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商品説明
太平洋戦争中、零戦に乗り、特攻に散った日系アメリカ人・松藤大治。運命に翻弄されながらも毅然と生きたその生涯から、日本人とは何かを問う歴史ノンフィクション。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
門田 隆将
- 略歴
- 〈門田隆将〉1958年高知県生まれ。中央大学法学部卒。雑誌メディアを中心に、政治、経済、司法、事件、歴史、スポーツなどの幅広いジャンルで活躍。著書に「風にそよぐ墓標」など。
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紙の本
戦争という狂気
2011/09/01 21:43
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こぶた - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカへ移民として渡り結婚して二人の息子に恵まれ貧しくても幸せな家族はいやおうなしに大恐慌に苦しめられ第二次世界大戦が起こり国と国のはざまで
悲劇に巻き込まれる。
この家族の長男松藤大治は子供のころから文武両道に優れ、外交官になる夢をかなえるため単身日本へ帰国し、中学を経て難関の東京商科大学へ入学する。
そして剣道と勉学に励む日々に戦争が暗い影を落とし始め、学徒動員、パイロットとしても優秀な彼は
特攻隊として出撃し沖縄の海に消えた。
アメリカと日本を繋ぐために外交官になりたいという夢を抱いて日本へ渡った彼はアメリカ国籍を持つため
戦争に行かなくてもよかったのに
彼は日本軍の士官として戦いの場に向かっていった
それはきっと日本人収容所にいる両親のため、
そして次の時代を生きる人たちのためだったのだろうと思う
優秀な若者を学徒動員の名のもとに
勝つ見込みのない地獄図のような南方へ
泥沼化し日々劣勢になる北方へ
送り出し
そして
敵艦へ飛行機もろとも飛び込む特攻隊を編成し
戦争を終結しようとしなかった軍部の愚かさは
次の時代に絶対必要だった若者たちを死に追いやり
残された家族を悲しみの底に沈めた。
出撃して逝った彼等は日本に勝機がないことを十分知っていた上で
だまって戦地に赴いて行った
それも次の時代を生きる人たちのためだったのだと思う
そしてあの戦争から66年が過ぎた。
現代の社会はたくさんの人たちの犠牲の上に成り立っている。
戦争は何も生み出さない
生み出すものは悲しみと憎しみだけ。
前途有為の若者たちを無駄死にさせた
日本軍には憎しみしか感じない。
二人の息子を持つ母として
戦争で亡くなった子供たちの母親たちの気持ちに思いをはせるとき
胸を締め付けられるような悲しみを持つ。
戦場で命を落とした人たち、空襲で命を落とした人たちの死を悼みながら
ニ度と愚かな戦争が起きないことを心から願う
紙の本
惜しい人材をなくしたと言わざるを得ない重厚なノンフィクションでした。
2024/02/20 20:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひでくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカに生まれ、日系アメリカ人として育ち、日本人として亡くなった特攻隊員の物語です。曽祖父も日系収容所にいたので、ひかれるように本作を手に取りました。
故人は人柄も、文武の才覚もあり、誰からも好かれていた様子が伺えます。彼が生きていれば、戦後の日本にも大きく貢献したことでしょう。15歳で来日し、友に出会い、師に学び、あっという間に駆け抜けた生涯。本来アメリカ国籍を有する松藤少尉は入隊の義務もなく、徴兵も拒めたはずでした。しかし、彼は戦火が迫る日本に留まることを決め、学徒出陣に伴い海軍に自ら志願するのです。日本が負けることを知りながら、後輩達のために死ぬんだと言って。