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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2011/03/01
  • 出版社: 角川書店
  • サイズ:20cm/461p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-04-874182-8

紙の本

県庁おもてなし課

著者 有川 浩 (著)

地方には、光がある—物語が元気にする、町、人、恋。とある県庁に突如生まれた新部署“おもてなし課”。観光立県を目指すべく、若手職員の掛水は、振興企画の一環として、地元出身の...

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県庁おもてなし課

税込 1,760 16pt

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商品説明

地方には、光がある—物語が元気にする、町、人、恋。とある県庁に突如生まれた新部署“おもてなし課”。観光立県を目指すべく、若手職員の掛水は、振興企画の一環として、地元出身の人気作家に観光特使就任を打診するが…。「バカか、あんたらは」。いきなり浴びせかけられる言葉に掛水は思い悩む—いったい何がダメなんだ!?掛水とおもてなし課の、地方活性化にかける苦しくも輝かしい日々が始まった。【「BOOK」データベースの商品解説】

とある県庁に突如生まれた新部署“おもてなし課”。観光立県を目指すべく、若手職員の掛水は、地元出身の人気作家に観光特使就任を打診するのだが…。巻末には高知県庁に実在する「おもてなし課」職員と著者の鼎談を収録。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

有川 浩

略歴
〈有川浩〉高知県生まれ。第10回電撃小説大賞「塩の街」でデビュー。ほかの著書に「図書館戦争」シリーズ、「フリーター、家を買う。」など。

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評価内訳

紙の本

有川さんの地元愛たっぷりの作品。地方環境行政に携わる方必見ですよ!有川ファン、ご心配なくちゃ~んと甘いの入ってますw

2011/03/29 08:23

25人中、24人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:nyanco - この投稿者のレビュー一覧を見る

高知新聞に連載が始まった頃からずっと気になっていて読みたかった作品。
有川さんの地元・高知愛に溢れた素敵な作品でした。
県庁観光部の中に作られた「おもてなし課」、ネーミングはインパクトがあるものの実態は…
何をやったらいいか解らない4人の職員が手始めに依頼した『観光特使』制度。
県出身の有名人に打診したし快諾してもらったものの、1ヶ月経てどもその後の連絡は梨の礫…
お役所仕事と民間の温度差を感じさせてくれる物語序盤のエピソード。
県出身の作家・吉門が、おもてなし課の若手・掛水の尻を叩きながら、物語が進行していく。
『フリーター家を買う』を書かれてからの有川さん、こうした社会派ネタを取り上げて作品に仕上げていこうという姿勢がとても良いと感じています。
実はこの『観光特使』の依頼は有川さんに依頼された話で、その後、梨の礫…のエピソードも実際にあったお話だと巻末の特別企画の対談に載っていました。
本、資料、そして実際に現地に行かれ、歩き、体験し、多くの方と会った有川さんが綴る地元愛がたっぷり。
作家の私が出来ることは小説を書くことと「おもてなし課」を舞台に小説を書く吉門=有川、読者は、有川マジックによってどんどんと高知に行ってみたくなってくるw
箱物や〇〇博のようなイベントが重視されてきた行政の観光政策だが、何もないことを敢えて売りにする…という中にいると解らないことを一度外に出た作家・吉門と清遠にアドバイスされながら行政の垢にまみれていないバイト・多紀ちゃんをプロジェクトに参加させ、船はやっと動き始める。
何も無いが溢れんばかりの自然を売りにしているニュージーランドがイメージモデルとされたり、田舎のない人の田舎…というコンセプトは地方観光の考え方として実に面白い。
やはりこれは売り方なのでしょう。
馬路村を例としてあげているのも非常に解りやすく興味を惹く。
各地方自治体の観光に関わる方々は、是非、読んでみるべきです!
たぶん、目からウロコでしょう。
ウミガメの産卵?、そんなものは何処ででも見れるが…と言った彼らのように…。
こんなふうに書くと何だか硬そう…と思われてしまいそうですが、いえいえ、有川さんのラブ要素もちゃ~~んと入ってます。
掛水くんと多紀ちゃんのじれったい恋愛進行具合にイライラさせられたり、馬路村のオヤスミのシーンは身悶えしてしまうことでしょう。
かわいい多紀ちゃんと、ネコ科肉食獣・佐和さんの対比も実に面白く、シアターの鉄血総裁を彷彿させてくれる吉門の「バカか、あんたらは」ぶりもファンには楽しい。
有川さんらしい巻末のあとがきやインタビューから、あの「パンダ招致案」をぶちあげた清遠のモデルが有川さんのお父様だったとは…w
キャラクターが生き生きと動き回る有川作品ですが、本作には清遠、掛水、リアル多紀ちゃんと実在の方々がモデルとして登場しているので、いつもよりも更にキャラが生き生きと動きまわり、小説とリアルの両方を楽しめたように感じます。
キャラが楽しい有川さん、この作品、ただひとつだけ残念だったのは楽しみにしていた新聞連載時に挿絵を描いていた大矢正和さんのイラストが見られなかったこと。
ウチダヒロコさんのカラフルな装丁もとてもキュートだけど、シアターでもタッグをくんだ大矢さんによるキャラの絵が見られないのが哀しかった…
地方新聞購読の有川ファンの方々、切り抜きをして綴っていたりするんだろうな~、全く羨ましい限りです。
地方を応援したいという気持ちで書いた作品だからこそ、『県庁おもてなし課』で発生するすべての印税を東北地方太平洋沖地震の被災地に寄付することにされたと ご自身のブログ「有川日記」に書いていらっしゃいました。
私もこの思いに賛同させていただきたく思い、いち早く購入させていただきました。
有川さんの思いが多くの人の心を動かし、この波紋が更に大きく広がり、被災地に届きますように…

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紙の本

公務員にイライラさせられるワケがわかった

2011/04/18 16:44

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

高知県庁の「おもてなし課」は
「観光立県を目指し、県外観光客を文字通り
『おもてなし」する心で県の観光を盛り立て』る部署。

そこに配属された入庁3年目の掛水史貴と
アルバイトで、アシスタントの明神多紀を中心に
硬直化したお役所ルールと公務員の思考を変え
地元を盛り上げるためのノウハウを身につける、
いわばお仕事小説であり、地方応援小説です。

まず「おもてなし課」は他県でもやっている、
有名人による観光大使に高知県の観光地をアピールすべく
名刺を配ってもらう――という手あかのついた手法をとります。

掛水が担当した観光大使の中に
県出身の人気作家・吉門喬介がおり
彼が掛水にさまざまなダメ出しをし
観光立国のためのアイデアを提言しはじめます。

掛水がグダグダで、吉門ならずとも
本当に公務員にはイライラさせられます。

巻末で有川浩と高知県の「おもてなし課」の対談が
あるのですが(本当に「おもてなし課」がある!)http://www.pref.kochi.lg.jp/~omotenashi/
それが実話だというから、再び驚き。

必要最低限、公務員には近づきたくないくらい
ダメダメです。

伏線として、20年前に「パンダ誘致論」をとなえた
ある職員が、閑職に左遷され、退職に追い込まれたという、
県庁にとっては後ろ暗い事件があります。

また、実際に掛水らがノリにノッて動き始めるのですが
観光立国を目指し、柔軟性と独創性を求めながら
いざ、新しいことを始めようとすると
「待った」をかける古い体質にもイライラ。

特に「民間感覚」という役所がお題目で唱える言葉を
全く彼らが理解していないことを明らかにしたのが
すばらしい。

また外部の人間で、学歴は無関係で、気のきく若い女性
という条件で採用された明神の働きがいい。
こういう「いいアルバイト」っているいる!
彼女のモデルとなった高知県「おもてなし課」の女性が
いるのは救われますね。

さっきの「公務員には近づきたくない」発言取り消し。

高知の魅力もふんだんに語られ
全く縁もゆかりもないですが
そういえば馬路村は一年に一度、浅草で物産展を開くので
なにか買うな~と思いだし、次の機会が楽しみになってきました。

こういうところで「読んでほしい」と書くのは不遜なので
なるべく書きたくないのですが
本書は全公務員に読んでほしいですね。

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紙の本

ひかりはすぐそばにある

2011/04/15 20:59

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:はぴえだ - この投稿者のレビュー一覧を見る

有川さんの作品というのは、健全で、まっすぐで、ひたすら正しいことが描かれている。
そういうのって、読んでいて、とても共感しやすい。
誰しもが分かるなぁ~と思うだろうし、そうありたいと願うだろうし、自分と重ね合わせてふがいなさに情けなくなる時があるだろう。
これがほどよいバランスの時は、素直に自分もがんばらなきゃ!という気持ちになれ、有り難い教訓となってくれるのだが、一歩間違うとバランスが崩れてしまい、おしつけがましく感じ、説教は結構だよ!という気分になる。
ここ最近、いろんなことが教訓めいていて、ちょっと一歩引いた感じになってしまっていたのだが、今回はまっすぐのめりこんで、とてもおもしろく読んだ。

今、こういう時期で、日本全体が元気がなくなっている。
この作品、今この時にとてもぴったりで、言い方は良くないが、タイムリーだったなと感じるのだ。
内容とかが、今、この現実にリンクしているわけではないのだが、観光を通して地元を元気にしようと悪戦苦闘している姿は見習うべき点が多いと思うし、観光だけに限らず、これから長い時をかけて日本全体にとって、必要なことだと思うのだ。

それ以外にも個人の仕事に対する姿勢や、取り組み方、人との付き合い方。
ほとんどが当たり前のことだが、忘れがちになってしまうことがちょこちょこと出てくる。
ためになる、と書いてしまうと、難く思われかねませんが、やさしい言葉で読者が受け取りやすく、吸収しやすいように語りかけられているので、とても参考になる。

観光と、お仕事だけでは、少々物足りなさを感じるのだが、有川さんらしい少しの胸キュンがスパイスとしてふりかけられている。
おとなでも、こういう甘酸っぱさは、心をやわらかくしてくれて、いいな!って思う。

楽しくて、おもしろくて、元気をたくさんもらった。

心の糧になってくれる作品。
たくさんの人に読んでいただいて、ぜひ笑顔になってもらいたい。

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紙の本

見えてくる別の視点

2011/07/07 20:22

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る

 県庁おもてなし課。高知県の観光発展のため独創性と積極性をもって自由に企画立案するための部署…なのだが、非常に残念なことに県庁職員の成分にはその2つは入っていない。とりあえずよそもやっているからということで、高知出身の有名人に観光特使になってもらうことにした。

 おもてなし課の掛水史貴が担当するのは作家・吉門喬介。観光特使といってもただ名刺をばらまいたりしてもらうだけだし、簡単に受けてもらえるだろうと考えていた掛水だが、その吉門から観光特使の実効性について様々な質問をされ、全く答えられない自分に気づく。それはそうだろう、全く考えていなかったのだから。

 課員の中には苦言を呈する吉門を嫌う人々もいたが、彼の言うことには一理も二理もあるということを実感した掛水は、彼にアドバイスを依頼する。しかし本業もある吉門は、代わりに「パンダ誘致論」という謎のワードを残し、彼に調べてみるよう告げる。
 パンダ誘致論とは、二十年以上前に高知観光立県化を掲げ、前例無視で様々な実現案をまとめながら、それを嫌った上層部により放逐された県職員・清遠和政の掲げた政策だったのだ。

 清遠の存在を調べてくれたバイトの明神多紀をアシスタントとして、清遠和政を口説き落とすためにアプローチをする掛水だったが、彼にたどり着くまでには、県庁に恨みを持つ彼の娘・佐和が障害として立ちふさがるのだった。

 民間の視点から見たときにどれだけ県庁職員の考え方が特殊かということを詳らかにしながら、実際に高知というフィールドを生かして魅力ある観光資源を掘り起こすアイデアをベースに、そんな県庁職員たちがどんどん成長していく姿を描いている。
 そしてその裏面に、掛水と多紀、清遠家と吉門の恋愛模様、人間模様を織り交ぜている。

 地元の人には珍しくないものでも、観光客には珍しいものなんだ、それが観光資源になるんだ、という様な、視点の切替がきらりと光る。もしかすると、故郷を活性化するために尽力してみたくなったりするかもしれない。
 個人的には、もし掛水くんが県庁を辞める時が来たら、多紀ちゃんがどういう反応をするかが気になる。

 ちなみに、作者は本書の印税を東北地方太平洋沖地震の被災地に全額寄付するそうだ。

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紙の本

好みの甘さが変わっても

2011/04/04 07:14

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:maruma - この投稿者のレビュー一覧を見る

最初に読む有川浩作品って何だろう?
ふとそんなことを考えた。

やっぱり「図書館戦争」シリーズかな。
それともドラマ化された「フリーター、家を買う。」か、
いやいや映画化される「阪急電車」か・・・?


私の場合、他の作家さん目当てで
アンソロジー「Sweet Blue Age」を手に取って
一通り読んでみたところ、お目当ての作家さんの作品よりも
有川さんの「クジラの彼」にすとんとはまってしまった。

それはきっと、下手な恋よりも深く。

「海の底」、「空の中」、「塩の街」と読み進めていって
「図書館戦争」シリーズで離れられなくなってしまった。

有川さんと言えば、「ベタ甘」。
「クジラの彼」の単行本のあとがきでびしっと言いきっている。

「いい年した大人が活字でベタ甘ラブロマ好きで何が悪い!」

アンソロジー「Sweet Blue Age」が発行されたのが2006年2月のこと。
有川さんを読み始めて5年、と初めて指折り数えてみた。

5年も経つと好みも変わっていく。
心地よかった「ベタ甘」も少し重たくなってきたりも、する。


そこで、「県庁おもてなし課」である。

とある県庁に生まれた新部署「おもてなし課」。
おもてなし課の若手職員掛水を中心に物語は紡がれる。

おもてなし課のお仕事小説とも読めるし、
もちろんお仕事だけじゃなくて、人と人とが接していけば
恋もあるし、友情もあるし、家族としての繋がりもある。
そして、高知の観光についても詳しく書かれているので
高知に行ってみたくなったりもする。

言うなら「いろんなものが詰まった小説」なのだ。

そして、新聞で連載されていたせいなのか、あまりクセがないように思う。
親世代にも子世代にも受け止められるような。

有川さんと言えば「ベタ甘」だけど
今回はほんのりとした甘さのように感じた。
でも、他の部分がしっかり描かれているからこそ
ほんのり風味でもしっかり甘さがきいている。


何だかんだ言っても有川さんの甘さは私にとってはいいらしい。
そんなことに気付かされた一冊だった。

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紙の本

グダグダだった「おもてなし課」が、徐々に「使える集団」に。もちろんラブストーリーもあり。

2011/05/24 17:11

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:YO-SHI - この投稿者のレビュー一覧を見る

 帯に「史上初、恋する観光小説」とある。まず「観光小説」って何だろう?と思ったが、今なら分かる。本書の舞台は高知。読み終わって「高知に行きたい」と無性に思った。観光をちょっとだけ擬似体験させて「あぁそこにホントに行ってみたい」と思わせるのが「観光小説」だ。

 上に書いた通り、舞台は高知県。県庁の観光部に新しくできた「おもてなし課」を中心に物語は回る。主人公はそこの課員の掛水史貴。入庁3年目の25歳。課の中では一番若い。観光客に「おもてなし」する心で県の観光を盛り立てようという「おもてなし課」は、手始めに掛水の発案で「観光特使」の制度をつくった。

 掛水の発案、と言えば聞こえがいいが、「そういう自治体が多くあるようですよ」という程度のもの。進め方も何も手探りで、心許ないことこの上ない。案の定、観光特使の一人の作家の吉門喬介から、実効性があるの?何を目指してるの?他所との違いは?とダメ出しを連発されてしまう。

 物語は、このように最初はグダグダだった「おもてなし課」が、掛水の意気込みが他の課員にも伝染するような形で、徐々に「使える集団」になっていく様子を描く。もちろん、著者が描くのだからラブストーリーがしっかり組み込まれている。今回のは甘さはちょっと控えめ。ただし、直球と変化球の2つを投げてきた。

 楽しめた。ご存じの方も多いかもしれないけれど、「おもてなし課」は高知県に実在する。それでもって高知県出身の著者は、観光特使になっている。つまり、作家の吉門(の一部分)は著者の分身で、彼が出したダメ出しは、実際に著者が感じたものらしい。そのあたりのリアリティが、本書の面白さにつながっている。また、著者は本書を書いたことで、観光特使としての任務を充分に果たしたことだろう。

 それから「三匹のおっさん」以来、著者の「おっさん萌え」がチラチラ作品に顔を出すのだけれど、本書のおっさんは、とりわけカッコいいのが1人いる。あこがれはしても目指そうとは思わないくらいだ。でも、そこまで目立たないんだけれど、おもてなし課の課長が、私は好きだ。

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紙の本

地方が元気になれば、ニッポンは元気になると思う

2011/09/27 13:38

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:mieko - この投稿者のレビュー一覧を見る

 最近、ちょっと有川作品を立て続けに読んでいます。軽く読めて楽しいので、何度も読んでしまう。小説で繰り返し読みたいと思う作品というのは、私の場合、すごく好きな作家のエッセイか、初めて読んだ時の感動を何度も味わいたくなる、そしてそれが軽く読める、そんな小説に限ります。有川作品は後者。初めて読んだ時の甘酸っぱい感じを時々味わいたくなって何度も読んでしまうのですが、1日でサラッと読めるのがいい。休日にDVDをレンタルしてきて2時間程度の映画を見るようなエンターテイメント感が好きですね。

 さて、『県庁おもてなし課』ですが、高知県に実在するおもてなし課を舞台に、高知県出身の作家・有川浩が、故郷である高知のために一肌脱いで、自分の経験と県庁への取材をもとに描き上げた地方賛歌の物語です。

 観光立県を目指した高知県庁観光部に「おもてなし課」が発足しました。しかし何というか。具体的なビジョンもなく、でも何かアクションを起こしているんだという姿勢だけは県民に示したい……のだろうなと受け取られてもしかたがないくらいの緊張感の無さ。というのも県庁職員であるおもてなし課の面々は、今まで県庁のルール内でしか行動したことがなく、つまりそれは「慣例通り」にしか動いたことがないということで、緊張感が無いのも致し方ないと言えば致し方ないのだけれど。しかし今回新しい課の発足にあたり求められているものは、今までの自分たちの仕事に対する姿勢の対極にある「独創性」やら「積極性」のはず。なんといっても「観光」なのですから、二番煎じでは意味がない。にもかかわらず、「独創性」「積極性」というものが根本的に理解できていないお役所体質は如何ともしがたく、おもてなし課の面々は右往左往するわけです。が、その右往左往する様もまた、お役所的のんびり感が漂っていて、まったくあたふたしていないんですね。
 とりあえずおもてなし課で一番年の若い掛水史貴が、「何ですか、観光発展イベントとして『観光特使』という制度を手始めに導入する自治体が多くあるそうですよ」と案を出しました。つまり県出身の有名人を観光特使に任命して県の魅力をPRしてもらおうというもの。その案に沿って動き出したおもてなし課ですが、悲しいかな立ち上がり早々、行政の枠を超えることができていないことに由来するダメ出しを、任命した観光特使の一人、売れっ子作家の吉門喬介からくらうことになります。
 毒舌の吉門と、特使・吉門の担当になった掛水は、なかなか噛み合わないやり取りを通して、次第にお互いがお互いの立場を少しずつ理解できるようになっていきます。民間感覚とお役所感覚の差異。しかしその差異の中にそれぞれのマイナス部分とプラス部分が存在することに目を向け、お互いのマイナス部分とプラス部分を補い合うことで、スケールの大きな仕事ができることに気づいていきます。
 
 はっきり言って、読んでいて気分が悪くなるくらいイライラしました。そこを何とか我慢して読み続けると、掛水の成長が見えてきて応援する気持ちが湧いてきました。また、有川作品お約束のベタな恋愛模様も控えめながら組み込まれていてちょっと嬉しい感じでした。

 破壊力のある(良い意味で)『図書館戦争』から有川作品に入った私には、「おもてなし課」はちょっと物足りない感じでしたが、『植物図鑑』のような作品から有川作品に入った方は、すんなり「おもてなし課」を受け入れて楽しめると思います。

 この物語は、高知県に限らず、日本全国の地方都市への応援物語と言えるのではないでしょうか。ガンバレ、ニッポン!

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紙の本

「県庁おもてなし課」うまくいかなくても、その方向さえ向いていればいつか。

2011/05/20 10:30

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:soramove - この投稿者のレビュー一覧を見る

「タイトルが面白いなと読み始めた、
この作家の本は「フリーター家を買う」以来、
本の最後の対談で作者が女性と知った、
実際に高知新聞で連載されたもので、
作者自身も県から観光大使の依頼を受けたという、
だからこの本は絵空事ではない
わりと現実的な今を描いている」



高知県の県庁の観光課から生まれた
新部署“おもてなし課”、
そこの職員たちが
その部署で何が出来るかを
民間の意識を取り入れながら
ひとつの観光パンフレットに集結させる。


主人公は課で若手の掛水くん、
彼と臨時職員として採用された多紀ちゃんの
恋の成就と仕事の成功を
描いているが、
地方都市の抱える問題や
公的機関の弊害も見えてくる。


思ったまま、すべてがすんなりと
運んでいけたらこれほど楽なことは無い、
それは県庁という枠でなくても同様だ、
そこでいかに柔軟に
しかし通したい意思は
少しは形を変えても何とか残したい、
そんな気持ちは誰だって経験している。


そんな仕事をする上での
様々な障害のようなものを
生き生きとした高知の方言と
恋や対人関係を絡めて
青春小説のようにも出来ている。


作者自身が観光特使をお願いされて
一か月以上音沙汰無しだったり、
計画のあまりにお役所的な考えに
実際に振り回されたことが
そのまま小説になったような
不思議な作品、
でもだからこそここで展開する事でなくても
自分の田舎や地域の事を
ふと考えてみたくなる、
不便だからと声を上げるのでなく、
じゃあ何が出来るかと。


自分の地元の事を考えたり
もちろん物語の成り行きを楽しみにしながらの
とても楽しい読書体験だった。


この本もそのうちドラマになりそうだ、
そして作者は自身のブログ(有川日記)で
「『県庁おもてなし課』ですが、
単行本で発生するすべての印税を
東北地方太平洋沖地震の被災地に
寄付することになりました。」
このように発表している、
今は誰もがどうしたら被災者への貢献が出来るかと
考えているときだ、
自分の楽しみを自粛するより
読書という楽しみの中から、
少しでも役に立つなら
こんな嬉しい事は無い。


★100点満点で80点★

soramove

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紙の本

有川浩のおもてなし

2023/09/10 08:57

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る

有川浩の特長であるユーモアと皮肉そして甘々の恋愛。この各種要素がたっぷりと入った詰め合わせ作品である。「おもてなし」という言葉は一時 時代の言葉となったが、いまではややシニカルな侮蔑の意味も含めた言葉になっている。「地方創生」も同じような意味合いを含めんでいる。この2つの言葉を組み合わせて、更に地元愛でくるんだ作者の腕前は流石と思ってしまう。

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紙の本

高知愛がたっぷりな1冊。

2016/11/30 14:17

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Key - この投稿者のレビュー一覧を見る

有川さんの高知愛がたっぷりな1冊。
行政マンのお仕事話かと思いきや、ちゃーーんとラブ要素も入っているところがさすが有川さん!高知に行ったことある人は、高知の風景を思い浮かべながら、高知に行ったことない人は高知に行ってみたくなるようなそんな1冊。映画化もされた作品なので、本と映画両方楽しめると思います。

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合わず

2015/03/22 06:03

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る

ごめんなさい、合わなかったです...いつもの有川さんじゃない感じがして。 地方やお役所の現状が混じってくるとどうも恋愛要素まで手が回らないというか糖度が低いのです。吉門喬介を筆頭とした4人がなよなよしすぎじゃないかなぁ?高知県の魅力は十分すぎるほど伝わってきたところで、案外自分の県の魅力がしっかり発信されているのか不安になってきた。我が地元愛知県(地方じゃないとか言わんといてくださいな)は頑張っていると信じています!

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2011/06/18 05:56

投稿元:ブクログ

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2011/08/07 18:10

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2011/06/03 01:49

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2011/04/02 18:12

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