ライヘンバッハの奇跡 シャーロック・ホームズの沈黙 （創元推理文庫）

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ワタクシ、実はホームズにはそれほど詳しくない。中学生の頃に児童用のものを読んだくらいか・・・。そして本書に登場するもう一人の主人公である幽霊狩人トマス・カーナッキにいたっては、その名を聞いたこともなかった。しかし、故あって本書を手にすることとなり、まずその厚さと文字の小ささにかなり引いてしまった。読み切れるだろうか、と。もともと冒険ものは苦手分野である。
しかし、読み進めるうちに不安はどこかへ飛んで行ってしまった。

冒頭のカーナッキとアンナが出逢い、滝から突き落とされた男を救い出すまでの間は正直言って少々つまらなかった。やはり冒険ものは苦手だと言うことを再認識させられる思いで読み切ったのだ。けれど第二部「疑問と解決」で語られる天才的犯罪者ジェームズ・モリアーティーの回想録に入ってからは時間を惜しんで読み進めた。それまで遅々として進まなかったページをめくる指が嘘のように早くなった。
モリアーティーがある女性と出逢い、人の運命を操る方法を目の当たりにしながら、ついには自分もその方法を利用するに至る過程はかなり興味を惹かれた。人の行動が本書で語られるように方程式に当てはめて予測できるものではないとは思いながらも、見事な展開に魅せられたのだ。

本書は「回想のシャーロック・ホームズ」に収録されている「最後の事件」と、「シャーロック・ホームズの生還」に収録されている「空家事件」の間に起きた事件という設定である。もちろん両書も手元にあるので再読する予定であるが、「幽霊狩人カーナッキの事件簿」も入手せねば！

単なる冒険小説にとどまらない非常に魅力に溢れる物語であった。
もう少しホームズとカーナッキに関する知識を身につけてから再読してみると、新たな発見が得られるかもしれないと思うと、楽しみである。

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　幽霊狩人カーナッキと、シャーロック・ホームズの競演、ということで、ものすごく期待して買ったのですが……。

　……うん、久々に、出版社にお布施をしたと思おう、と、自分を慰めた本でした。

「滝から落ちてきた名探偵、助けたのは幽霊狩人」なんて帯のコピーを見たら(ましてカーナッキシリーズには、事件の犯人が幽霊ではない、普通のミステリーも多々あるのですから)、この二人がタッグを組んで、ニセの幽霊騒動の裏にある巨悪犯罪を暴くとか！
　オカルトなんかペッ、なホームズと対立しつつ、電気式五旁星を手にしたカーナッキが、結果として二人で心霊事件やクトゥルー絡みの事件を解決するとか！
　そういうのを期待するじゃないですか、ええ！

　―――されど蓋を開けてみたら出てきたのは、「実はモリアーティはとてもいい人でした」という過去話を、延々読まされるだけだったという……。　で、その良き夫、良き父親だったモリアーティが豹変したのは、悪霊に憑依されたからだった　→　モリアーティの死後、その悪霊はなんとホームズの頭脳を狙う！　という展開は面白いとは思うんだけど、全体からしての占める分量があまりにも少なすぎ。

　という、はっちゃけ感も爽快感もない、欲求不満ばかりが残る一冊でした。私にとっては。

　あと、作中の考証が甘い(うまくごまかせていない)のも気になりました。
　この時代の女性のウェストが60cmっていうのは太すぎだろういくらなんでも……　←　体格もうんと小さいし、コルセットもつけているので、下手したら50cm行く。

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ホームズのパロディ＆パスティーシュ物。本作のもう一人の主人公カーナッキは知らなかったのだが、原作を読んでみたくなった。
解説にもあるように、ホームズのライヘンバッハ以降の「大空白時代」、「ホームズと○○」、オカルト風味、モリアーティ教授の過去についてなど盛り沢山だけどうまくまとまっていたように思う。

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ホームズもののパスティーシュ、かつ「ライヘンバッハ」といえば、ホームズ不在の期間を埋める話だと思ったが…。残念。
全く、何も予備知識がなければそれなりに面白かっただろうけれど、どうしても拭えない違和感。語り手をめまぐるしくかえるという技も、なんだかうるさい。
ホームズの人となりや時代の描き方、それから、ホラーの要素。
モリアーティが元は善人だったとか、実はもっとすごい頭脳を持つ女性がいたとかの設定そのものはいいとして、「それは違うだろ」の突っ込みどころ満載。中で一番感じたのは「血なまぐささ」。もちろんホームズものにも血がまき散らされている現場はないわけではないけれど、これだけどばどば流血すると…。やっぱり違うよなあ。アメリカ人っぽい著者の粗さが目立つ作品。
なお、「カーナッキ」というもう一人の登場人物も古いシリーズ物の主人公なのだそうですが、未読です。

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ライヘンバッハで知り合ったアンナ・シュミットとピクニックに出かけたカーナッキ。そこで目撃した争う二人の男。滝壺に落ちた男を助け病院へ。サイレンスと名付けた記憶を失った男を狙う組織。モリアーティ教授の過去。アンナとモリアーティ教授の関係。