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晒し台に足を突っ込んだ刺殺体という魅力的な謎の提示から始まりますが、謎解きの部分はあっさりとした印象でした。
とにかく登場人物たちがおもしろい。遺産を巡って一喜一憂し、故人を偲ばず祝宴を挙げ、互いに罪を擦り付け合うヴェレカー一族が個性的で、警察と一緒に読者も惑わされます。
退屈になってしまいがちな地道な聞き込みも、変わり者たちが推理と皮肉の会話を延々と交わしているので、最後まで楽しく読めました。
ロマンス小説が本業の著者らしく、登場人物たちの恋愛模様も見物です。
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2011/06/06:すごいトリックがあるわけではないですが、登場人物たちの会話が面白くていつの間にか読み終わってしまう感じでした。
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本業じゃない作家が推理小説を書くと時々ミステリー作家も真っ青な傑作が生まれるんですが、今作に関してはまあこんなものなのかな〜と←←
晒し台に足を突っ込んだ刺殺体、という本格ミステリーファン垂涎の設定に「オオーッ! キタキター!」と興奮してページを繰る手も早かったのですが、容疑者が続々出てきて証言を始めた時点で様子がおかしくなりました。
とにかく会話が多い^^
ひたすら愉快なヴェレカー兄妹の言葉の応酬が展開します^^
推理小説には容疑者達の証言の羅列が付き物ですが、これは証言というよりは、ほとんど「ダーリン」とか「ひよこちゃん」とか言ってるだけですからね。キャラ分けが難しい翻訳ものの中では、ちょっと珍しいくらい面白く読み進められます。
その日常会話の中で動機やアリバイを退屈させずに読者に提示する、ていうのは成功しています。人物が描けていないという本格推理小説の業は、本業じゃない私には関係ないわ〜と言うくらいの軽やかさでクリアしててます。
ただ、肝心の謎解きの部分が…ビックリするくらい呆気ない…(゜゜;)
探偵役の筈のハナサイド警部が全然冴えてないし、寧ろ容疑者の一人が事件解決しちゃうし、推理の糸口も事前に提示されてるとは言え、切り出し方も唐突な気がしました。彼が気付いて何故刑事の貴方が着目すらしなかった?な印象。
それでも、海外推理小説の中では傑出した読みやすさだと思います。キャラクタと読み物の評価は☆4つ。ミステリーの物足りなさで評価を下げて☆2.5で、全体評価は間を取って☆3にしますが、クイーンとかダインで海外ものにウンザリしたわ、な方にはぜひ試していただきたいです^^
月夜の晩、ロンドンから離れた村の広場で、晒し台に両足を突っ込んだ紳士の刺殺体が発見された。動機を持つ者にはこと欠かないが、浮世離れした容疑者たちを前に、ハナサイド警視は苦戦する。そんなとき、思わぬ事態が発生して…。
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ウィムジー卿シリーズのセイヤーズが認めた実力派、と帯にあり購入。帯に偽りなし。登場人物がみな茶目っけたっぷりで生き生きとしていて、少し前の時代の作品なので全体的にお行儀と品が良い作風で、謎解きの構成もしっかりしています。容疑者の親族同士の会話が型破りで楽しい。ミステリだけでなく『高慢と偏見』のようなロマンスも同時進行していて、そちらがどうなるか、というのも読みどころ。安心して楽しめる良作。
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イギリス黄金期のミステリ。
1935年の作品。
月夜の晩に、ロンドンから離れた村の広場で、紳士の死体が発見された。
昔の晒し台に足を突っ込んで状態で。
アントニア(トニー)というヒロインのイメージが強いので、最初はヒロインもののミステリ、コージー系と分類しましたが…いや?
探偵役は、シリーズ物(1作目)としては、ハナサイド警部。
今回のホームズ役は、アントニアの従兄で弁護士のジャイルズが活躍という。
警部とジャイルズが親しくなってしまうのは、現代ならアウトだろうな~。
恵まれた育ちだが大金持ちというわけではない兄ケネス・ヴェレカーと妹のアントニア。
腹違いの兄アーノルドが、ほとんどの財産を継いでいたのだ。
ケネスは画家で才能もあるが、年中ふざけたことばかり言っていて、嫌っていた異母兄の殺人事件にも動じず、財産を継げることを喜び、仮定として様々な推理を繰り広げる。
浮世離れした態度に、周囲は呆れたり戸惑ったり煙に巻かれたり。
妹のアントニアもぶっ飛んでいるが、兄よりは無邪気で率直。
しかし婚約者に疑いがかかっても、殺したとしても気にしないという始末。
アントニアは異母兄に婚約を反対されたために怒って車で駆けつけ、誰もいなかった別荘で一人でくつろいでいたのだ。
つまり現場の田舎町にいたわけだが。
ほかにも次々に怪しい人物が登場。容疑者には事欠かない事件。
果たして真相は?
ミステリ読みなら難しくはないけど、本格物として十分楽しめます。
同時期のセイヤーズやクリスティにちょっと似た部分があり、古きよき時代を思わせ、ゆったりしていてユーモラス。
いかれた連中のお喋りで笑わせるあたりは、クレイグ・ライスも思わせます。
わかりやすくて、ロマンス物作家としても有名だというのも納得。ヒストリカル・ロマンスの草分けだそうです。
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古き良き黄金時代のイギリス王道ミステリーです。驚異的な他殺体の発見から始まり、クリスティばりの人物表現とテンポの良い物語展開で黄金時代のミステリーを存分に堪能することができました!(笑)
ある夜、村の巡査がパトロール中に発見したものは、村の広場に展示されている晒し台にのせられた紳士の刺殺体であった。事件を担当することになったハナサイド警視は大金持ちであった被害者の一族とその関係者に一通り面会するが、誰もに強い動機がありアリバイが無い状況であった。警視を翻弄する被害者一族であったが、そこに、第二の事件が発生して・・・。
この物語は人物構成が上手くできていて、しかもその関係者同士の会話を通して事件と問題点を浮かび上がらせていくという、会話主体の進行と理解が絶妙な形で提示されていました。誰もが怪しく感じる容疑者たちですが、登場人物が一族とその周辺に限られるためそれほど多くなく、その分、個性豊かな人物描写ができたといえるでしょう。そんな人物たちがウィットに富み、時にはブラックユーモアを交えながら繰り出す事件についての深読みの会話は面白いことこの上ありませんでした。これは作者のなかなかの技量ですね。そんなわけで、誰もが怪しいのですが(笑)、ハナサイド警視ならず自分も翻弄されてしまって、一番目をつけていた容疑者はハズしてしましました。(笑)
少しウィットに富み過ぎて、張り詰めた緊迫感に欠けると感じるのは仕方がないところでしょうか。これまでの経緯からして、ラストの神が宿ったとしか思えない真相解明の流れはちょっと手抜きなんじゃないかなあ。(笑)もう少し丁寧に演出してほしかった。
殺された富豪一族内で発生するお互いの駆け引き・疑心暗鬼と、第二の事件というお約束な展開が嬉しい上質の推理小説です。
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月夜の晩、晒し台に両足を突っ込んだ紳士の死体が発見された。
何人かいる容疑者はみな浮世離れしていて、ハナサイド警視の捜査は混乱するばかりで…。
会話がかなりの比率を占める文体が自分には合わず…。どうにもミステリを読んでる気分になれなかった。
その会話の中に犯人の手がかりがふんだんに盛り込まれているので、犯人も動機も簡単にわかってしまう。
で、それ以上に何かこの作品のみそがあるかと言えば、残念ながら見当たらなかった。
タイトルは思わせぶりなのに、肝心のミステリ部分はすっかすかで、読み終わって呆然としてしまった。
ちょっとこれはないな。
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あいかわらずヘイヤーの本は舞台を見ているようです。暗転・ケネス邸にて…という感じで現実感はないですが、娯楽としては楽しいです。推理としては怪しい人物満載で犯人は最後まで予想できませんでした。また、探偵役も満載で誰がなぞ解きをするかもわかりませんでした。軽く楽しむ読み物ですね。
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あーこの作風大好き。事件そっちのけで登場人物たちがキャッキャウフフしてるのが良いです。
ミステリとしては正直アレですが(意外な結末とか、凄いトリックとかそういうの期待してはいけない)、キャラものミステリ風味の作品だと思ってそっちの方向で楽しんだもの勝ちですね。
次作が来年翻訳されるそうですので楽しみ。
イギリスのお茶会のシーンってのは、食べ物が美味しそうに見える不思議。
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読了、微妙なところで60点。
**
鉱山会社の経営者アーノルド・ヴェレカーがロンドンから遠く離れた村の広場の晒し台に足を入れられた状態の死体で発見された。
彼の殺害に利益を得る関係者が多数現れる中、スコットランドヤードのハナサイド警視は容疑者の弁護人と共に真相を追いかけて行く。
**
う~~ん、正直なところ、好き嫌いで言えば嫌いと言いますか、合わない小説でした。
古典ミステリー的なロンドンの雰囲気がきっと出ていたんだろうと思いますがそこが好きじゃないと楽しみ難いのかも、、、
わざと偽悪的に(?)あるいはふざけて警察をからかっている割に後半の小心者っぷりが。
あと物語がひたすら探偵ごっこ的な会話で進みますが、これがまたあまり建築的じゃないのが辛い。
ついでに晒し台の謎もミステリーとしては非常に微妙。
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本格ミステリ。て販促帯にちょこっとしょんぼり。
推理しようと、結構真面目に読んだ。
まーまー面白いんだけど、主人公はだれなんだろ?
これってミステリーではなく、TVの2時間ものサスペンス劇場じゃないの?
作者は読み手に何をさせたいんだ?
終わりまで考えながら読んだんだよ・・・。
推理ではなく、こーゆー背景があるなら、犯人はあの人で動機はあれだろうなー。そんで、こう結末を迎える。
という推測をしたら、そのまんまでしたよ。
方法というか事件の実行についても、話の中で披露される探偵役の人の推測だけで、決定的な答えもなかったし。
(だいたい、あの人はあの場所からどうやって帰ったんだろう?謎だ)
「なに?なんなの?」と最後まではてなマーク付きで読んだお話であったが、解説まで読んで、じつは、作者さんが、ヒストリカル・ロマンスで有名な方だと知る次第。
なんだ!火サスであってんじゃん!!!
ということで、ミステリースキーではなく、ラブロマンススキーにオススメする。
シリーズ1作目とのことだが・・・
で、主人公は誰なの??
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月夜の晩に村の広場で晒し台に足を突っ込んで殺されていた紳士の死体、という印象的なシーンから始まるミステリ。
作者がロマンス小説の大家だけあって謎の解決はけっこうあっさりで、読みどころは登場人物の右往左往の方。被害者の一族など動機を持つ容疑者は多く、変わり者ぞろいで、警察の尋問や身内での話し合いでものらりくらりと韜晦し、勝手に事件を推理して罪を押し付け合う。
海外のミステリにはこのようなエキセントリックなキャラが時々登場して、個人的にはあまり面白さが理解できず読み進めないことが多いのだが、この作品では読みづらくはなく、面白かった。
ハナサイド警視のシリーズ第1作だということだが、こんなに地味な役回りのシリーズ探偵も珍しいのでは。
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ミステリー部分を期待して読むと肩透かしを食らうかもしれないけれど、人物描写とダイアログの上手さはさすがG.Heyerという感じで楽しめた。
シリーズ2作目はいつ出版されるのかな・・・?
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「こちらはエドガー・ウォーレスばりの推理劇を上演するつもりだったのに、おおむねチェーホフもどきの家庭喜劇に巻き込まれている始末だ」
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強烈な個性の容疑者の群れと、悩む生真面目な警視
巨匠セイヤーズが認めた実力派
軽妙な雰囲気の中にしのばせた企みが光る、
知られざる傑作英国本格ミステリ
月夜の晩、晒し台に両足が突っ込まれた紳士の死体が発見される。
彼には、莫大な遺産がありそれをめぐって一癖も二癖もある親類が容疑者として挙げられる。
謎それ自体があまり魅力的でなく楽しめなかった。
読みやすかったが場面転換がわかりづらく、地の文が途切れないのに突然人物が入れ替わっていたりと、
なかなか状況を把握するのに苦労した。
ミステリ:☆☆
ストーリー:☆☆
人物:☆☆☆
読みやすさ:☆☆☆