうか。それにも拘らず、何冊かの本を読むことで、福島を含む日本の原発は、今回の事故は想定外のこととして時間が経過するのを待っているだけのように思いました。
事故直後に何度も行われていた記者会見ですが、編集されたテレビのものや途中で打ち切られるものでは何もわかりませんでしたが、インターネットで生中継を全部見ることで、東電の姿勢もよくわかりました。
この本はフリーで働いている記者2人の共著の作品です。この事件が風化して忘れられないうちに、何を隠したかという焦点に絞って本を書いた努力は敬服しました。
以下は気になったポイントです。
・2009.6の経産省における総合資源エネルギー調査会において、869年に三陸沖で起きた貞観地震に伴う津波があり、同規模の津波が来襲する可能性があることを指摘されていた(p50)
・福島第一原発の土壌からでたプルトニウム238は、原子炉が中性子を長時間照射したときに生成するものであったので、原発事故によりものと考えられる(p75)
・米エネルギー省は3/22の時点で放射性物質が北西方向に拡散した状況をHPで表示していたが、政府は国民にはデータの存在を説明していなかった(p79)
・事故前の2010年度の原発労働者の平均被爆量はひとりあたり年間1.1ミリシーベルト、3月14日に緊急作業時の被爆上限を、100→250ミリシーベルトにあげた(p88)
・燃料棒が冷めて取り出せるようになるまで、少なくとも数年は続ける必要がある(p129)
・東電が水棺を断念したのは、メルトダウンを正式に認めた後のことである(p138)
・政府と東電による統合本部は、2011.4.23に、25日から合同で記者会見を行うことを正式に発表し、その時に記者会見に参加できる条件を示した(p153)
・原子力安全委員会は、原子力船「むつ」の放射線漏れを機に、1978年に設置され、1999年のJOC臨界事故等を機に権限や体制が強化されてきたが、今回はその使命(行政機関や事業者を指導)は果たせなかった(p184)
・原子力発電所の所長の発言が、事故後の8カ月経過してから初めて得られた(p192)
・ようやく認められた現地取材は、担当大臣の同行取材であり、限定された記者クラブのみで、フリーランスや雑誌記者らは参加できなかった(p192)
2012年5月15日作成
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福島原発事故で、東電・政府が情報を隠し続け、さらにマスコミがどのように対処したかを、弁護士とフリージャーナリストが追求したことを時系列に追ったものである。記者会見の画像がネットでリンクされていればもっといい。メディア・リテラシーの実物教材として使える本である。
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このドキュメンタリーはリアルタイムに起こったことが直近であるだけに生々しく記憶によみがえってくる。
そして、政府と東電、マスメディアがどのように対応し、フリーのジャーナリストやネットを通して監視していた私たちがどのような対応をしたか、出来たかをもう一度確認と反省するところもあるように思う。
しかし、東電や原子力行政に関わっている政府や官僚たち組織の隠蔽体質がどれだけ酷いものであったかを再確認させられた本です。
特に東電の体質は酷い。それに監視すべき組織のひどさは読めば読むほど腹が立ってきました。
結局今回の地震によって起きた色々な事象に誰も責任を取っていないという事と、何が原因であったかが全く解明されていないという事実だけが浮き彫りになってきます。
スピーディーの情報がなぜ公開されずそのままになっていたのか?原因はなぜなのか?誰がその原因となったのか?
10m以上の津波がくるという事が2008年の東電の内部ではすでにレポートされていたし、保安員もそれを知っていたし、バックチェックの段階でも把握していたのになぜ放置されていたのか?
校庭の利用限度を20ミリシーベルトと設定した経緯やそれを推し進めたのは誰なのか?
大手マスコミはそれらにしっかりと調査や取材を行って追求したのか?
ただ、この本を書かれた二人のフリージャーナリスト以外にも多くのジャーナリストがそれぞれの立場で追求して、今回ネットというツールがそういう活動を阻止しようとした東電や政府に対して抑止力となることができて、彼らの取材の後押しも出来たことなどが救いです。
これからもさらなる続編を期待したいと思います。
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政府・東電・保安院・安全委員会などがどういう態度をとっていたのか。将来真実が明らかになったときの参考になるだろう記録の一つ。
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福島原発事故や原子力を含むエネルギー政策に関して、東電などの電力会社や政府の対応に関する本をいくつか読んできて、やはり強力な情報バリアーが何重にも張り巡らされているとの印象を強く持ってきたが、この本は各項目について簡潔に要点を挙げているのと、客観性を重視して書かれた点で抜きん出ている。
時間をおいて事故調査委員会のレポートと比較してみよう。
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福島原発事故で隠されていた情報は何なのかを当時の記者会見に参加した二人のジャーナリストがまとめた一冊。
東電も政府も、リスクがある情報を隠す為に、嘘をついていたのは間違いない。マスコミメディア側にも問題はあるのも確かですが。日本の問題が多く露呈したのは事実です。考えさせられました。
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あのとき、政府・東電は記者会見で何を語り、何を隠したのか。自らも不治の病を宣告された記者が、命を削って追究した記録。
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説明責任の重要さを感じる。
広報の問題ではなく、説明をちゃんとしないということは、ウラでの対策もちゃんとやらないことを意味している(こともある)ということを、顕著に示した事例だろう。
賠償責任を問われるような言質をなるべくとられないために説明をテキトーにしているだけじゃなくて、その後の対策も、テキトーに済ませたいと思ってるんだろうな、と如実に感じさせる。
といっても1次情報なワケではない。著者側のバイアスによって取捨選択されているのは要注意。ただし、そのへんはわかるように、極力冷静になろうと努めて書かれているのは感じられる。