紙の本
興味深い
2020/04/19 10:03
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投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本で9年前に出版された本である。積ん読状態で本棚に収まっていたものを読み始めた。
ウイルスとヒトの共生進化について書かれている。ウイルスやヒトゲノム、さらには、進化論等についてこの方面の知識について疎い人でも理解しやすいように解説が詳細に書かれている。
進化に関わる最近の成果を知ることができ、興味深い。4つの進化の推進力(突然変異、共生発生、異種交配、エビジェネティクス)とダーウインの自然選択による進化。これらは10年程以前の状況であるが、現在時点の最新状況はどうなっているのだろうか。
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なにこれすごい興味深い HIVと猫が共生関係にあるというのを知ってから、ウイルスの進化の早さは宿主との共生を目指しているためではないかと思うようになった。医療関係者や患者にとってはウイルスの進化は悪夢だろうから、そう思うのは少し申し訳ない気もするけれど…。
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沖縄タイムス2011.03.07。
《例えばウイルスだ。人間にとって天然痘やエイズなどを引き起こす破壊者でもあるが、ヒトゲノムにはウイルス由来の部分が非常に多い。人はウイルスと共生してきた。それが人間の進化に有利に働いたのではないかと著者は考える。》
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進化論、結構好きなので前半はとても興味深く読めた。
「共生者」としてのウィルスという考え方とか、病気とウィルスの関係とか、ウミウシの葉緑体の話とか。
中盤以降、何せ私のような門外漢にはついていけない難解な論理が怒涛のように展開され、期限が来て図書館で延長手続きをするも、次の予約の人がいたために間があいてしまったらさあ大変。せっかくそこまでなんとか必死に端っこを掴んでいたのに、その端っこすら飛んでしまった!
そこから先は…まあ読み終えるのに苦労しました。
それなりには面白かったけどね。
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ウイルスはヒトにとってただの破壊者、寄生者ではなく、「共生者」であり、ヒトの進化に重要な役割を果たしてきたのだと著者は主張する。
ヒトのゲノム構成において、タンパク質をコードしている機能遺伝子は全体のわずか1.5%に過ぎず、既知のヒトゲノムの大半はかつて人間に感染したウイルスの名残やその破片だと考えられている。なかでもヒトのDNAに組み込まれているウイルス(内在性レトロウイルス)は、胎盤の形成にかかわっているほか、多くの役割を果たしているらしいことがわかってきた。
ヒトゲノムほどウイルス由来の部分の割合が多いゲノムは他に存在しない。ウイルスは宿主の進化を促進させる最大の原動力であると考えられるのだという。
ウイルス関係の話だけではなく、突然変異だけでは説明しきれない進化の進化の推進力として、異種交配やエピジェネティクス(後天的な作用により遺伝子の発現が制御されること)などへも言及している。
語り口は比較的平易で、著者が一線級の研究者にインタビューした内容も含まれている。進化論を拡張する刺激的な論考として非常におもしろく読める。
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レビューはブログにて♪
http://ameblo.jp/w92-3/entry-10880142918.html
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「寄生者」であるウイルスが生物の進化に大きな役割を果たしてきた。ダーウィンの進化論を超える新たな理論を巡る旅。
医師であり進化生物学者でもある著者が、豊富な人脈を生かして、ウイルスと病気の関係や遺伝子治療の最新の知見を紹介しつつ、進化とウイルスの関わりについて考察していく。
新聞やアマゾンの書評の評判がよかったので借りてみたのだが、個人的には期待していたほどはおもしろくなかった。
ウイルスはおもしろい存在であるし、進化の過程で何らかの役割を果たしてきたという視点は興味深いと思う。著者が様々な人と人脈を持っているのもすごい。
が、ちょっとデータとストーリーをつなぐ線がまだまだ細いのではないか(というか、線がよく見えない)。種々、おもしろい話が出てきていて、「この先」有望なのかもしれないが、時期尚早、という感じがした。風呂敷を広げるのはまだ早いんじゃないかなぁ・・・。途中、「トンデモ本だったかなぁ・・・?」と思ってしまうほど。
個人的にあまり進化論に興味が持てないのもあると思うが。
もう少し、ウイルス研究の実際の話が知りたかった。
おもしろかったのは:
・冒頭のウミウシの話。「エリシア・コロロティカ」という名のこのウミウシは「植虫類」と呼ばれ、動物でありながら、藻類から葉緑体を取り込んで、光合成も行う。この取り込みに、ウミウシの細胞内のレトロウイルスが関係している「らしい」。ウミウシが死ぬ際には、一転してこのレトロウイルスが増殖し、死の原因になっている「らしい」。
・大野乾(すすむ)のダーウィン批判。自然選択と突然変異だけでは、遺伝子の重複現象を説明できないというのは端的でもっともに思える。
原題は"Virolution"。ウイルス+進化(virus + evolution)の造語、と思う。
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第 1章 ウイルスは敵か味方か
第 2章 ダーウィンと進化の総合説
第 3章 遺伝子のクモの巣
第 4章 AIDSは敵か味方か
第 5章 ヒトゲノムのパラドックス
第 6章 ウイルスが私たちを人間にした
第 7章 医学への応用
第 8章 自己免疫疾患
第 9章 癌
第10章 新しい進化論
第11章 セックスと進化の木
第12章 人間は多倍体か
第13章 遺伝子を操る魔神
第14章 新しい手がかり
第15章 旅の終わりに
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ウイルスがこれまで考えられてきたような、生物にとって「侵略者」の立場だけでなく「共生」し「進化」させてきた関係だった、と言う内容。
ウイルスから進化論、ヒトゲノムの操作、はてはネアンデルタール人は何故絶滅したか、といった内容まで話を広げられるのは興味深く感じた。
ただ、後半で専門用語が多く出てきたせいか、中弛みしてしまった(最初の「用語解説」をもっと増やして欲しかった)。
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進化論はここまで来たのか。ウイルスは役に立たないか、人に害を加えるだけの存在と思っていた。この本を読んで、目からうろこ。レトロウイルスは、遺伝子の運び屋で、生物進化を担っていたのか。
分厚い本だったが、一気に読ませてもらった。翻訳もこなれていて、読みやすかった。
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今日は大晦日です。今年も最後です。今日は田舎に帰りますので、あと何冊読める事やら。
震災復興のための知識を深めるとともに、自分を鍛錬するため、来年も毎日一冊以上の読書を続けます。
この本は、大晦日にふさわしくもあり、ふさわしくもない、分子生物学のアウトリーチ書。
とてもわかりやすく、分子生物学からの進化論の分析、ウィルスの働きなど記述されていて、なんか少し賢くなった気がする。
初めて知った事ばかりだが、その中でも印象的なもの。
(1)人の遺伝子で機能しているのは、1,2%だけだが、それ以外の部分について、ウィルスからの遺伝子が入る込んでいる部分が相当あり、それが実は貴重な働きをしている。
(2)ウィルスが宿主を殺してしまうのでは、まだ、ウィルスが進化していないからで、そのうちに、宿主と共生するようになる。エイズもその可能性が高い。
(3)ガンとか自己免疫不全などには、ウィルスから入り込んだ部分の遺伝子とその発現システムが影響を与えていると想像するが、まだ、明確に原因は押さえられていない。
分子生物学は、いろいろ実験できるので、その論理にゆらぎがなくてうらやましい。
政治学、経済学も相手が社会だから実験できないし、都市計画も相手が人間だからそう簡単に実験できない。
その意味では、ひびごちゃごちゃしている頭をすっきるさせるにはいい本だと思う。
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発生学とレトロウイルス、レトロトランスポゾンという新しい領域に関する一般書がもうこんなに早く書かれているのかということも、訳書が出ていたことにも驚き。胎生、卵胎生の生物について考えていくときに読んでいくのに面白い本。でも必要とする背景の知識がいろいろと必要で(例:DNAメチル化によるエピジェネティクスな制御)、どういう人が楽しめるのかなー。数年後には生物系の大学生の必読書になっていると思う。
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ウィルスを生物は共生し、取り込んできたことにより、進化に役立ててきたという話。ミトコンドリアはパラサイトイヴで有名になったが、この本はその統計だった説明。ウィルスは細胞を持たないため、DNA/Rナを持ちつつも生物とはされない。が故に生物に取り込まれ、補完的な役割を担ってきた進化の原動力の一つであるという説を述べている。プロでないので判断しかねるが、説得力はあるし興味深い。
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ダーウィンは偉大。身体はレトロウイルスでてきている!といっても過言ではない。
今では少し古い本になってしまったが、冬休みにじっくり読むのに良い本でした。面白かった。
P.404の図5:進化の推進力の比較がこの本のすべての要約です。
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専門用語はかなり多いので、素人の私が内容の先進性や論旨の正確性に言及することは控えるが、理解できるところだけをつまんで読んでみても面白い本でした