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2012.02.11-12
◆学んだこと
○この本のメッセージは?
複雑さは必要でもあり扱えるものである。
○なぜ複雑さは避けられないのか?
*複雑さ:世界の状態を表すために用いる。
*分かりにくい:心の状態を表す。
*複雑さを減らすことではなく、管理することによって扱いやすくなる。
*飛行機のコックピットは複雑に見えるが理解可能。
*理由:合理的な組織性、モジュール化と構造、パイロットの訓練
*簡単すぎるものは退屈、複雑すぎるものは混乱する。
*理想的な複雑さのレベルは動く標的。
*我々がエキスパートになればなるほど、より複雑さを好むようになる。
○簡素さは心の中にある?
*概念モデル:モノがどう働くかについて、人が持つ基本的な信念構造。
*概念モデルは複雑な物理的実態を、利用可能な、理解できる頭の中の概念に変換する助けになる。経験への理解、他者への説明、感じ方に適応。
*デザイナーの仕事は、人々に適切な概念モデルを与えることである。
*テスラ―の複雑性保存則:ユーザーにとって使いやすくすればするほど、デザイナーやエンジニアにとってより難しくなる。
○簡単なものがいかに我々の生活をややこしくするのか?
*自分のためのサインは非常に役に立つが、他人のサインは悩みの種。
*単純なタスクでも、たくさん集まると混乱させてしまう。
*複雑さは、選ぶべき正味の情報量に左右されることがしばしばある。
*使っているモノが、可視性、ナッジ(軽いひと押し)、シグニファイア、機能の強制、フィードバックを備えたときに、人はうまく機能する。
○社会的シグニファイア?
*人の活動の痕跡。我々はその人たちの跡を辿ることができる。
*ある種のインジケータ。知覚されたアフォーダンス。
*社会的な解釈、社会システム、文化的な仕組みによって決まる。
○人間支援のデザイン?
*我々のテクノロジーとのインタラクションを社交的なものにする。
*知性があろうとなかろうと、社会的なマナーは必要だ。
*現状の孤立した、文脈に無関係な道具では社交的になり得ない。
*社交的なデザインは、低次レベルのタスクだけでなく、高次レベルの活動もサポートするだろう。
*望みのライン:公園の芝生などで、人が作った踏み跡。
*望みのラインは、人々が現実的にどのように振る舞うかを教えてくれる。
*ポール・オトレの『ドキュメンテーション概論』 (1943)
*ヴァーネバー・ブッシュの「メメックス」 (1945)
○サービスのデザイン?
*我々が製品に対して持っている総合的なエクスペリエンスは、製品自体をはるかに超えたものである。すべては期待に関わっている。
*サービスは人を助けるためにある。人によって提供されている。
*現在のサービス研究が業務や経営の効率化に集中しているのは間違い。
○待つことのデザインって?
*待ち行列の6つのデザイン原理
1.概念モデルを提供すること
2.待つことが適切であると受け取れるようにすること
3.期待に応える、あるいはそれを上回って応えること
4.人々の心をとらえておくこと
5.公平であること
6.終わりと始まりを強調すること
*デザインによってイベントの記憶を素敵なものにする。
○複雑さに対処する ― デザイナーと我々とのパートナーシップ?
*サイト、モード、トレイル(過去の知識、現在の知識、未来の知識)
*アフォーダンス:生体の持つ可能性とモノの持つ可能性との間の関係性であって、存在に気づくか気づかないかには関係なく実世界に存在する。
*簡素化の方法:構造化、再概念化、モジュール化、自動化、強制選択機能、ナッジとデフォルト、学習の補助
○複雑さに対処する我々の規則?
*受け入れよ
*分割統治せよ
*ジャストインタイムで学べ
*理解せよ、記憶はするな
*他の人をよく見よ
*実世界の知識を使え(シグニファイア、アフォーダンス、制約)
*実世界の知識を使え(サイン、ラベル、マーカー)
*実世界の知識を使え(リスト)
◆次に学びたいこと
○サービスのデザイン
○「経験」と「期待」はセット?
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アフォーダンスとは生体と者の関係性であって、その存在にきづくかきづかないかにかかわらず環境に存在する物です。しかしノーマンはユーザーに知覚されない限り存在しないもんと同じとして、社会的シグニファイアとして説明。p99から社会的シグニファイアの説明。
など、印象的な考察が多くて面白い本でした。
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暮らしを豊かにするために複雑さは必要、という主張に目からウロコ。
確かに電話しかできない携帯は売れないよなぁ。
複雑なものをシンプルに見せるためのヒントが、ダメなデザインの例を挙げながら書かれています。
ただ翻訳がちょっとなぁ…。
シグニファイアって言葉は、何度読んでもすんなり頭に入らないし。
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多くのデザインが複雑なのは、現実が複雑なことの反映である。
シンプルであればわかりやすいというわけではない(反例:5個並んだ電灯のスイッチ。どれがどれかわからない)
複雑であればわかりにくいとは限らない(反例:飛行機のコクピットは一見複雑だが訓練されたパイロットにとって使いにくいわけではない)
メンタルモデルに合致する形態であると使いにやすい、メンタルモデルがない・もしくは合致しないと使いにくい。
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プロダクツデザインの話からはじまり、社会のあらゆるサービス、ビジネスモデルのあり方まで、結局人生は複雑なものなんだなぁと、思う。iPodが優れていたのは「製品」ではなく、いかにシンプルでわかりやすい「サービス」だったというのが最もわかりやすい例。面白い本だったけどカタカナが多くて読むのに苦戦しました…。
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こちらで扱ったD.A.ノーマンの最新刊。
『アフォーダンスからシグニファイアへ - A Successful Failure』 http://blog.livedoor.jp/lunarmodule7/archives/3283889.html
知覚されたアフォーダンスであるシグニファイアの概念について丁寧に説明されている。『誰のためのデザイン』において考察された内容と重複する部分もあるが、時代を経てより整理されたように思う。
また、複雑さをいかに扱うかということをについて多くの紙面を割いている。一般的にシンプルなデザインが優れたデザインとされる場合が多いが、シンプルさも混乱を与える元となる。シンプルな操作系を体現したと言われるiPhoneは果たして使いやすいのか? 複雑さと共に暮らすためにデザインはどうあるべきなのか、興味深い論説が展開されているので、UI屋ならずとも一度読んでみてもらいたい。
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複雑さは避けられないが、良いデザインがあれば、人にわかりやすくすることはできる。
人間の活動そのものが、複雑さを創り出している。だから、簡単=単純に、とはできない。きちんと、デザイナーが仕事できる領域を作るべきなんだな。何事も。
人間側から生まれて、だんだんシステム側に移動して、見えなくなって、そうやって技術が進歩していくのかな。
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「誰のためのデザイン?」で単純さの重要性を説いた著者が一歩考えを進めて複雑さについて考察した一冊。
誰しもが思う「シンプルが一番」という認識と、当人も含めた社会から要請される複雑さの扱い方。
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デザインが世界を作るのではなく、世界がデザインを作るのだと改めてしみじみ。世界はそもそも複雑でありテクノロジーはますます複雑の加速度を上げている今、シンプルの先にある複雑さとの共生を語る本書のメッセージには深いものを感じます。軽い語り口なのに。そもそも複雑さへの対処で、受け入れる、小分けにする、その時その時、記憶じゃなくて理解、他人を見る、実世界の知識を使う、なんてたたみ込まれると、これって人生そのものの対処じゃん、と思ったりします。たぶんちょっと前のアフォーダンスと同じように、シグニファイアも時代のキーワードになると思いますが、まだまだ理解出来ていない気もするので、これからです。
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デザインについての大きな知見が得られる。ケン・シーガルの『Think Simple』と合わせて読むと良いです。
シンプルさは大きな武器で、デザインはとかくシンプルであるべきと言われる。一方で現実の世界は複雑である。デザインの大きな仕事は、その現実の複雑さを整理し構造化し、ゴールへ繋げることである。(そのゴールはエクスペリエンスであり、大抵はシンプルさが適切な手段となるから、『Think Simple』とこの本が矛盾するわけでは無い)
良いデザインは必ずしもシンプルである必要は無い。現実が複雑であり、その複雑さを反映したデザインであり、かつその反映が明示的で適切なアフォーダンスをもったデザインであればシンプルでなくても良いデザインと言うのが有り得る。54ページで「簡単さそれ自体に、必ずしも価値があるわけではない」と、極めて簡潔に書いてあるのはそういうことである。
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「シンプル イズ ベスト」も良いが、シンプルで分かりづらいものより複雑でも理解しやすいものを目指す。
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いけてる.人間工学てきな本はいくつか読んだが,アンケートの取り方や,実例紹介程度で,本質に踏み込んだものがなかなか無かった.この本はデザインの定義,意義,位置付けなどがしっかり著者にあることをにおわせる内容となっている.こういうロジックがほしかった.
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認知心理学にもとづくデザインの大御所、ノーマン博士の最新刊(2011年)。日本では1990年に出版された著者による名著『誰のためのデザイン?』では、人が対象に対して使い方や機能に関して抱く「概念モデル」を適切に構築することが大切で、それにはモノがその使い方を表明する「アフォーダンス」が重要な役割を果たしている、というような内容だった。それから20年たって、技術が進歩し、さまざまなものが自動化し、多くの情報量を持つようになった現代のデザインを見ると、当初の理論にさらに補足、修正が必要になったようだ。
大きな補足として、「使いやすさ」と「簡単さ」は違う、ということ。これは本書のタイトルにも関連していて、実世界は複雑であり、簡単なもので実世界に対応することはできない。デザインの仕事は、複雑なものをいかに使いやすく見せるか、である。修正としては、「アフォーダンス」という用語をやめて「シグニファイア」と変更したこと。これは、アフォーダンスの本来の意味が、人が気付こうが気付くまいが、モノが発揮している内容を指しているため、ユーザーに気付かれないアフォーダンスを作って満足するデザイナが現れたことへの警告でもある。
さらに現代に対応するため、サービスデザインに関する論考が盛り込まれたのもポイントである。モノと人の動きの全体として、適切な概念モデルを構築し、使いやすさや心地よさを生み出すことについて、分析されている。サービスデザインに関して、具体的は手法はいろいろな本で紹介されているが、理論面を説明している本はあまりない気がするため、貴重である。
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共感するところはとても多かったですね。ローランドのキーボードの例も挙がっていました。笑えるほど使いにくいことは容易に想像できます。
そして、いつしか私たちは全くマニュアルを読まなくなりました。
昔は機能が簡単だったのか、わくわくしてマニュアルを読んだものです。マニュアルを読まないと全く使えなかったからかもしれません。
シグニファイアー、エクスペリエンスとは・・・思い当たります。
世の中、わかって眺めると面白いです。これからも注意してみていこう、と思いました。
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テクノロジーの進展と共に我々の社会はますます複雑さを増しつつあり、一見すると複雑さは「悪」と捉えられることもしばしばである。しかし、ここで人間中心主義のデザインやユーザインターフェース提唱の第一人者であるドナルド・ノーマンは、「複雑さ」と「分かりにくさ」を切り分け、状態としての「複雑さ」ではなく、心理的知覚である「分かりにくさ」が悪であることを主張する。
なぜ、物事が複雑になるのかといえば、それは我々の人生が複雑であるからである。そして、「複雑さ」を「分かりやすさ」に転化するために、以下のようなアプローチが必要であることを説く。
・人とモノ/サービスの間の一連の行為やインタラクションの流れにを「概念モデル」として提示すること
・ある行為を取らせたくない場合には、「強制選択法」により、その行為が取られないようなデザインを設けること
・環境が人に対して特定の行為を促すような関係性である「アフォーダンス」が不足しているのであれば、「シグニフィア」(ドアの取っ手は、そのドアを引っ張ることを示唆するシグニフィアであり、フラットなドアは押すことを促すシグニフィアである)を人為的にデザインすること
本書の「デザイン」という言葉が意味するところは何もモノだけが対象ではない。むしろ、サービスにこそデザインが必要ということが繰り返されており、経営学におけるサービス・マネジメントの観点からも大いなる示唆が得られる。
具体的には第7章の「待つことのデザイン」では、待ち行列の不快感を低減させるために6つの具体的な指針が示される。
1.概念モデルを提唱すること
2.待つことが適切であると受け取れるようにすること
3.期待に応える、あるいはそれを上回って応えること
4.人々の心をとらえておくこと
5.公平であること
6.終わりと始まりを強調すること