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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2011.2
- 出版社: 白水社
- サイズ:20cm/425p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-560-08107-5
- 国内送料無料
紙の本
レーニンの墓 ソ連帝国最期の日々 上
【ピュリツァー賞(1994年)】ソ連を支配していた共産党の独裁体制、党と国家のアマルガムのような構造物が自壊していくプロセスを、特派員としてモスクワに滞在していたジャーナ...
レーニンの墓 ソ連帝国最期の日々 上
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商品説明
【ピュリツァー賞(1994年)】ソ連を支配していた共産党の独裁体制、党と国家のアマルガムのような構造物が自壊していくプロセスを、特派員としてモスクワに滞在していたジャーナリストが克明に描く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
デイヴィッド・レムニック
- 略歴
- 〈デイヴィッド・レムニック〉1958年生まれ。米国のジャーナリスト。『ワシントン・ポスト』モスクワ特派員を経て、『ニューヨーカー』スタッフライター。「レーニンの墓」でピュリツァー賞を受賞。
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紙の本
全体主義国家日本
2011/07/16 12:33
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
少し長いが、本書より引用する。スターリンに粛清されたブハーリンが残した言葉。
「私は人生を終えようとしている。私は頭を垂れる、だが、正しくも無慈悲ながら慎み深くもあるプロレタリアの大鎌の前にではない。そうではなく、私は中世的手法を使うように見えて、同時に巨大な権力を所有する地獄の機械の前に、無力なのである。おそらく人生の終盤である今日、私は遅かれ早かれ歴史の濾過装置が、必ずや私の頭から汚物を拭い去ってくれると確信している。・・・私は若く誠実な世代の党指導者らに、いつか党総会で私の書簡を読み、私の嫌疑を晴らしてくれるようお願いする。・・・同志諸君、諸君が共産主義への勝利の更新において掲げるであろうこの旗の上には、私の血の一滴もあることを知っておいてほしい」
恐ろしいほど、先を見通した言葉と言える。ブハーリンが期待した「若く誠実な世代の党指導者」としてゴルバチョフが登場するまで、歴史はまだ長い時間を要する。
旧ソビエト連邦の悲劇は、決して社会主義政策をとったことにあるのではない。その国家運営に当たって、極端なまでの全体主義的体制をとったことにある。
旧東側体制が次々と崩壊していった際、「資本主義の社会主義に対する勝利」が盛んに言われたが、それは正しくない。あの世界的な改革・革命は、すなわち「民主主義の全体主義に対する勝利」であったのだ。
しかし、旧ソ連にあっては、それに気づくのが遅すぎた。いや、それを命を賭けてでも修正しようとする改革者の登場が遅すぎた。
本書は言うとおり、「悲劇は、ゴルバチョフが権力の座に就くまでの間に、あまりにも多くの人生が壊されたことである。偉大な頭脳が国外移住、飲酒、自殺、自暴自棄、あるいは単なるシニシズムの犠牲になった」のである。
こうまでにも正義は無力なのか。
世界には今でも数多くの全体主義的国家が残る。それらの国では、今でも多くの国民が窮乏にあえぎ、命の危険にさらされている。旧東側体制の経験を糧に、内からの改革・国民自身による革命が起こされることを期待する。
再度、本書から引用する。
「ブハーリンは、採用されることのなかった道、すなわちスターリン的社会主義に対し、よりリベラルな代案を代表していた。ブハーリンの代案は、すべてが失われてしまったわけではないこと、マルクスからレーニンへ至る路線が必ずしも経済的失敗と、ジェノサイド、すなわちスターリンに行き着くのではないことを示していた。」
体制側と違う考えを持った個人が、異なる意見をどうどうと主張できる。まずそのことが完全に守られていること、これが重要である。
では、翻って、今の日本はどうか。日本のすばらしい憲法では、個人の意志が尊重され、発言にも行動にも自由が保証されている。理想的な民主主義が描かれている。
しかし、実体はどうか。
大阪府では、君が代を強制することを条例化し、さらには罰則規定まで設けることを考えている。
この国では、個人が体制に背く意見を持つこと、発表することは決して自由ではない。そんな個人は、徹底的な個人パッシングと暗黙のプレッシャーでつぶされる。
日本には、ゴルバチョフどころか、まだブハーリンさえ登場していない。