紙の本
幽霊のいる生活
2011/08/15 00:45
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Shinji@py - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒頭、著者は嘘を書かないことを強調する。幽霊のことを書くのだからしかたない。しかし、本当かどうかなど、どうでもいい気になるのが、川端康成邸を訪問したときの話だ。
そのとき川端康成はすでに他界していたが、秀子夫人の話すことが尋常でない。「ついこの間」三島さんが訪ねてきて、「とてもお気の毒なお姿だから」「大変なお力のあるお坊様に」お願いしてお首だけは元通りにしてもらったのだという。ネタばれにならないように、あとは本書を読んでほしいが、ご夫人の話す内容、話し方、そしてその主を亡くしたお屋敷までが、まさに川端康成の晩年の小説の世界そのものなのだ。こういった環境の中で川端文学が生まれたのかと思うと、なにか、うれしくなった。
本書は、川端康成邸でのことを書いた「三島由紀夫の首」をはじめ、幽霊にまつわる話(あとがきを入れて)16編を収録する。世界中を探しても広い意味の幽霊が登場しない文化はおそらくないだろう。今でこそ非科学的といわれ敬遠されているが、信じる信じないではなくて、幽霊に対してもう少し適度な距離の取り方があってもいいのではないかと思った。
紙の本
怖い事は怖いが
2017/07/31 00:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
怖い話で読者を震え上がらせようという本ではなく あくまでも私はこういう事を体験しましたという一冊。筆者はどちらかというと怖い話より自分の生い立ちを語りたいようだ。
投稿元:
レビューを見る
http://kumaniac.blog99.fc2.com/blog-entry-438.html
投稿元:
レビューを見る
書名こそ違えど、前作『日々是怪談』の続編である。 今作では、著者曰く「もう、あの話を書いてもよいだろう」ということで、前作でも【三島の首】という題で書かれた故三島由紀夫先生に纏わるエピソードが、【三島由紀夫の首】という題で、完全版として掲載されているのだが、この話が物凄い「文豪怪談」となっている。 昭和の文豪の逸話が大好きな人にはぜひ読んで欲しい一冊。
投稿元:
レビューを見る
日経新聞書評2011年6月26日
烏兎の庭 第四部 書評 3.17.12
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto04/diary/d1203.html#0317
投稿元:
レビューを見る
ノンフィクション作家と幽霊。
相慣れない二つの存在が、どう作品になるのか。
タイトルを見ただけでワクワクした。
結果から言えば、残念。
「幽霊」と一言言っただけでは説明できないような体験を、
著者はしている。そしてそれらの現象を、ノンフィクション作家らしい
スタンスで受け止めている(要するに嘘はないだろう)。
しかしながら、いちいち怪異に対して「邪推」が入ったり、
決めつけっぽい描写が度々目についてしまう。
それこそ、邪推なしに出会った出来事だけを淡々と語って欲しかった。
期待はずれという意味では、面白み半減。
投稿元:
レビューを見る
著者曰く、霊感が強いのではなく、むしろ鈍感で、ただちょくちょくそっち系の不思議事件に出逢ってしまう才能だけがあるらしい。本来怪談話専門の雑誌(メディアファクトリー「幽」)に書かれたこの本の各記事も、ノンフィクションライターらしく、小難しい表現も使わず、言葉遊びもなく、あった事実(?)を淡々と記すのみ。特別怖がらせてやろうとするあざとい構成も取らない。
(続きはブログで)http://syousanokioku.at.webry.info/201108/article_2.html
投稿元:
レビューを見る
〝嘘は書かない〟〝脚色はしない〟をモットーに、30年以上ノンフィクション作家を続けてこられた著者が、自らの不思議体験をどのように表現し、分析されるのか?ということに興味が湧いて読んでみました。
霊能者や超能力を信じないという著者ですが、ご本人自身は子供の頃から不可思議な体験を数多くされています。それが日常的なことであり、また、ノンフィクション作家であるという立場から、これまであえて他人に語ることはなかったそうです。本書でも、自らの体験をそのまま記しておられるだけで、なぜそのような不思議が存在するのかということについても結論づけたりしておられません。
怪談の語りにはいくつかのパターンがありますが、本書でもそれは否めません。ですが、ここに書かれているのは単なる怪奇譚ではなく、随所に著者の生立ちや人生が垣間見え、それが読み物として趣のあるものにしています。ボク自身は霊魂や迷信、オカルト的なことは全く信じておりませんので、このような体験をされる方は、感受性が強く、想像力が人一倍豊かで、思い込みが激しいために、幻覚、幻聴が起こるのかなぁなどと思ったりしています。が、この本を読んで思ったのは、他者の痛みがわかったり、死者を敬う気持ちが強い人も、在らぬものを見たり聴いたりしてしまうのかもしれないなぁということでした。もちろんそれは、脳の中で起こっていることなのでしょうが、このような方々はきっと、優しい心の持ち主なのでしょうネ。
投稿元:
レビューを見る
自分では霊感が強くはないと言う著者の子供時代からの不思議な体験談を纏めたもの。霊が見える、人が亡くなる際にその人が姿を現す、亡くなる人がなぜか判る、などなどの不思議な話が紹介されるのだが、さしてオカルトちっくな感じもせずに淡々と読ませる。信じる、信じないは其々の自由であるが、一昔前は良くこの手の話を聞いた気もする所為なのか、怪談と言うよりも懐かしい昔話を改めて聞くようでさして違和感は感じない。とは言え、実際にこうした体験をする人が居るなんてちょっとびっくり。そういえばこの手の話しで代表的な体験と言うと「金縛り」だが、それは出て来なかったな。まあ精神科の医師に言わせると金縛りは単純に睡眠障害だそうだが。
投稿元:
レビューを見る
怖い話だったらどうしようと思いつつ、一人で家にいる時に読了。結局、不思議な体験談はたくさん出てくるものの、怖いとは思わず、淋しいような、せつないような気持ちになった。
たぶん、作者の、この世のヒトと、この世のものではなくなったヒトとに、あまり違いを感じていない、偏見のない対しかたが、そんな気持ちを抱かせたのだろう。
私が知っている世界だけが、世界じゃない、当たり前のことを感じなおした。
投稿元:
レビューを見る
ノンフィクション作家ですからいたって真面目に自己の体験を書かれています。あまりに不思議な話ですが、真面目な方に真面目に言われると何かすんなり信じてしまいそう。まぁ、個人的には、分類はファンタジーです。
投稿元:
レビューを見る
文章が上手い。
作者の人生を描くエッセイとして面白い。怖いものを目当てとして読むとちょっと違うかも。
霊との付き合い方。スタンスが面白いのではなく、この人の人との付き合い方のスタンスが面白いんだろうな。
投稿元:
レビューを見る
小島慶子がラジオで怖くて面白いと絶賛していたので読んでみたが、俺にはサッパリ怖くもない。きっと文章から想像する方向や力が違うんだろうなあ。
投稿元:
レビューを見る
極めておもしろく一気に読了。綿密な取材を元に「ウソは書かない」「脚色しない」をモットーにしているノンフィクション作家が、身の回りに起こって自ら体験した「理屈では説明できない」出来事の体験記。
不思議な体験は、「入院時に誰もいないはずの隣の病室から笑い声が聞こえてくる」「火の玉」「土地に住み着く地縛霊?」といった怪談的な話から、「東南アジア各地での魔法使い」「死後も身近にいると感じる愛犬や親しい友人の存在」まで幅広い。
作者は霊魂だとかあの世とか信じているわけでもなく、そっちの方の解説は一切無い。まさにモットー通り、知的に淡々と不思議な体験を描写していて、大変説得力がある。
投稿元:
レビューを見る
(2011.10.11読了)(2011.10.06借入)
著者が、この世のものでない方々を見た、とか、この世のものでない方に出会った人の話を聞いた、とか、いう話が満載された本です。
著者には、この世のものでない方々が見えるらしいのです。見ているときは、この世の人だと思って見ているのですが、他の人に確認すると、見えないとか、誰もいなかったとか言われて、初めて気がつくのだそうです。
何をしてもらいたくて、自分の前に現れるのかわからないので、何もしてあげられないといっています。見えたために何か怖い目にあったとかいうことはなさそうです。
僕の元同僚にも、見えるという人がいたのですが、詳しく話を聞いたことはなかったので、残念です。今度そのような人に出会ったら、この本をネタにいろいろ聞いてみたいと思います。
それにしても、この本を読んだ後は、夜、トイレに行くのが怖かった。
書いてあるテーマは以下の通りです。
「病院にて」「その男の顔」(ピストン堀口)「通じる思い」「三島由紀夫の首」「知らない住人」(換気扇が廻る)「悪魔の木」(マルチニーク島)「兄とコピー」(犬)「謎の笛の音」「元夫の真っ白な家」「坂の途中の家」「バリ島の黒魔術」「霊感DNA」「母からの電話」「「赤い」人たち」「火の玉は何色か?」
●あの世の人(3頁)
「幼いころから、私は不思議な体験をすることが多かった。だが、自分がそういう体験をするのが、何か特別なことだとは考えていなかった。誰にでも起きる現象であり、あの世の人たちはこの世でも生きているのだというふうに、解釈していた。」
●日常茶飯事(15頁)
看護婦さんは病人のお世話が仕事だから、病人が無くなるたびに動揺して悲嘆にくれていたら、仕事は続けられないだろう。
それと同じように、私の場合、妙ちくりんな出来事が日常茶飯事的に起きる。それにいちいちかかわりあって、その意味を穿鑿していたら、とても本業の原稿書きなどできない。
●顔で分かる(50頁)
どうも私は、死期が近い人に会うと、その人の顔を見ただけで、それがわかってしまうようなのだ。もちろん、偶然の場合もある。だが、必ずしも、そうとは言い切れないケースが多々あるので悩んでいる。
●川端康成邸(64頁)
初めて縁側から廊下を通って座敷に案内されたとき、一瞬、ぞくっとする感覚に襲われた。うまく表現するのは難しいが、なにかこう目に見えない人たちが、あちこちに潜んで、じっとこちらを凝視しているような感じがした。白い冷気が私の全身にまとわりついた。
●川端康成夫人の語る主人の自殺の原因(68頁)
「あのときね、主人はかの子さんのことを書いていましたのよ。書きかけだったんです。原稿が。それを見ましたときにね、私はすぐにわかりましたよ。あっ、かの子さんに連れて行かれたって。かの子さんって、そういう方でした。主人はかの子さんが連れて行ったんです」
●三島の遺体を確認したのは(70頁)
三島と川端の親交はよく知られている。私は後に石原慎太郎の『わが人生の時の人々』という本を読んで知ったのだが、三島が市谷の自衛隊総監部を襲って、バルコニーで演説をしてから自殺をした時、その直後に遺体を確認したのは川端康成だったそうだ。
●九年間同棲後結婚(139頁)
九年間同棲したので、この先も大丈夫だろうと正式に結婚した。ところが、結婚してから藩年目に妻から離婚届けを突き付けられた。
「同棲していた頃は精神的に自由で、愛があったけど、結婚したとたんに何かが変わったっていうんです。」
(2011年10月13日・記)