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商品説明
私は守っているのではなく、守られているのだ、この子に。なずなに。かけがえのない日々とかけがえのない人々を描く待望の長編“保育”小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
【伊藤整文学賞(第23回)】私は守っているのではなく、守られているのだ、この子に。なずなに−。ひょんなことから預かった生後2ケ月の女の子とのかけがえのない日々を描く、長編“保育”小説。『すばる』連載を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
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著者/著名人のレビュー
誰かを守るということ...
ジュンク堂
誰かを守るということで、自分がその想いに守られ、強くなる。
あふれんばかりのなずなへの愛情に胸がつまりました。
中年男が無力な赤子に寄り添おうと右往左往する姿は、滑稽だけれど美しい。
小さな存在に寄り添い、世界の中心を自分の外側に置くことで生ずる心の動静が、秀逸な筆致で描かれた傑作。
書店員レビュー
何気ない日々の大切さを描く
丸善天文館店さん
ある程度の年齢になってくると、眼を見張るほどの驚きや、価値観がぐるりと反転するような衝撃に、
出会うことはあまりない。
だが、小さな赤ん坊ひとり出現するだけで、人生は激変する。毎日が驚きの連続であり、価値観はめまぐるしく変化する。それはもう、間違いなくそうなる。
本書の主人公も、とある事情から、生まれたばかりの赤ん坊「なずな」と生活を共にすることになる。思うようにならない育児に、疲労はたまる一方だ。
だが、主人公も我々読者も気付いていくのである。子供の成長する姿を見る喜びや、自分を信じきってくれるものへの愛しさや、人間が本来持っている優しさの存在や、自分がいかに周りに助けられて生きているかに。
堀江さんは、静謐な文章で、なずなとその周りの人々の変化を、ゆっくりと描いていく。そんな何気ない日々を読む小説だ。私にとっても、本当に大切な一冊となった。
紙の本
これぞ純文学!素敵に満ちた物語です!!
2012/02/03 17:41
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジーナフウガ - この投稿者のレビュー一覧を見る
上質のスピリッツを飲る時みたいに、ちびり、ちびり。舐めるようにして味わいたい。
日常を続ける間に滲み出した灰汁を、丁寧に、丁寧に、掬い取ったかのような、柔らかで、穏やかな文体。
純文学とはこのような小説を指す言葉だと思う。極上の小説である。
旨みのたっぷり備わった、愛すべき物語でもある。本来であるなら、主人公は語り手である菱山なんだろうが、
彼自身も認めているように、赤ん坊のなずなが菱山の所に、よんどころない理由で預けられてからの、
菱山の周辺にいる人々との日々が、この小説の中核をなしていると言っても、決して過言ではないだろう。
いや、更に言及するのならば、物言わぬ、生後2ヶ月過ぎの赤ん坊なずなこそ、全体を通じ、
主人公的な存在だと確定する事が可能だろう。小さな地方都市の、これまた小さな地方新聞の記者をしている、
菱山の関わる人たちが皆、人間味豊かで、魅力的なのも、なずなを育てる菱山にとって、
心の栄養剤となるのに力添えをする役割を果たしていると思う。普段は飄々として、
頻繁に酔っぱらっているが、腕は確かで患者の子供らから慕われている小児科医、ジンゴロ先生の人物造詣、
時々語る含蓄のある言葉が素晴らしく良い。『世の中はなんでも悪と善に分けたがる』
『白黒半々くらいが、ちょうどいいんだ。』菱山の住み暮らすマンションの、
一階に並んでいる数軒の店舗のひとつ、《美津保》のママについての記述も、
その人となりが絶妙に伝わって来る。『新聞記者の取材ってどうなのかわからないけど、
あたしに言わせれば、誰かと誰かを結ぶ距離って、まっすぐなのが最短なわけじゃないのよ』どうであろうか?
日常から当たり前過ぎて、ついつい見過ごされたり、聞き流されたりする、何気ないけれど、
人が、生きていく上で大切にしたい何かを、作者堀江敏幸さんは、徹頭徹尾、真摯な姿勢で書いている。
純文学、何とも素敵ではないか!?。なずなの小さな生命。慈しむとは、こういう心の働きを指すのだろうな、
と感じる。なずなが来てから私の身に起きた大きな変化のひとつは、
周りがそれまでとちがった顔を見せるようになったことだと、語り手菱山は実感している。
『人が人と接するときは、知り合ってからの時間や関係の深い浅いだけではない、タイミングというものがあるのだ。』
『間近にいる人間と、心から真っ直ぐに言葉を交わし、「いま」を見定める、その繰り返し以外にないのだ。
人恋しいときは、誰と話をしても楽しいように。そして、まだ言葉も知らない赤ん坊に話しかけているだけで、幸せになれるように。』
読むと、穏やかで幸せな気持ちになれる事受け合いです。
単純に素敵な小説なので大オススメを致します!!。
紙の本
平行するふたつの物語
2012/09/05 18:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いたちたち - この投稿者のレビュー一覧を見る
生後間もない姪を預かることになった中年男性とその赤ん坊を中心に据えた「保育小説」。
小さな人間の存在と成長の不思議が淡く静かに行き渡っている。
その端で進行するもうひとつの淡い物語の方に私はひかれる。