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新書

紙の本

二流小説家 (HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS)

著者 デイヴィッド・ゴードン (著),青木 千鶴 (訳)

ハリーは冴えない中年作家。シリーズもののミステリ、SF、ヴァンパイア小説の執筆で食いつないできたが、ガールフレンドには愛想を尽かされ、家庭教師をしている女子高生からも小馬...

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二流小説家 (HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS)

税込 2,090 19pt

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商品説明

ハリーは冴えない中年作家。シリーズもののミステリ、SF、ヴァンパイア小説の執筆で食いつないできたが、ガールフレンドには愛想を尽かされ、家庭教師をしている女子高生からも小馬鹿にされる始末だった。だがそんなハリーに大逆転のチャンスが。かつてニューヨークを震撼させた連続殺人鬼より告白本の執筆を依頼されたのだ。ベストセラー作家になり周囲を見返すために、殺人鬼が服役中の刑務所に面会に向かうのだが…。ポケミスの新時代を担う技巧派作家の登場!アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞候補作。【「BOOK」データベースの商品解説】

冴えない中年作家のハリーは、死刑執行直前の殺人鬼より告白本の執筆を依頼された。ベストセラー作家になり、自分を振った恋人を見返すために、ハリーは殺人鬼が服役中の刑務所に面会に行くのだが…。【「TRC MARC」の商品解説】

冴えない作家のハリーは、死刑執行直前の殺人鬼より伝記の執筆を依頼された。ベストセラー作家になり、自分を振った恋人を見返すために、ハリーは殺人鬼に会いに行くが……。仰天のサスペンス。【商品解説】

著者紹介

デイヴィッド・ゴードン

略歴
〈デイヴィッド・ゴードン〉コロンビア大学大学院創作学科修士課程修了。映画、出版、ファッション業界でキャリアを積んだ後、「二流小説家」でデビュー。

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書店員レビュー

丸善札幌北一条店

2011年は国内、海...

丸善札幌北一条店さん

2011年は国内、海外ともミステリは一部を除いてかなり不作の年であった。
そうは言っても年末ミステリランキングで三冠を取るのは容易ではない。
ましてやデビュー作である。「二流」とはアイロニカルなタイトルだ。
しかし読み進めるても、ミステリ的にもサスペンス的にも特に抜きん出た部分は見つからず、
ロジックも若干弱め、途中にはさまれる主人公の書いた小説部も、
本編とはまるで関係なし。どんでん返しもあるが予想の範囲内。ずば抜けて輝く部分は無い。

じゃあつまらなかったのか?コレが面白いのである。
語り口の妙と全体のバランスは、往年の作家が肩の力を抜いて書いたような風格を感じるし、
何より主人公の人柄と「小説への愛」というミステリらしくない部分が読書をつかむであろう。
人に勧める時にちょいと困る、なんだか不思議な作品。
「卵をめぐる~」や本書を持ってくる新生ポケミスは侮れない。

サト

みんなのレビュー172件

みんなの評価3.5

評価内訳

紙の本

知的ハイブリッド小説

2012/01/24 20:26

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:稲葉 芳明 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「それはある朝、ビジネスパートナーでもある十五歳の女子高生の手を借りて亡き母の扮装をしていたとき、死刑囚監房から送られてきた手紙を開封し、ある連続殺人鬼がぼくの大ファンであることを知ったときに始まった」
何とも凄いイントロである。本書を読み始めて2頁目にして早くも、斯くも強烈な一文が読者を直撃する。これはもう期待しないわけにはいかぬと、ワクワクしながら頁を繰って行くと、予想にたがわずその期待は充分に満たされる。本書前半は、この一見判じ物のような「予告」が実際はどのような展開するかをメインに、秀逸奇抜な着想とウィット・サスペンス極上ブレンドの二段構えでたっぷり楽しませてくれる。
 これだけでも元はとれたようなものだが、驚く無かれ、後半戦は読者が唖然とするような展開に君子豹変する。前半のユーモアとお遊びは次第に陰を潜め、ハンニバル・レクターばりのサイコ・サスペンスの色合いが強くなってくる。糊口を凌ぐ為に幾つもの筆名を使い分けてハードボイルト・ミステリー、SF、ヴァンパイアもの等の通俗小説=パルプ・フィクションを書いている主人公ハリー・ブロックの独白と、彼が書いている「小説」の一場面が頻繁に挿入交錯し、<サイコ・サスペンス>と<メタ・フィクション=ジャンル小説論>が同時進行するという、前代未聞の様相を呈してくる。
 一種の<異化効果>というか、全く異質なものを共存させると同時に、現実とフィクションの地層を幾重にも重ねていく設計はそれだけで大したものだが、肝要なのは、それが頭でっかちの実験のための実験に留まっているのではなく、<ミステリー>と云うジャンル小説の極みのような範疇で試みて見事成功している点が凄い。つまり、物語(表層構造)だけ追っても十二分に楽しめるが、意匠に富んだメタ小説の構築(深層構造)を掘り下げながら読むと更に更に楽しめるという、一粒で二度美味しい「グリコ」のような娯楽小説に仕上がっているのである。
 一昔前の筒井康隆が、文学理論と娯楽小説を見事に融合させたような、そんな知的ハイブリッド小説。

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紙の本

海外ミステリを追い続けている人にも、あまり触れたことがない人にも、これから出会う人にも贈りたい

2011/10/06 01:24

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:けい - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ポケミス。早川書房さんから刊行されているポケットミステリシリーズは、世界最大のシリーズです。一番若い101番は、スピレインの『大いなる殺人』。初期はハメット『赤い収穫』、ウールリッチ『黒衣の花嫁』、クリスティー『忘れられぬ死』とファンにはお馴染みの名前が続きます。最新の『ローラ・フェイとの最後の会話』のナンバーはなんと、1852! 今なお、伸び続けるミステリの金字塔です。
 今回、紹介する『二流小説家』は、長らく愛されていた勝呂忠さんデザインのものから水戸部功さんのものにリニューアルされた表紙です。デザイン変更の話は耳にしていたものの、実際に書店で手にとってみた時には、さまざまな想いが溢れてきました。
 内容は、ちょっと複雑。売れないために吸血鬼ものからポルノまで、さまざまなものを手がける中年ライター、ハリー・ブロック。そんな三文物書きのもとに、彼のファンだという有名な犯罪者で死刑囚のダリアン・クレイから自分の独占手記を書かせてやる、という依頼が来ます。この取材と、副業の家庭教師先での教え子クレアとの恋愛ともビジネスパートナーとも言いがたい交流、ハリーが作者であることを知らずに知り合った彼のヴァンパイアシリーズのファンとの微妙な心のすれ違い。この三つを軸に序盤は展開。ここに書きかけダリアンの手記やハリーの作品が断片的に挿入されながら、物語は進みます。
田舎の大富豪のお屋敷で死体が発見されませんし、怪しげな親類やら客人、秘密好きのメイドや慇懃無礼な執事も出てきません。古典的なミステリとはだいぶ違う印象。ダリアンの過去の犯行をなぞるような事件が起こり、ダリアンは無実なのでは、という疑念が生じてからは、うねるようにミステリが展開されます。
「新時代を担う技巧派作家の登場!」とうたわれているように、さまざまなテキストを駆使した新時代の江戸川乱歩という印象。
 幅広いミステリ史をカバーし、今なお歴史を更新しているポケミスの凄みを感じる作品でもあります。
さまざまなジャンルをクロスオーバーさせ、ごちゃまぜ感を醸し出す作品は、近年の日本の傾向でもあります。生煮えのごった煮で、料理しきれていないという声も出てきそうですが、それもまた味わい。日本のミステリ・エンターテイメントは一歩先をいっていたのだ、と思う一方、いや、知らなかっただけでジャンルミックス的な動きは世界的な傾向なのかもしれない、と思い直しました。
自虐的なタイトルのように皮肉もあるシニカルでありコミカル、かつ毒のある作品。ここ最近の海外ミステリの主流はトラウマを描くものであったり、科学的な情報小説であったり、総じて「重いサスペンス」であったように感じます。ポオ、カー、クリスピン、ライスなど古典的・伝統的な海外ミステリの味わいであるコミカルさと毒気をはらんだ本作品は意外と「正当」なのか、はたまた原点回帰なのかはわかりませんが、ミステリ好きには嬉しいテイストです。
 ここ数年のうちに刊行されたポケミスを追いかけてはいなかったのですが、ポケミスは常に世界のミステリの今を提供していたはず。惜しいことをしたな、と反省。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞に輝いたこのエッジのきいた作品を最先端だと感じましたが、もう最前線から二、三メートルは後ろなのかもしれません。
 ミステリの進化は世界中で止まることがないようです。

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紙の本

人生の哀感を醸す書名がいい!2011ミステリーベスト10海外第1位は伊達ではなかった!

2012/06/26 16:52

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:書子司 - この投稿者のレビュー一覧を見る

なんと言っても「二流小説家」というタイトルが秀逸。なんとなく自虐的なのにそれでいいと肯定しているようでいいよね。原題はserialist=連載物作家らしいのだが、日本語訳のタイトルにはまってしまい、思わず手にとって読み出してしまった。
読んでみると、主人公であるハリーの人物造形がいい。その生き方とか人間性とかにシンパシィを感じて、すぐに物語に引き込まれてしまう。
ストーリー自体はシンプルそのもの。ニューヨークで、様々なペンネームでポルノ小説からSFまでいろいろな小説を書き、生活している、タイトル通り二流のライターであるハリー・ブロックに、4人の女性を惨殺した連続殺人鬼である死刑囚のダリアン・クレイから自分の独占手記を書かせてやる、という話が来る。ただ、それには引き替えとしてダリアンを熱烈に信奉する女性を取材し、彼女たちを主人公にしたポルノ小説を書くこと、という条件が示される。悩んだ末に、まさに二流から脱出するチャンスと引き受けたのだが……。取材を始めるや、ばたばたと彼女たちがダリアンの手口をなぞるように虐殺され、連続猟奇殺人となり、しかもハリーが犯人と疑われる始末。ダリアンは犯人ではないのか?真犯人は他にいるのか?モダンサスペンスならここから二転三転して意外な人物が犯人となるのだろうが、この物語は、極めてストレート。ダリアンと直接対決をし、見落としていた手掛かりに気づいて、真犯人に辿り着く。ハリーの容疑は晴れるのだが、ダリアンの独占手記は出せなくなり、副業の家庭教師の教え子であり作家業のマネジメントもしてくれていたクレアとの関係も恋愛へ進むことなく、海外へと去ってゆかれ、なんとももの哀しい結末を迎える。
でも、それもまた「二流小説家」に似つかわしいエンディングかも、と妙に納得してしまった。クレアとの恋愛もうまくいく、小説も発表できるではタイトルとマッチしない。これで人生はいいのさ、という声が聞こえてきそうで、文春恒例のミステリー通、書店員が選ぶ「2011ミステリーベスト10」の海外第1位にも選ばれたのも当然かと……。読んで損のない1冊であった。

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紙の本

年間1位は過大評価

2013/05/07 10:34

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読み猫ニール - この投稿者のレビュー一覧を見る

原題「the serialist」は、「シリーズものを書くような類の三文小説家」という慣用句との由。
このタイトルは作中登場する連続殺人犯をも指す、ダブルミーニングではないかと思うのだが、どの書評を見てもそういう記載は無かった。
ラスト数行の「思わせぶり」な記述は、作中作のヴァンパイア・シリーズを準えているだけで、重要な意味は無いものと思うが、再読しないとわからない。

最後まで面白く読んだが、「このミス」「文春」の年間1位ダブル受賞は、正直過大な評価。この勲章だけが余計。15位くらいの番付が、もっともふさわしい立ち位置かと思われる。
ちなみに本作にはキュートな女子高生が出てくるのだが、脳内ではクロエ・グレース・モレッツで再生されていた。

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紙の本

親しみあるキャラ「ハリー」

2012/08/06 00:41

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:star - この投稿者のレビュー一覧を見る

作家にとどまらず、生き方も二流なハリーに親しみやすさがあって、ストーリーを楽しめました。
途中途中のハリー著の官能小説もなかなか面白かった。

だけど、個人的にはミステリー要素が盛り上がりにかける。
描写が長いせいかな…

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紙の本

書籍「二流小説家/デイヴィッド・ゴードン著」自分らしく生きるとは?考える

2012/08/02 18:09

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:soramove - この投稿者のレビュー一覧を見る

書籍「二流小説家/デイヴィッド・ゴードン著」★★★☆

「最近この形の海外ミステリー本を
書店で多く見かけるようになった、
需要と供給で仕方ないのかもしれないが
1.000円くらいに抑えてもらいたいものだ、
買って読み始めてつまらないと
ダメージが大きすぎるからね、
この本は“当たり!”だったので惜しくないけれど」


主人公ハリーはニューヨーク在住の売れない中年作家。
ペンネームを使って様々なジャンルの小説を書いて
なんとか糊口をしのいできたが
獄中の連続殺人鬼から告白本の執筆を依頼され、
面会に行くが死刑囚のダリアン・グレイから
真実を明かす代わりに
「自分だけの為にポルノ小説をけ」と言われてしまう。


どんな真意があるのか分からないまま
目の前の美味しい餌に食いつくように
ハリーは小説を書き始めるが
ダリアンと同じ手口で女性たちが連続して惨殺され
ハリーは嵐の真っただ中に放り込まれるのだ。


随所に彼の本意ではないペンネームで書いた
ヴァンパイア小説やSF小説がちりばめられ
それらを含めてハリーの現状や
追い詰めらた気持ちが伝わってくる、
巧みな構成だ、
謎解きより事件が起こった時
主人公がどんな行動をとるか
そんな反応を見せるかに興味をそそられる。


映画で時々、主人公が画面のこちら側に向かって
話し出すことがあるが
この小説でも時々、独白のように
こっちの気持ちを言い当てる、
そんなとき、作者もミステリー好きなんだろうなと
妙な共感を覚える。

二流小説家が巻き込まれた
小説のような現実、
また気になる作家を見つけた気分だ、
次の作品も楽しみに待ちたい。


★100点満点で75点★

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紙の本

アメリカの狂気を描写してゾッとする現実を見せつけるが、作者が仕掛けたユーモラスは成功しているか。

2012/01/07 18:38

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

昨年の『このミステリーがすごい!』『週刊文春ミステリーベスト10』など海外部門ランキング第1位に挙げられた話題のミステリーだ。この手のランキングは国内部門ではどうかと思うものも多いが海外部門は比較的妥当なところがあり、それでは読んでみる価値があるかもしれないと手に取ったしだい。

タイトルは「二流小説家」とあるが、原題は『The Serialist』。私にはなじみのない言葉だったが、どうやら連載小説家と翻訳される概念のようだ。
主人公の「私」はハリー・ブロック。ポルノ雑誌の性の相談コーナーを主宰し、「アバズレ調教師」のペンネームで淫らなセックスの手ほどきをする。ポルノ風SFはバングストローム、猟奇ミステリーはデューク・ジョンソン、血みどろのヴァンパイア小説は女流作家としてシビリン・ゴールド、ポルノ小説はトム・スタンクス といくつかのペンネームで安手の小説を手がけてきた。家庭教師のアルバイトで糊口をしのいでいる、いかにも売れないB級の小説家そのものだ。

アメリカの読者ならば誤解する向きもあるかもしれないが、小説家の人格や彼の経験というものはその作品に登場する主人公とは必ずしも一致するものではない。だからハリーはカッコイイ探偵には到底なれそうもない意気地なしであり、性道の達人でもないダメ男である。
かつてジャック・ニコルソンが主演した『恋愛小説家』という映画があった。甘く切ない女心を描くベストセラー作家が、実は頑固で潔癖症で毒舌家、隣人からは嫌われ者の中年独身者で恋愛などしたことがない男という設定。彼が本当の恋を知る成長プロセスをユーモラスに描いた傑作でした。『二流小説家』も似たような「不一致」を浮き立たせた設定だから上等なユーモアを楽しめるかと思わせるスタートがあった。

「ハリーは冴えない中年の作家。………。ガールフレンドに愛想をつかされ、家庭教師をしている女子高生からも小馬鹿にされる始末だった。だがそんなハリーに大逆転のチャンスが。かつてニューヨークを震撼させた連続殺人鬼より告白本の執筆を依頼されたのだ。ベストセラー作家になり周囲を見返すために、殺人鬼が服役中の刑務所に向かうのだが………」
やがて
死刑囚のダリアン・クレイは12年前の事件の無罪を主張している。そしてハリーの取材活動中にその猟奇連続殺人をなぞった新たな殺人事件が発生し、FBIからハリーが犯人と疑われる。この真犯人は誰か。過去の事件では、クレイは無罪なのか。ならばその事件の真犯人は誰だったか。ハリーは真実に迫れるのか。………
とミステリーの骨格がようやく明らかにされる。

倒錯・異常・変態・サド・マゾの色情狂たちが小説の世界で大手を振るのは珍しいことではない。ところがそれは虚構のはずなのに、錯覚してしまうのだろうか、いかにもアメリカらしいと思ったのだが、実際にこれに耽溺するするヤカラがいたるところにいる現実がこの作品には描かれている。私はこのアメリカの狂気は虚構ではなく本物だろうと思っている。
作中、血しぶきが飛び散り、首がちょん切れ、ハラワタが捩れだすというスプラッタースタイルの猟奇殺人が連続する。
驚くことに獄中のこの殺人犯に陵辱されたいと夢見るオッカケ的女性ファンが多数いるのだから、さすがアメリカだと感心してしまった。
イヤァこれは小説だからと笑い飛ばすほど私は大胆ではない。
もっともその道の識者からすれば日本もどっこいどっこいだとおっしゃる向きもあるだろう。

ハリーのおとぼけぶりと事件の残虐性を対比するおかしさ、あるいは『恋愛小説家』にあって不一致の滑稽さを描いている、その理屈はよくわかるのだが………原作か訳者のせいか、それとも私の感性の欠如か、肝心のユーモア精神がすんなりと伝わってこないのだ。

後半になってはじめて事件らしい事件が起こるのだが、ここに至るまでは、実は気が遠くなるような冗長な叙述が続く。
ハリーの著作であるSF、ヴァンパイア小説、ハードボイルドミステリーがそのまま挿入されて、ここに伏線があるのだろうと思ったりするのだが、よくわからないままに眠くなってしまう。
高度な文学論・芸術論をしているのだろうか、ダリアン・クレイの長広舌でアメリカ的狂気を深く掘り下げているのだろうか。

ラストに向けた二転三転のストーリー展開は読み応えがあるのだが、ここまでにくたびれてしまったせいだろう、スッキリしませんでした。


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2011/05/30 10:46

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2011/03/30 17:44

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2011/04/21 02:22

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2011/04/28 14:25

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2011/06/10 19:23

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2011/06/18 16:38

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