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前編のキッカイ要撃における二足歩行兵器と陸上兵器によるタクティカル的な展開を序章とし、後半はそもそもの事件の発端となる渡来体とわたりあうまで一挙に話が展開する。究極的忌避感から神の概念、日本の戦後処理から魂の在り方まで、実にてんこ盛りの力作で、前編でも感じたとおり、凡百の二足歩行兵器ものとは一線を画す。なぜなら最後には二足歩行する必要はなくなっているからだ。作者の思いの迸りがたぎり、何故、魂という教えられなかった概念で神をも倒せるのか、究極的な自己嫌悪で孤介型となるのか等、分からないことも多いが、そんな瑣末なことは置いておきたい。覚悟を伴わない行為は後に魂を残さないという言葉通り、最愛の人の始末を自らの手を汚して責任を取った主人公の名前が語呂合わせではあるが、語り継がれることとなったとする結末もまた良い。
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下巻となり、物語が収束していくにつれ、主人公・栂遊星の個人的な物語へと傾いていくのは仕方がないのかなあ…と思いつつも、やはり上巻の稀有な流れをキープできぬまま終わっていったのは残念である。
とはいえ、中盤の安並風歌パノプティコン初陣は圧巻! 物語全体を貫く堅牢な文体が、場面ここに至りて高揚感を加え、さらに独特なテンションを生み出しているように思う。
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上巻参照
http://spenth.blog111.fc2.com/blog-entry-67.html
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はっきり言って登場人物が把握しづらかったですし,厚めの上下巻が全体的にとっちらかってますし,終盤が展開が加速しすぎて逆に尻すぼみな感じはしました.でも,でも,SFの根幹である世界設定の秀逸さは他の追随を許さず,先の読めない展開に読んでる間中ワクワク出来ました.
未知の敵性生物,特化運用される二足歩行兵器,裏で暗躍する政治家,何故か舞台は讃岐平野・・・・・・.あらゆるギミックが絡み合い,読みたかった物がここにあります.ハヤカワJコレ,やっぱいいレーベルだわ!
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全体的に主人公・栂遊星の成長物語だとは思うんだけど、最後まで共感できなかった主人公の想い人への想い。・・・彼女のどこがよかったのか今いちわからないままだったので、なんだか最後まで共感できず。
全体としては面白かった。
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人が操縦する 2 足歩行型特別攻撃機、
リアルで臨場感のある要撃シーンは映像的ですらあり、
本作を読む価値を非常に高めていると思う。
一方、登場人物の群像劇、人間ドラマとして読むと、
アニメ?ライトノベル?(と言っても両方ともよく知らないのだが)的な傾向が顕著でやや残念。
巻頭の登場人物名一覧を見て嫌な予感はしていたのだが。
終盤部のクラマ、カラスとの SF 的世界観は良く理解できなかったし、
ご都合主義的な展開に感じた。
が、全体として巨大ロボットものを描いた小説は珍しく、
面白く読めるイイ作品だった思う。
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ガンダム、エヴァンゲリオン(ヲン?)を丁寧な小説にしました、という感覚。
どちらも見てはいたけどマニアではないので詳しくは語れませんが
父親コンプレックス、重機操作(機械マニア)、我が道を行く母親、幼なじみ(フラウボウと土筆はタイプが違いすぎか。)との淡い恋、憧れの美少女はエキセントリックで高飛車、カッコいい女性上司たち(みさとさんと風歌が二重写しに・・他の乗員たちもネルブの女性たちやミライさんに似ていませんかね・・)、ラストに向かって思想が行き止まりもしくは錯乱していく点・・・、あ、シブイ大人の男が存在するってのも共通点かな。・・・まだ、ありそう。
読んでいる間、勝手にアニメキャラをかぶせて楽しませて頂きました。
主人公のケリのつけ方が個人的に不快。「死」、自らであれ、他によってであれ解決に死を持ってくるのが嫌いです。
あと、人の行動理由がどうにも通俗的で軽々しいのが・・・少し残念。
安並風歌の父がヤクザだから~、香月純江の過去とか、生きるためにキッカイを食べた佐々に対する仲間の態度、同じく、ラストの遊星に対する周囲の反応など、「現実ってそんなもんでしょ」っていうならナメ過ぎだろうと思いました。
あら?なんかキツい感想になっていますが、香月キャラには「萌」でしたし、風歌様の啖呵には血が騒ぎましたし、最大のドラマ是沢銀路散るには涙しました。
読み手は選ぶと思いますが、楽しい読書でした。
余談ですが、キャラクターの名付け方がオタクっぽいなぁと。
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ラストは、「う~ん。そうなるか~」という感じでした。なんというかアニメっぽいお話という感じがしました。
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本書はハヤカワから出版されたロボット物のSF上下巻です。
#そう言えば、上下巻の表紙を合わせると1枚の絵になりますね。
文章は1ページが上下2段に別れ、比較的細かな字でびっしりと書かれています。
それが上下巻ですから文量としては多い方になります。
読み始めて最初の方は、作品世界の把握と色々と立場が変わったり、あるいは新しく出てくる登場人物の把握が手間で、冒頭の人物紹介一覧を2,3回見直すハメに陥りました。
#登場人物の名前が耳なじみが無い物が多いと言う事も影響しています・・・
#なんで、変な名前を使いたがるのか・・・
おまけに読んでいて意味は分かるが、日本語としておかしな感じがする文章を何度か目にするなど、あまりの文量の多さに編集者もきちんと目を通せなかったのかと勘ぐってしまうことも。
この様に若干難有りな感じの本書ですが、上巻の途中から人物と状況が大体固定され、また作品世界の把握も出来る様になったので、以降スムーズに読み進めることが出来ました。
色々と書きましたが・・・・
あらすじの方を簡単にご紹介。
地球に突如飛来した"カラス"と名付けられた"異星人"。
彼らは地球に対する侵略行為と取られる行動を起こしますが、"カラス"を追って飛来した"クラマ"の手によってその行動が阻まれます。
以降、"カラス"、"クラマ"、双方共に地球に居続けることになりますが、"カラス"によって引き起こされる"弧介時間"と言う災害が人類を苦しめます。
その様な中、弧介時間に耐性を持つダル・タイプと耐性を持たないナーバスに二分化された人類同士の確執や"カラス"に勝った"クラマ"を神と崇め奉る"インバルス"と言う新興団体の振興など、人類社会に様々な変化が起こります。
この状況下で"カラス"が生み出した"キッカイ"と言う存在を打ち破るために選ばれた若きエースパイロット・栂遊星(トガユウセイ)と彼の恋人で後に彼を裏切りインバルスの活動家になった公文土筆(クモンツクシ)、そして彼らの周囲の人々が苦しみながらもそれぞれの敵と戦っていくお話です。
文量はとても多いですし作品世界の構想などは商業作品のレベルには達しているとは思うのですが・・・・
上記しましたが、何というか、文章自体におかしな表現が散見し、その為、時々、文章を書く事に慣れている一般人が趣味で書いた文章から感じられる荒削りな感じがすると言うか・・・
あるいは・・・編集の手が入っていないと言うか・・・
そこが気になって、商業作品としてはどうなの?と言う疑問が最後までつきなかった感じでした。
#決して読めない感じではありませんし、気にならないという方は気にならないでしょうが。。。
#それでもね・・・
#まあ、自分もあまり他人のことは言えませんが・・・
まとめてると、SFライトノベルのテイストを残しつつ、若干それのハード版と言った感じでしょう���?
いつもライトノベルを読んでいるという方が、頑張って読むといいかも。
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巨大な人型兵器…つまりロボットに搭乗して異星人から日本を守る戦いを描いた物語。
異星人やキッカイという斬新な世界設定、政治力学の延長線上に存在する軍事力と戦闘行為の表現、青春ただなかの少年少女パイロット達の葛藤、異星人との戦いの最前線となってしまった日本の日常生活が細かく書かれている。
世界設定の特殊性を理解するのに少し時間がかかりました。
文体は少し読みにくいものの、登場人物達を通して強いメッセージを感じます。
クライマックスは大変盛り上がりますが、勢いで読んでしまわないと分かりにくい箇所もあるように感じました。
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上巻で様々な話の種がばらまかれていたので、JPホーガン的な謎解きを期待していたのですが違っていました。ひたすらアニメ的に前へ進んでいきます。地震をまたいでしまって、なんか印象が薄くなってしまいました。
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何度も前を読み返しながら進めた上巻と違って、人間関係も世界観も頭に入ってきたので、ずいぶん読みやすくなった。
このままキッカイと戦い続けるのかと思ったら、下巻に入って大きく話が展開してきた。
“えーっ?クラマに勝てちゃうの?”という感じでしたが。
是沢チルドレンとか是沢魂とか、アツいなぁ。
上巻のレビューに書き忘れたけど、各章で視点が変わるんだけど、誰の視点で書かれているのかがわかりづらくて、そこだけはちょっとマイナスポイントです。
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世界設定はすごく面白いと思うのですが、そこに生きる人々はなんの変革もなくまさに現在の我々・・・というところが凄いSFになり損ねている理由でしょうか。TVアニメにしたら面白いんだろうな。
執拗に戦闘シーンが描かれていますが、上下巻必要だったのでしょうか。
長い。
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香川県善通寺市に本拠地を置く対キッカイ要撃組織・フタナワーフ部隊は、司令官を失いながらもキッカイの第一次要撃戦にかろうじて勝利するが、その戦いの最中、遊星のガールフレンド・土筆は、日本政府に軍事技術の放棄を迫る思想集団と共に行方をくらます。
更にキッカイ第二次要撃戦の予定日は刻々と近づいていた…。
進化を繰り返し、さらに強大になっていくキッカイを倒すことは可能なのか。
地球に現われた渡来体の目的は何なのか。
異星生命体と二足歩行兵器との、誰も見たことのない驚愕の総力戦がはじまる――。
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上巻ではキッカイを四国内に留め、ゆくゆくは殲滅するという目標を軸に、ダイナミックフィギュアの活動開始とその活躍があたかも中心的な主題のように語られてきた。つまり「巨大ロボットもの」。
しかしこの巨大ロボットは一人で動かせるわけではなく、司令船パノプティコンのクルーはじめ多くの人が関わる。本書の人間ドラマはそこがひとつの焦点。とりわけ、下巻では、手痛い打撃を食らったこのチームが再生していく様はまるで梁山泊の躍動感がある。
また、本書が「巨大ロボットもの」に留まらないのは、巨大ロボットを出現させるための設定と思われたものが、それ自身を語り始めるからである。物言わぬ背景的状況かと思われた飛来体「カラス」と「クラマ」も動きを見せ始める。
渡来体「カラス」の建造物の放つ究極的忌避感という設定は、人間のあり方にも立ち入って、本作の重要なテーマとなっている。「カラス」の建造物になぜ忌避感を感ずるかという点については、あまりに高度に人工的なものだからという仮説が述べられる。そしてそのような忌避感というのは、例えば誰かを生理的に好きになれないといった日常的な忌避感と地続きなのだ。他方、究極的忌避感に鈍いダルタイプは人間関係においても相手の心理を慮れない鈍さを呈すると描かれる。そうした視点が、人間関係一般から、さらには集団としての人間、社会、政治といった視野に広がっていく。
2人の主系パイロットはダルタイプだが、遠隔操作の副系オペレーターの栂遊星はナーバスで、何より人々の間の平和を愛する人物として描かれる。キッカイの処理部隊フタナワーフの佐々史也はそもそもダルタイプだったが、化外の地で20日間置き去りにして生き延びたあと、究極的忌避感をまったく感じなくなってしまう。それゆえ彼は重要な任務を担わされるようになる。
巨大ロボットを国際政治の状況に置くのも、先例はあるが、ある国が巨大ロボットを持つと隣国の戦略的脅威とみなされるというのはリアリティがある。それゆえ、ダイナミックフィギュアの起動にはその都度、五加一、すなわち5カ国プラス1地域(アメリカ、ロシア、中国、北朝鮮、韓国、台湾)の承認を要する。ダイナミックフィギュアの頭部に操縦席が着脱されるという形態も、そこに弱点を作っておくという隣国の保険である。遠隔操縦のみの運用なら頭部は不要で、だから加藤直之の表紙イラストには首のないダイナミックフィギュアも描かれているのだ。
しかし、そのようなダイナミックフィギュアを核に勝る兵器として保持することで、日本の覇権をめざす政治家集団セグエンテが政府の一角に勢力を持っている。ダイナミックフィギュアには核兵器をも無効にする渡来体の技術が使われているからである。セグエンテは何も世界征服を目論んでいるわけではなく、日本の覇権下で、力による世界平和を実現したいのだ。この飛来体を神とみなす国際的思想集団インバネスの日本組織はこのセグエンテの野望を挫こうとしているが、栂遊星のガールフレンド公文土筆はこの組織に加わり、「クラマ」との意志疎通に成功する。実は「クラマ」もキッカイのように概念を求めていたのだ。
ダイナミックフィギュアは道具にすぎず、物語は飛来体の事情とそれに対峙する人間の行状が主題となる。話は極めてモラールな問題意識とともに進んでいく。しかし、最後決戦はお約束のように、ダイナミックフィギュアによって戦われ、巨大ロボットものの快感を満足させてくれるので安心されたい。ただし、最終決戦の敵が、誰なのか何なのか、なかなか話が読めない展開なのである。
登場人物たちはみな魅力的だ。また固有名詞も味がある。キッカイ対策の国連機関ソリッドコクーン、キッカイと飛来体の研究施設ボルヴェルク(防波堤)、キッカイ要撃隊フタナワーフ(四国の古名・二名島+波止場)、究極的忌避感に見舞われる弧介時間、国際的管理の下、鎖でつながれているダイナミックフィギュアの出動は「出獄」、キッカイが封じ込められていることを確認する飛行船団はプリズンガード、エネルギーの直接変換を可能にする飛来体の技術は、アインシュタインの綴りを逆から読んで、ニーツーニー、などなど。
しばしこの術語の世界に遊び、物語の終結によってそこから切り離されることには相当の苦痛を感じた。