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商品説明
ユリノキが街路樹として広まったのはなぜ? イチョウの木が信仰の対象になった理由は? 歴史の証人とも言うべき樹木を紹介しながら、都市における公園や神社の歴史やエピソードを解説する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
渡辺 一夫
- 略歴
- 〈渡辺一夫〉1963年生まれ。東京農工大学大学院修了。森林インストラクター。農学博士。著書に「森林観察ガイド」「イタヤカエデはなぜ自ら幹を枯らすのか」など。
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紙の本
公園や神社の現在の姿を樹木の性質から説明する。
2016/06/12 11:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
森林インストラクター。著者紹介の肩書にはそう書いてある。本書では、樹木を専門とする著者が、公園や神社の樹木について成り立ちや魅力を解説する。
各章は「眠れなくなったプラタナス」「戦争に翻弄されたツツジとハナミズキ」など、それぞれの樹を中心としてまとめてあるようなタイトルがついている。しかし実際は「新宿御苑」「日比谷公園」という形で、それぞれの地域の成り立ちを描いたといった方がよさそうなまとめ方である。それぞれの場所の歴史や現状を語る中に「多く植えられたがなくなってしまった」「後から増えてきた」などの形で、樹木それぞれの性質からその理由を説明してある、という感じであろうか。
日本初の西洋式庭園とするために植えられた樹木も、気候の違いで増えることができないこともある。それぞれの時代でちがう目的に使われたため、植えられる樹木が変わってきた場所もある。現在その場所に行ってみれば、それらの長い歴史が「苔むした大木」や「新しく芽ばえた若木」という目に見える形になっている、ということなのだろう。樹木は人よりも長く生きることが多いだけに、その変遷を直接目にすることができる。このことは公園や神社だけでなく、山でも町の中でも見ようと思えば見ることができる「れきしとくらし」の関係なのだろう。
木は長い間同じ場所で生きてそこに立っている。大木になれば、もしかして明治維新を見たことがあるとか、関東大震災を生き延びたというものもあるだろう。そう思って向き合えばまたひとしおの感慨を感じることになりそうだ。
タイトルから「樹の話」と思って手に取った本書だったが、「場所を考える話」の本であった。しかし、「樹から場所の歴史」を見るというやり方を教えてもらった気がする。
本書では東京近郊の公園・神社だけが掲載されている。是非もっとほかの地域の木々の話を書いていただきたいものである。