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- カテゴリ:一般
- 発売日:2011/12/16
- 出版社: 新潮社
- サイズ:20cm/204p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-10-331691-6
紙の本
オオカミの護符
著者 小倉 美惠子 (著)
50世帯の村から7000世帯の街へと変貌を遂げた川崎市宮前区土橋。その地で長年農業を営む実家の土蔵で目にした護符。そこに描かれた「オイヌさま」の正体とは。都会の中にひっそ...
オオカミの護符
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商品説明
50世帯の村から7000世帯の街へと変貌を遂げた川崎市宮前区土橋。その地で長年農業を営む実家の土蔵で目にした護符。そこに描かれた「オイヌさま」の正体とは。都会の中にひっそりと息づく、山岳信仰の神秘の世界に迫る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
小倉 美惠子
- 略歴
- 〈小倉美惠子〉1963年神奈川県生まれ。(株)ささらプロダクション設立。プロデューサーとして2008年に映画「オオカミの護符」、2010年に「うつし世の静寂に」を公開。
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紙の本
オオカミの護符
2012/02/15 16:39
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:町から森へ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「オオカミの護符」 小泉美恵子 著 新潮社(2011年刊)
たいへんに面白い本でした。なんと言っても川崎、東京都に隣接する京浜工業地帯という圧倒的なイメージを待つ大都市川崎。そこに、かくも古くて懐かしい風景が開かれていくとは!読者はその意外性にまずもって驚かされることになります。
発端は、著者の実家、現在の川崎市宮前区土橋にある土蔵に貼ってあった「黒い獣の護符」に著者が興味を抱くところから始まります。この獣が「オオカミ」であることはすぐに判明するのですが、この「オオカミの護符」の由来を尋ねる過程で、護符を取り巻く様々な風景(今につながる)に出あうことになります。
例えば、東京都青梅市にある御嶽神社(みたけじんじゃ)信仰を中心に据えた御嶽講の世界。土橋にも御嶽講中が今も厳然として残り、御嶽神社を目指しての講中が毎年行われているということ。また、この講を先導し宿を提供し、さまざまな面倒を見るなど、宗教的にも重要な役割を果たしてきた「恩師(おし)」と呼ばれる先達の存在。「講」が地域社会のなかで受け持っていた様々な役割―相談、相互扶助、豊穣の祈り、雨乞いから、山や川に対する感謝、無事安全の祈願、そして村人こぞっての娯楽―を一つ一つ発見して確認してゆくことができます。そこには、今ではすっかり失われてしまったと思われる、小さな共同体の、長い長い歴史。そこで培われてきた人々自然と神(宗教)とのつながりの痕跡が、あきらかな形で残っているのです。
更に私たちが気がつかなかった事実に目を向けられます。それは武蔵国の遥かな拡がりです。かつて「武蔵七党」といわれる武士たちが、馬を駆っていた茫々たる野原から、遥か北に北に、秩父山塊まで、そして更に延々と東北まで続く深い山並みが続いていたという日本列島の形態、そこにはいつも人々が通う路があり、小さな村があり、確かな生活があり祈りもあったという事実には、改めて目を開かれる思いがします。広い世界と小さな人間との交流が、ゆったりとしたなつかしさとともに描かれています。
三峯神社の神事(奥宮祭)が、オオカミのほえ声(と思われる咆哮)で始まるということ、オオカミが出産する時発する声を聞けるのは「こころ直ぐなる人」だということ。狛犬が関東ではオオカミの姿をとっていることが多いことなどなど、オオカミ信仰が人間たちに果たしてきた役割の大きさを、改めて認識させられます。あわせて、いろいろな意味で、畏れ、を失った人間たちの今を考えさせられる本です。
川崎から青梅、御嶽神社、三峯神社・・・と、昔の人々が辿った道筋を訪ね歩いてみたくなります。
紙の本
オオカミの護符
2012/09/14 14:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:blind driver - この投稿者のレビュー一覧を見る
途中までは楽しく読んだが、最後のところで陳腐な結論付けをしてしまったところが残念な気がする。謙虚な姿勢で書き始められているのに、途中から「私はこうして立派なことをやっているのに、皆さんは・・・」と次第に市民活動家から説教されている気分になってしまった。テーマが面白かっただけに、最初のアプローチのまま、やみくもに結論を求めず「趣味の報告」というスタイルでまとめて欲しかった。